Jazzのリズムって何だろう? 詳細解説:リズムとタイムとパルスとグルーヴ
こんにちは。コントラバス弾き 佐清(スケキヨ)です。
今回はYouTube動画で取り上げた「Jazzのリズムって何だろう?」についてより詳しく「リズムとタイムとパルスとグルーヴ」まで掘り下げて記したいと思います。
この議論,目に見えない音を扱う&人によってまちまちな意見があるので異論・反論が出るかもしれないんですが,まぁ誰も注目してないだろうということでしれっとやってみたいと思います。
小節の成り立ち
何の曲でも良いので譜面を開いてみると,譜面の一番最初に「♩=120」とか「4/4」とか書かれているかと思います。(数字は適当です)
・「♩=120」→「1分間に120回音が鳴る速さ」
・「4/4」→「1小節に(分母)分音符が(分子)個入る」→「1小節に4分音符が4個入る」
これは曲のルールを最初に示したものですので,必ず見るようにしましょう。
音符の長さ
・全音符:1つ発音する内にメトロノームが4つ打つ長さ
→4/4拍子の時,1小節に1つの音
・2分音符:1つ発音する内にメトロノームが2つ打つ長さ
→4/4拍子の時,1小節に2つの音
・4分音符:1つ発音する内にメトロノームが1つ打つ長さ
→4/4拍子の時,1小節に4つの音
・8分音符:メトロノームが1つ打つ内に2つ発音する長さ
→4/4拍子の時,1小節に8つの音
・16分音符:メトロノームが1つ打つ内に4つ発音する長さ
→4/4拍子の時,1小節に16個の音
ビートの種類
色々なジャンルの色々なビートの種類がありますが,ここでは代表的な4種類のビートを取り上げます。
2ビート…1小節に2分音符が2個入る or 入る感じで演奏します
4ビート…1小節に4分音符が4個入る or 入る感じで演奏します
8ビート…1小節に8分音符が8個入る or 入る感じで演奏します
16ビート…1小節に16分音符が16個入る or 入る感じで演奏します
「入る感じで演奏」というのは,必ずしも音が全て鳴るわけではないからです。
16ビートのファンクだからといって,ずっとチキチキ音がなっているわけではないですよね。
同じように,4ビートのジャズでも音が無い拍もありますし,8ビートでも空白の拍があったりします。
言語化するとかなりフワフワした捉えどころのない説明になってしまいますが,色々な音源を聴いてみてください。
音の位置&発音
「音が出る=空気の振動が生まれる」ということです。
空気の振動が生まれる瞬間を起点0と仮定した時,起点0は「ジャスト」という言い方をします。
メトロノームに合わせて練習する時,メトロノームから出る音が毎回起点0とすると,それに合わせて練習するプレイヤーの楽器から出る音が起点0とぴったり同じタイミングになっていることを「ジャスト」と言います。
メトロノームを鳴らして,一緒に手を叩いてみた時,メトロノームの音が完全に消える瞬間があります。それは手を叩いた音がメトロノームの音とジャストになっている証拠です。
※正確にはメトロノームより耳の位置に近いので,完全にジャストではないと言えますが,音を認知する人がそう感じたらそれはジャストだとも言えます。
一方,プレイヤーの音が起点0より少しだけ早いタイミング(前ノリとも言われます)で発音すると,曲のテンションが高まってドライブするような雰囲気になります。
ミディアムアップより早いジャズの曲で聴くことができるベースラインがその代表例です。
逆に,起点0より少しだけ遅いタイミング(後ノリとも言われます)で発音すると,少しもたったような雰囲気になり,曲調によってはダークでヘヴィーな雰囲気になります。
スローなジャズナンバーもそうですが,一番分かりやすいのはBlack Sabbathの1stアルバム全体がそんな演奏になっています。
ドライブする or レイドバックするとは?
「ドライブする」とは,リズム面で言うと,プレイヤーの音が起点0より少しだけ早いタイミング(前ノリとも言われます)で発音すると,曲のテンションが高まってドライブするような雰囲気になることです。
「レイドバックする」とは,起点0より少しだけ遅いタイミング(後ノリとも言われます)で発音し,パルスを大きく捉える(一音ずつの間隔ではなく,小節全体で捉える等)ことで曲の雰囲気をリラックスさせることです。
勘違いされやすい&注意すべき点として「ただ単にテンポがモタっているだけ」のプレイを「タメを効かせたプレイ」なんて言われ方もしますが,レイドバックとは完全に別物です。
レイドバックはゆったりとした雰囲気がありつつも曲がキッチリ進みますが,モタったプレイは聴いている方も違和感を感じますし,一緒に演奏していて非常に困ります。
(走りすぎるのも困りますが,変に遅れるよりかはマシです)
いずれにしても、一定のパルスになるように気を付けましょう。
リズムが走る or 遅れるとは?
「音の位置&発音」で起点0に対しての発音の位置を説明しましたが,大切なのは「どの発音も一定の間隔で発信されていること」です。
この「一定の間隔」を「パルス」といい,「パルス」をしっかり保つ能力を「タイム感」と言います。
リズムが走ったり遅れたりするのは,パルスを捉えるタイム感が弱いため,パルスが縮んだり伸びたりすることが原因です。
パルスがどんどん縮んでいけば発音の間隔が短くなり,結果として「リズムが走る」ということになります。
逆に,パルスがどんどん伸びてしまうと発音の間隔が長くなり,「リズムが遅れる」結果になります。
一定のパルスを感じられる演奏が「安定したリズム」ということになります。
グルーヴとは?
よく「グルーヴしてる/してない」とかで議論になりますが,グルーヴはリズムだけが絶対的な主幹ではありません。
キッチリしたリズムがグルーヴするのであれば機械に任せれば良いだけの話ですし,かといってメチャクチャなリズムで演奏してグルーヴが生まれるかと言うとそうでもありません。
僕が思うに「強力なパルス認知能力&タイム感で安定したリズムを提供し,さらにはその楽器/声/音のトーンやアーティキュレーションをひっくるめて良いサウンドを出す」ことがグルーヴにおける重要なファクターではないかと考え,日々実践しています。
しかしながら,ここが目に見えない音楽のややこしいところ&厄介なところで,気に入ったアーティストは「グルーヴしている」と判断したり,逆に気に入らないアーティストを「グルーヴしない」と判断したりする人が多々いたりします。
その人にとっては人柄なんかもサウンドに直結すると感じているのかもしれませんが,大抵の場合はその人自身がグルーヴについて深く追及もせずに判断していますし,仮にプレイヤーだった場合はその人自身の演奏が全くグルーヴィーでないことがほとんどなので,あまり気にしないようにしましょう。
Jazzのリズム&フレーズの捉え方
Jazzの演奏やフレーズを聴いてみると、ピョンピョンと飛び跳ねるような演奏をしていることが多いかと思います。
その理由は下記の通りです。
連続した8分音符を、3連符の前2つと最後の1つと考え、さらに最後の1つの音を少しだけ強く弾くとジャズらしい跳ねるようなスウィンギーなフレーズになります。
今回のまとめ
主なビートの種類
2 beat, 4 beat, 8 beat, 16 beatジャスト/ドライブ/レイドバック
「ジャスト」空気の振動が生まれる瞬間を起点0とした時,起点0と同時に発音すること
「ドライブ」起点0より少しだけ早いタイミングで発音
「レイドバック」起点0より少しだけ遅いタイミングで発音
※いずれにしても、一定のパルスになるように気を付けましょうJazzのリズム&フレーズの従え方
連続した8分音符を、3連符の前2つと最後の1つと考え、さらに最後の1つの音を少しだけ強く弾く
練習や本番でこれらを意識しながら演奏すると、自分自身が納得出来るサウンドを奏でながら共演者やリスナーの方々にも安心感を提供することができます。
是非意識してみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
また次回の投稿でお会いしましょう👋
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