「兵庫県ひきこもり対策検討委員会報告書」を眺めて

これは「兵庫県ひきこもり対策検討委員会報告書 令和2年6月」から引用して所感です。

「兵庫県ひきこもり対策検討委員会報告書 令和2年6月 10ページ」より

「時々外出する」が最も多いのは、他所の調査結果と同じ。
外出できるひきこもりは(就労以外のボランティアや学習機会など含む)支援の手を伸ばしやすく掴んでくれる確率も高い。

コロナ渦以降は平日の日中に外出することの抵抗が薄れたと思われる。
もちろんサービス業の方々は土日祝日出勤平日定休であるのだが、やはり日本社会は平日は家の近くに居ないことが「普通」とされてる。
そのような「平日の世間の目」に晒されながら外出するのは「無所属・無職」のメンタルには厳しかった。

そこにコロナ渦とテレワークが急速に広まった。
テレワークが増えたことで平日昼間に家の近所にいる一般就労者(以前は通勤するサラリーマン)がいることが「普通」となる程度に普及した。
すると「平日の世間の目」も和らいだ印象になった。厳しかった「世間の目」が和らいだことでメンタルのダメージも減り、ひきこもりも外出しやすくなった。

「外出しない」や「非行」は民間の支援は難しい。
前者は医療機関(カウンセリング含む)、後者は警察関係者と伝手のある医療機関や支援機関の管轄になるだろう。
(これを書いてる時期に、賭博に溺れたひきこもりによる事件が報じられていた。)

「兵庫県ひきこもり対策検討委員会報告書 令和2年6月 10ページ」より

30~50代が多く、40代が頭一つ抜けて多いのは氷河期世代だろうか。
40代以上は一般就労をせずに人間らしい生き方を考える時期になる。
「一般就労しなければ人間でない」という日本社会の闇に飲まれないことが大事になる。
闇に飲まれると「精神疾患」か「闇落ち」になり、前者は自分を卑下する内向攻撃に、後者は社会や身近な人に対する外向攻撃になってしまう。
幸い私は前者で落ち着いた。

ひきこもり状態の脱却の1つは「就労」であるけど、未就労や短期就労しか経験してないと面接を受ける就労の道は困難を極める。
ひきこもり期間を突いてくる面接官しかいないから、一気に就労意欲が砕けて元に戻る。
道のひとつは家族、親族、知人の紹介(昔なら縁故採用)になる「本人をある程度知っている」関係から就労が可能だろうか。

「兵庫県ひきこもり対策検討委員会報告書 令和2年6月 11ページ」より

5年を超えると快復が難しく、10年を超えると非常に困難だろう。
よほど意識を強く持ってひきこもらない限りは、生活リズムが労働リズムに合わない。そして年を取るほどにリズムの矯正は難しくなる。

もし、ひきこもり状態になっても夜寝て朝起きる生活リズムは維持しておきたい。
朝起きるのが8時や9時でも構わない。
起きて朝ご飯を食べることができ、昼(11~13時)に昼ご飯を食べれる起床リズムは保ちたい。

「兵庫県ひきこもり対策検討委員会報告書 令和2年6月 12ページ」より

他所の調査で見かける「職場の人間関係」や「職場問題」「就職活動」が項目に無いのが気になる。経緯の上位になるこれらの項目の調査は重要になるのでは。

「不登校」と「失職・離職」の割合が高いことから、学校や会社のような所属から外れるタイミングがひきこもりのきっかけになる。
もし、地域社会の組織(町内会や自治会、ボランティア、クラブサークルなど)に所属していたとしたら、ひきこもり状態にならない可能性がある。

不登校が「いじめなどによる外圧」か「授業についていけない等の内圧」かで対応が変わるし、その後の影響も大きく異なる。
「いじめなどによる外圧」は人間関係に深刻な傷を残し、職場や地域社会でも障害が出てしまう。
「授業についていけない等の内圧」は自分を責めてしまうし、職場での仕事手順の習熟にも影響を及ぼす。

調査結果対象

兵庫県ひきこもり対策検討委員会報告書 令和2年6月 9ページ 

無作為調査でなくある程度対象を絞った調査の結果のため、どうしても該当者(ひきこもり状態の者)が多く見える。
地域の推計値を求めるには適さないから、難しいとは思うが無作為調査も実施してほしい。

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