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3/31/’24「熊谷悠一アワー」(渋谷のラジオ) No.312 プレイリスト



【Tracklist】

  1. Tribal Gold “Something in My Peace Pipe”『Tribal Gold』(2024)

  2. 細野晴臣 “終りの季節”『HOSONO HOUSE』(1973)

  3. Waxahatchee “Right Back to It”『Tigers Blood』(2024)

  4. Sierra Ferrell “Dollar Bill Bar”『Trail of Flowers』(2024)

  5. Lotta St Joan “Between You and I”『Song for the Undecided』(2024)

  6. Caetano Veloso "Branquinha"『Estrangeiro』(1989)

  7. VINI “The Cage”『my mom doesn’t like this』(2022)

  8. J. Lamotta すずめ “Asulin”『Asulin』(2024)

  9. J. Lamotta すずめ “自信を持って彫刻する”『Asulin』(2024)

  10. Faraj Suleiman “Unsolved Cube”『As Much As It Takes』(2023)

エンディング曲
Faraj Suleiman “Dal’ouna in the Galilean Wedding”『As Much As It Takes』(2023)

※ アルバムタイトルと8曲目の ヘブライ語表記:אסולין
9曲目の ヘブライ語表記:חרטטי בביטחון






放送後記

今週の新作紹介は4枚。それぞれ番組でかけた曲以外のヴィデオ・クリップを貼っておきます。


まずWaxahatchee (ワクサハチー)名義で活動する自作自演型の歌手、もう7枚目だそう。数年前にPlainsという別名義の二人組でもアルバムを出していて、そこから聴き始めました。カントリーをルーツにしつつロック色も濃く、かなり聴きやすい。良い曲を揃えてきています。歌も真剣だし、バンドの演奏も的確。

Waxahatchee - "Bored"



Sierra Ferrell (シエラ・フェレル)に関しては僕はただのファンと化すので、冷静な分析は不可能。まだ2枚目のアルバムですが、精力的にライヴを続けているようで、もうすでに憧れの存在になっていることがこのヴィデオでも伝わってきます。この人もカントリーを含むアメリカのルーツ音楽を吸収していて、古き良き香りのする曲を作っています。何より、上り調子の勢いを感じさせるところがいい。この先どこまで行くのか楽しみ。

Sierra Ferrell - American Dreaming (Official Video)



Lotta St Joan (ロッタ・セント・ジョーン)、この人も好きだなぁ。やはり2作目のアルバム。全編を英語で歌っていながらも拠点はベルリンに置いている。一言でまとめるとフォーク歌手かな。やや厚めの弦が施された編曲で緩急をつけている。ジャケット写真もヴィデオも基本的に全てモノクロ(この映像は珍しくカラー)で、どこか悲しげで寂しげな雰囲気によく合っている。メロディが美しいので聴き惚れてしまう。この内省的な歌声が好きになれる人は入っていけると思う。

Lotta St Joan - » Once « (Official Music Video)



そして最後、今週最大の注目作はこちら。
J. Lamotta すずめ、ヘブライ語でのアルバム。モロッコに出自を持ち、イスラエルはテルアビブで生まれ育ったとあるので、彼女自身のルーツに立ち返っているのでしょう。
これがまた驚きの大変身で、正直こんなにすごい才能だとは気づけていませんでした。これまで複数枚の作品を英語詞で出し、何度か来日もしていて、ソウル・ミュージックを現代風に鳴らしたい人なのかな?ぐらいの認識でした。
ところが。
おそらく母語なのか、普段から慣れ親しんでいる第一言語なのでしょう、ヘブライ語に徹することで、完全に本領発揮。ラップも決まるわビートもドカドカきてるわで別人かと思うぐらい。その分、何を歌っているかGoogle翻訳で調べても意味があまり取れないし、広く世界に届けようとする作品にはなり得ないのが悲しいかな現状みたい。
もったいない。
僕はこっちの方が断然カッコ良いと思う。少なくとも本来の彼女自身により近いはず。でも最初からヘブライ語で歌っていたとしたら、おそらく僕の耳には届いていない。逆に言えば、第二言語か第三言語か、英語であそこまで活動を広げていったのは力量がそれだけあったからなのかも。
ここに葛藤がある。
そんなことは、実際に歌っているミュージシャンが一番感じているのでしょうけどね。今に始まった話ではないし。

このヴィデオ・クリップもえらいカッコ良くて痺れました。

J.Lamotta - עץ או פלי (Heads or tails)


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