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新奇さが売りの映画かと思ったら、意外と正統派のよく出来たホラーだった「トーク・トゥ・ミー」

12月×日
新宿ピカデリーで「トーク・トゥ・ミー」(ダニー・フィリッポウ/マイケル・フィリッポウ監督)

オーストラリアの人気双子YouTuberの長編映画デビュー作である「新世代ホラー」

っていうことで、「新しさ」が売りの、ちょっと奇をてらったような映画なのかな、と思い、そういう「新しさ」にあんまり感心したことがないので、さてどんなもんか、と見に行ったのだが、これがなかなか良く練られた話で面白かった。

ストーリー的にもまた映像的にも、特に「新しさ」は感じなかった。
むしろオーソドックスによく出来た映画、という感じ。

若者たちが集まって降霊会みたいなのをやるのだが、
その雰囲気がドラッグパーティーみたいな感じで、霊に憑依された人をみんなが面白がってスマホで撮ってSNSにあげる、なんていうのはたしかに「イマドキ」ではある。
あと、その降霊会を主催する二人組のうちの片方がトランスジェンダー?、ノンバイナリー?、ちょっとそこらへんの用語の使い方に詳しくないので間違っているかもだがとにかく見た目は男の子なのだが声が女性で、あれ?と思うのだが、それについては映画の中で特に説明はなく、またそういう属性がストーリーの中でなにか意味を持つこともない、というのも良い意味で「イマドキ」ではある。
ただ話の骨組みとしては、「面白がって降霊会に参加したために霊の世界とつながりを持ってしまいその結果たいへんなことになる」というむしろ古典的なお話。

ホラーとしての怖さはそこまででもないかな。
もちろんホラーなので怖いところはあるのだが、心霊的な部分での怖さ・・・映画を観た日の夜にトイレに行けなくなるとか、髪を洗っている時に目をつぶれなくなる、みたいな意味での怖さはそれほどでもない、と思う。
ただ、けっこう残酷な描写があり、それがキツイ。
霊にとり憑かれた人が自傷するシーンがあるのだが、これが人によってはトラウマになりかねないくらい強烈なので、そこらへんは要注意か。

よく出来ているな、と思うのは登場人物たちの性格や関係性が、見ているうちにすんなり解ってくるところ。
わりと複雑な人間関係もあるのだが、それが自然とわかるように描かれていて上手い。
そこらへんに関しては最近見た映画の中でも上出来の部類。

あと、終わり方もなかなか良い。
ホラー映画は終わり方が難しい・・・だいたいがありきたりな幾つかのパターンに収まってしまうのだが、「トーク・トゥ・ミー」の終わり方は、上手くまとまっているけれどもそれほどありきたりではない終わり方で良かった。

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