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【移住体験住宅利用の過程で見える自治体の姿】

私たち夫婦は、2019年〜2022年7月現在までの間、全国の9自治体の移住体験住宅の利用と3自治体のワーケーションに参加。移住相談や移住体験住宅利用のために問い合わせた自治体数は41にも及ぶ。

※問い合わせ=自治体HPに掲載されている問い合わせ先への電話/メール
※私たちが問い合わせた自治体はたまたま3セク委託をしていなかったので窓口は行政本体

私たちは数多くの自治体にコンタクトを取ってきたわけだが、なんと言っても面白いのが、ファーストコンタクトから見える自治体の姿だ。

実体験として、ファーストコンタクトの時点で大きく分かれる印象は3つある。

早速、下記3つのケースを見てほしい。

〈ケース1〉

O町の例:
自治体の移住窓口が問い合わせ先としてHPに記載しているメールアドレス宛に連絡するが、1週間以上経過しても返信なし

これは論外のケースだ。忙しくて見れてなかった、などはあり得ない。対応をしない問い合わせ先はHP記載不要なのではなかろうか。
当然ながらこのような自治体には足も運ばないこととしている。
移住したいと思うかどうか判断してもらう土俵にすら立てないとは残念なことだ…

〈ケース2〉

K町の例:
正式に申込書を郵送するまでの仮予約状態の時に、『法人から問い合わせがきて法人に優先したい』と連絡がきた。電話口の担当者の職員は泣きそうな声でおそらく事実を説明していたのだが、担当者の上司は堂々と全く違う理由を述べていた。どちらが事実を述べているかはわからないのだが、いずれにせよ組織として終わっているなと感じた。
もちろん候補先から除外。

S町の例:
体験住宅の詳細を伺うために電話をした。担当者によると、どうやらペット可物件らしい。2人ともの実家で動物を飼っているからアレルギーがないことはわかっているし、動物の臭いがあっても問題なかったので、ペットなしでも入居可能なのか確認したところ、担当者は『動物アレルギーがあるかどうかがわからないのに入居はできない』の一点張り。どうやら、要するに、ペット同伴でなければ入居できないらしい。担当者の回答が支離滅裂過ぎて会話にならなかった…。

〈ケース3〉

B町、H町の例:
担当者がとにかく丁寧。
実際にオンラインや電話でお話すると、担当者から熱意を感じる。
自分の自治体を面白くしたいという熱意だ。

とっても気になっていたわけでもない自治体だったとしても、熱意があったり丁寧だったりする担当者と話すことで、「こんな担当者のいる地域を見てみたい」と思う。実際、この理由で滞在した自治体があるが、滞在中もサポートが素晴らしかった。


上記3つのケース、いかがだっただろうか。

〈ケース1〉と〈ケース2〉を見て、

「たまたま担当者がよくなかったね…」

と思うかもしれないが、私はそう捉えていない。

これは行政に限らずどんな組織にも言えることだが、たった一人の対応も組織の問題であると考えている。

採用教育、職場環境、人間関係、さまざまなことが絡み合った結果の『対応』だ。そうなると組織、トップの問題である。

市区町村長の任期は4年間で、もちろん選挙次第でトップは代わる。
そのトップを選んでいるのは町民なのであるから、自治体のトップにどんな人間を選ぶのかー
行政だけでなく町民を含めた自治体全体の考え方が反映されている。
『トップから見える自治体』も非常に面白いのだが、これについては改めて書こうと思う。


さて、〈ケース3〉のような自治体には2つの共通点があったことをお伝えしたい。

①担当者(一職員)がトップの考えやこれから目指す町づくりの構想をしっかりと話せる
担当職員とお話ししていると、度々「町長は〜と考えています。」「町長はよく〜と言っています。」と言う。
そう、トップの”考え”がしっかりと職員全員、各レイヤーに伝わっているのだ。さらに、伝わっているだけではなく、トップの考えをしっかりと意識した上で日々動き、職務を行っている。
これは民間組織でも非常に難しいことだ。
私は純粋に関心した。

②民間っぽい
行政っぽくないのだ。民間と言っても、東証1部の大企業のような民間ではなく、どちらかとベンチャーっぽい感じだ。
通常の自治体では何ヶ月とかかる組織内の手続きを超短期間で採決してしまうのだ。
こういう自治体は、地方にありながらも東京など都市圏の民間企業との官民連携も多い。
ベンチャーのようなスピードの速さも持ち合わせているのは相当な強みになる。
提案から実行までのラグが少ないほど改革も新しい取り組みの成果も次々にわかる。新規参入も活発になり、どんどん人は集まり、町は活発化するのだ。

そういえば、ある自治体の職員がぼやいていたことがある。
町としてTwitterをやりたいが、つぶやくごとに上の承認が必要。承認をもらって、結局つぶやけるのは数日後になる。その時にはもう、つぶやく必要のない話題になってしまう…
思わず笑ってしまったのだが、これが行政の現実だ。
個人にもっと裁量を持たせてもいいのではないか、自治体の職員こそ副業などを積極的に行って他のスキルや民間企業を知る必要があるのではないかーそう思わずにはいられなかった。


●まとめ

ファーストコンタクトから見える自治体の姿について話をしたが、民間企業や団体も同じようにファーストコンタクトから組織の姿が見える。

組織に所属する=組織の「看板を背負う」という言葉もあながち間違っていないと感じた。

現在私はフリーランスだが、もし今後何かしらの組織に属するときは「心から素敵な対応をしたい」と思える組織にしか所属したくないと改めて感じたのだった。



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