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友達でもなく恋人でもなく쌈でもない韓国人

1年以上毎日連絡をしていた彼がいた。カトクもあるし電話番号も知っているし家も知っている。でも一度も直接会ったことはない。

出会ってすぐに時間さえあれば電話をした。彼の声が好きだった。彼は日本でワーキングホリデーの経験がありほんのすこーしする日本語も好きだった。お酒もよく飲むし、服の系統も似てた。韓国語を教えるのがなぜかわかりやすくて。彼がいてくれて今の私があるんだって思う。

何気ない会話をたくさんした。皮膚科に行くだの、ご飯は何を食べただの。私が一人で韓国へ行った時彼は一人で大阪へ行った。銀行で複雑な手続きがあったのに関わらず、彼は電話越しに全部助けてくれた。お互い人に会うのが好きだったのに、私たちは一度も合わなかった。会えなかった。

お互い映画が好きで一緒に見た。カトクで連絡しながら同時に再生ボタンを押して。中間中間で起きてるか確認しながら、余韻と共に眠りについた。あの時のタイタニックは忘れられない。

彼との電話のためにたくさん歩いた。写真もたくさん。写真を送りながら二人で想像で旅行もした。酔っ払ってかけてきたテレビ電話に映る彼も嫌じゃなかった。私の誕生日を覚えていなくて少し悲しかった。日本じゃ使えないのにチキンのギフトを送ってきた。なぜか一人で寂しい時彼から電話がかかってくることが多かった。連絡が絶えたのは一度だけ。タイへ行った彼が携帯をなくした時。바보 あんなに全ての瞬間を分かち合ったのに告白はなかった。

最後は私が韓国へ行った時。テレビ電話をした。私はヨイドの漢江にいて彼は江南あたりのカフェにいた。その時に初めて少しだけ、ちゃんと顔を見て話した。最初で最後。本当にタイミング、それが全てだった。


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