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ふたつきと新陳代謝

ハリルホジッチ解任は4月7日、あれから2ヶ月が経ち、初戦VSコロンビアもいよいよだ。新体制後で強化試合2連敗は結果も内容に対しても、本戦に大きな懸念は抱いてしまう。
日本サッカー協会のHPで4月9日付で、会見の声明が載せられている。「1%でも2%でも」好結果を生むためにという監督交代は、この期に及んでも、活躍するなどという期待は膨らむではなく、横ばいで変わらないどころか、むしろ、減ってるんじゃないか。お先は明るくない。
会見は生で全てを見られてはいないが、記者みたく隅をつつきたくなる突っ込むべきところは多々ある。「数試合の勝ち負けや世論の動向で監督交代を判断するつもりは毛頭なく、これまで厳しい局面でも総合的に判断して」、この後に解任はやむを得ないんだという主張に繋がるわけだが、世論の動向も大事にしながらトップとして日本代表や日本サッカーの未来を導くことに腐心して、指揮を振るって欲しいし、勝ち負けなんて無視していいわけ無いし、数試合ってどこからどこまでの範囲のことを言っているのか分からない。
W杯出場権を獲得してからの昨年10月からの強化試合4戦と12月の東アジア選手権3戦、そして今年のマリ、ウクライナ、ガーナ、スイス。勝敗だって、6敗2分3勝。勝てたのが、ニュージーランド、北朝鮮、中国。それぞれ一点差の辛勝でもあるし、そもそも、東アジアの3戦は国内組中心のメンバー編成なのだから、2勝1敗を除けば、8戦5敗2分1勝。ちょっと待ってくれ、ここ最近で負けまくっていて、1勝は昨年10月シリーズ、もう半年以上も前に遡らねばならないという、この惨状に、何を以って述べたような“目先の勝ち負け”を考慮しないとまで言っていいのか。出場権を獲得したからといって、その年内での負けが込むことだけでなく、コンセプトや成長路線、強化プラン。それらに伴う、予選などの公式戦でも内容。勝ってはきたものの、たとえ勝利を収めようとも、内容に文句をつけられるような、向上を目指す姿勢が、フロントに欠如していたんじゃないかと、懐疑の目を注がずにはいられない。
アジア予選を2年から3年の間に一次二次三次(こんなにあったかな?)から最終予選まで戦っていては、もしかしたらW杯や格上相手とのエキシビジョンには到底勝てないという事実と、強化試合の相手のセッティングはよくよくやらないと元も子もないということ。資金や予算が一体どうかというのは分からないが、やはり、欧州遠征や南米にも行くなり、招待国としてコパアメリカに出場するなど、この議論は非常に必要だろう。オフシーズンとのバランスは各選手の所属クラブとも、よく相談すべき問題に新たになるかもしれない。全てを含めて、協会が難しい交渉や説得をする点でも、大きな努力は、まだW杯本戦での結果は待たずとも、求めたい。
“デュエル”をテーマにハリルホジッチ氏の下で強化を図ってきたというのは、周知の事実であり、彼が各選手に最も求めてきた激しさということだが、攻撃にも守備でも相手に対して、強度も迫力も不足して見えて、圧倒は言語道断で、伍することすら出来ていないのは、多くのサポーターやファンも頷けるだろう。ならば、評論家やジャーナリスト、解説者、元プロ選手、そして勿論、実際にプレーしている選手本人たちは、果たしてどうだろうか。
敵守備をど真ん中から打ち抜く、無茶苦茶なプレーも観ていないし、敵攻撃に全く動じることのない堅すぎるディフェンスも観ていない。一体何を以って、彼の指導下でトレーニングを図ってきたのか。甚だ疑問で、そういう監督を招聘してきてしまったこと、早く見切りをつけなかったこと、選手が体現できていないこと、一体何が選手たちへ刻み込まれ強化されていったのか。スイス戦で実況又は解説が、スイスの守備陣、特に、真ん中は堅い強いと評していたが、そういうことなんだ。結局、正面突破する力を得ようとしても培われたとは言えず、選手らの意識や本能にも根付かなかった、中身と実用性や効果の薄い強化プランであり、それを皆が見過ごしてきたということではないか。蹴球列強国に先ずは、フィジカルをの大号令で本当に屈強なチームに仕上がったならば、幾許か失点は抑えられ、得点は増えたのではないか。ブラジルが強くとも、しっかりと粘りのある守備を見せては、時にカウンターを繰り出して、善戦や接戦も演じられただろうし、ベルギーにも攻守において要所で驚かせることが出来たかもしれない。
点差からは分かりにくいが、惜敗でも良い試合をした訳ではない。そして、スイス戦。監督交代直後とか、時間が経ち戦術浸透とは別に、全く良い試合を出来なかったというのは、この半年間を振り返って、明らかではないか。ブラジル戦、ベルギー戦から、いやその前から、本当に少しでも良くなったか、良いとは言えないまでも変わったのか、正直言って、さして変わっていない、そう見えてならない。3連敗するかどうかは分からんが、グループリーグを突破することなど、絵空事に過ぎないだろう。
スイス戦については、力を尽くす意味が無い試合や相手となれば、本気でプレーするなんてことはなくなってしまうだろう。スイスがいつからか無気力になったわけではないと思うが、流してもどうにかなる相手に、特に後半はなってしまったし、シュート0本の時間も長く続いた。これは、相手が上手いからということも言えるかもしれない。1失点くらいは前提に、粘り勝つとかいつの間にか試合をコントロールする力を見せて欲しかった。1-1に出来れば、非常に強度の高い実戦的トレーニングやイメージにも繋がるが、1-1に追いつきそうな力で以って、スイスを焦らせることはできなかった。相手を安心させるくらいに舐められてしまった、そのくらいのものしか出せなかった、そのことに危機感も強めるべきだし、この最近のお馴染みとなってしまった、失点してからのチームの勢いの落ち込み具合は、憂慮すべきものがある。
強化試合であれば、尚更だ。体感してきたはずなのに、息の根を奪いに来させるようなゲーム展開は起こらなかった。今までもそういうゲームは見てきたし、このスイス戦もそうだ。何故、死に物狂いで、そして、なるべく早くに同点弾を挙げられなかったか。後半開始以降、暫くの間、シュートもなかったのだから、無理もない。ココにも選手交代の起用や戦い方の意識と問題はある。
平均年齢からは“おっさんジャパン”だったり、所属クラブで実績を残しかつスタメンとして主力で活躍はしていても、この代表という舞台で輝きを放てないならば、出すべきではないだろう。全体としてオッサンであっても、スタメンや主力を一新すれば、そんなことにはならないのではないか。
私の個人的スタメンは、4-3-3もしくは4-5-1で、GK中村、DFは左から長友、昌子、上田、遠藤。MFは1ボランチに山口、そして柴崎と大島、FWは武藤、原口にトップは大迫。リザーブからの優先は、東口、酒井高徳、酒井宏樹、宇佐美、乾のこの五人だ。と言っても、乾ももう30歳か、まあ腐ったリンゴではないとしての選出だ。4-3-3が怪我や退場で、特に、MFでズレが生じれば、4-5-1/4-2-3-1に戻すことも厭わない。しかし、この4-3-3の陣形とメンバーであれば、MF三人も攻守でバランス良く動け、FWへ厚みも加えられるだろう。DFは先ずディフェンスありき、押上とサイド攻撃は求めたいが、余程のチャンスでなければ、単純にクロスで枚数過多の可能性が高いペナルティエリア内のオフェンスに供給しても得点イメージは湧かない。しかし、クロス攻撃やコーナーキックとフリーキックでのセットプレーを捨てるわけではない。大迫だけではなく、ワントップやツートップなどで守備陣と対峙する武藤もいるのだから、この2人のせいで海外の屈強なディフェンス陣も慢心はできないだろう。原口がサイドを変えたり、真ん中で好きにドリブルしたり打開するのも良いし、大迫と武藤も中だけでなく、左に右に、時にカットインしたり、勿論、裏への飛び出しで一対一になんてのも面白い。2人がいれば、長友のトライで左足クロスも切り返しからの右クロスからも、随分と期待はできる。
理想的な動きのシミュレーションに過ぎないが、今の閉塞感漂う現状をブレークスルーするには、劇薬投入も辞せない、そのくらい世界最高峰とされる舞台で戦う彼らに対しては、悲観的だ。およそどのナショナルチームも、本戦前のトレーニングマッチ終えた中、幸いなことに、サムライブルーには、パラグアイ戦が残っている。徐々に良くなっていると口にする、その通りに、本番へ向かう良い準備となって、結果へ繋げることができるか。熱い応援をしたくなるチームになるきっかけを待ちたい。

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