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コラーシュでカラフルなショッピングモール:サイダーのように言葉が言葉が湧き上がる

「映画大好きポンポさん」、「竜とそばかすの姫」に続いて夏アニメ映画3作品目。「サイダーのように言葉が湧き上がる」

「竜とそばかすの姫」のような自分が巨大なインターネットに巻き込まれていく、いわゆる「セカイ系」アニメとは違い、とても小さなコミュニティ内で完結するのがこの作品の特徴かと思う。舞台はほぼショッピングモールであり、時々帰り道の田園風景や、主人公の家である団地が登場する。

とても小さな世界観のように映るが、しかし一方でショッピングモールという「コラージュ的な空間」はアニメ舞台として描かれたことは新鮮であった。

コラージュとは”通常の描画法によってではなく、ありとあらゆる性質とロジックのばらばらの素材(新聞の切り抜き、壁紙、書類、雑多な物体など)を組み合わせることで、例えば壁画のような造形作品を構成する芸術的な創作技法”(Wikiより)であり、主に美術用語として用いられることが多い。

今回の舞台であるショッピングモールという建造物にもこの「コラージュ」の概念は大いに当てはまる。本作に登場するショッピングモールはリアルな世界のそれと同様に、なんでも揃う空間として出来上がっている。物にありふれたショッピングモールと、その周縁にある畑以外に何もない田園空間のコントラストは本作のキーコンセプトだろう。そこには介護ホームからレコードショップ、本屋、服屋、休憩所、それらの空間を自警するガードマン達の休憩所までありとあらゆる空間が一箇所に集合している。、ショッピングモールとは、それらの空間を一つの場所に無理やり組み込んだかのような、三次元的な「コラージュ」空間なのである。

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そして、ショッピングモールが体現する「コラージュ」性に呼応するかのように、本作のショッピングモールの色彩は非常にカラフルなものとなっていることが窺えよう。ショッピングモールの全体を映し出すオープニングのカットを見た時点で、つまりそのカラフルさを我々が目の当たりにした時点で、コラージュ的空間としてのショッピングモールは舞台装置として機能し始めたというわけである。

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