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恋の病~潔癖な二人のビフォーアフター【映画忘備録】

3週間以上映画館に行かないと体調が悪くなる、という奇病を患っているので、できるだけ2週間に一度くらいは映画を観るようにしている。
観る映画の「面白い/つまらない」はそれほど重要ではなく、とは言ってももちろん面白いに越したことは無いし、あまりつまらないと途中で席を立ってしまうのでそれでは映画を観たことにはならなくなってしまうが、とりあえず最後まで観る気になるくらいの映画ならいいのだ。

以前、仕事のストレスで気力が著しく低下して、音楽を聴かなくなり、自炊をしなくなり、部屋の掃除をしなくなった時でさえ、映画だけは観ていた。

それがこの夏、7月から9月初めにかけて、二ヶ月以上映画館に行かなかった。
不要不急の外出の自粛、という訳である。
行こうと思えば行けるのにこんな長い間行かなかったのは何十年ぶり。
3週間も映画館に行かないと体調が悪くなるのだから不要不急とも言えないと思うのだが、しばらくの間は出かけない方がいいだろう、という判断をした。普段からあまり出歩かない人間が外出自粛しても大して意味もないだろうが、全く意味がないということもないだろう。
で、二ヶ月以上映画館に行かなかった結果、かどうかはわからないが、やはり体調が悪くなったので、9月に入って久しぶりに観に行った映画が「恋の病」(リャオ・ミンイー監督)。
「潔癖な二人のビフォーアフター」という副題が付いている。

強迫性障害を持った男が同じような障害を持った女と出会って・・・というラブストーリー。
台湾映画。
台湾映画は、ホウ・シャオシェン監督の映画を何本か観たほかはあまりなじみがない。
「藍色夏恋」っていうのと「あの頃、君を追いかけた」ってのを観たくらいかな。
台湾に行ったことは無いが、なにか日本に似ているけれどどこか違っている街の風景が面白く感じる。

で、「恋の病」だが、前半は退屈した。
主人公二人の強迫性障害の描かれ方が、あまりこちらの身に沁みない、というか、その障害を持っていることのつらさ、周囲の目のきつさ、みたいなものがあまり伝わってこない。
別に障害をポップでカラフルに描いてもかまわないし、コミカルに描いてもかまわないのだけど、そこらへんはちゃんと描いてくれないと、同じ障害を持った人と出会って、ああ、自分をこんなにも理解してくれる人がいるんだ、という、この話のキモの部分が今ひとつグッと来ない。

そんな感じで前半はノレず、時折映る台湾の街の風景を楽しんだ。
あと、この映画は画面の縦横比がちょっと変わっていて、スタンダードサイズ(1対1.33だったっけ)よりもさらに横幅が狭く、ほとんど正方形の画面。
何かの仕掛けがあって、どこかで普通のサイズになるんだろうと思って見ていたがなかなか変わらない。
これ、もしかしてずっとこのままのサイズなのか?と不安になってきた辺りで、画面が横にスーッと広がる。
映画の中盤辺り。
ストーリー的にもここが転換点になる。
男の強迫性障害が、何の前触れもなくきれいに消え去る。
うろ覚えだけど確か語り手もここらへんで男から女の方に切り替わったと思う。

一方の強迫性障害が消滅したことで今までの二人の関係が崩れていく、というのが後半。
このあたりからぐっと面白くなってくる。
なかなか切ない話だが・・・。
別に強迫性障害とかでなくても成り立つような話でもある。
「花束みたいな恋をした」に近いものがある、という声も多いみたいだが、その映画は観たことがないのでわからない。

夢オチめいた最後の展開もちょっと驚いたが、なるほどね、と言う感じで面白かった。

久し振りに見た映画、最初、ちょっと失敗だったかな、と思ったが後半楽しめたので良かった。
体調は、あまり変わらないが・・・。

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