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商品価値以上の金額を支払うことで得られる価値(エルメスの夢のかたち展をみて)

久しぶりにど田舎から東京に帰郷しています。新宿に到着するや、そのままバスキア展目当てに六本木に移動してみると、六本木ヒルズのちょっと手前あたりで、エルメスが展示を行なっていたので吸い込まれるように足を踏み入れてみました。

「夢のかたち Hermes Bespoke Objects」と銘打たれた展示会場では、こだわりの夢を形にしたエルメスのスペシャルオーダーの品々が並んでいました。

アウトドアブランドに身を包んだエルメスなんぞとても買いそうにないような髭面の男にも丁寧にご対応いただきました。

確かに縁はないですが、エルメスのような高級ブランドそのものは純粋にカッコ良いと思ってますから、その展示もかなり楽しませていただきました。

エルメスはもともと馬具から始まったブランドだと勝手に認識していますが(あってます?)、そうだけあって、レクリエーションにとことんにこだわったような特注品がズラリ。

個人的なお気に入りはこんなかんじ

カッコイイです。

この調子で展示品が並んでいて、エルメスの商品の購買には一切誘導することなく終わるんです(誘導されても僕は買えない!)。そんな無料の展示を六本木ヒルズの足元でやっているんだからすごい。

単純にエルメスに対して好感度も信頼度もアップしますから、それだけで彼らとしては大いに展示の価値があるのでしょう。

そこで思い出したのが以前に体験したパタゴニア社の対応です。

ニセコにこもってスノーボードをしていたときに、札幌のパタゴニアアウトレットでジャケットを購入したのです。

で、そのジャケットを着て連日滑りまくっていたのですが、手首のところのマジックテープの粘着具合が次第に弱くなっていきました。

手袋を手首の裾にインするのに何度も開け閉めする所ですから、消耗が激しかったこともあるでしょう、毎日のように1ヶ月以上滑り倒したところで、使用に支障がでてきました。しかしシーズンはまだまだこれからです。

そこでパタゴニアに電話をして、その症状を伝えたところ、すぐさま新しいモノを送りますという話になったので驚きました。不具合の状態を実際に見たわけでもないのに。もちろん毎日使い倒していたことは説明しています。

なんでもシーズン真っ只中のアクティビティに関わる商品への対応は最優先ということでした(僕が買ったのはアウトレットだというのに)。

しかも、実は購入したサイズが使ってみると少し小さかったと相談してみると、じゃあワンサイズ大きいのを送りますということに。すごい。

で、数日後には新品のジャケットが届いたので、僕はギリギリまで着ていた古い方のジャケットをパタゴニアに送ったのでした。

もうファンになるしかないですよね。それなりに良い値段をつけているだけあるんです。

日本のパタゴニアはアメリカで買うよりもだいぶ高い価格帯で売ってますから、それがために批判されたりもするのですが、これだけ素晴らしいサポートを受けられるのだったらその価格も当然じゃないかと思えます。

そういえば昨日もiPhoneのウォレットアプリの不具合のためにアップルに相談したら、スペシャリストの資格を持った方が対応してくれて、結局問題は解決しなかったものの、素晴らしい対応をしていただいて感激していたところでした。

アップルには何度か相談したことがありますが、いつも良い印象です。たしかに商品はほかのスマートフォンより高いですが、高いだけあるカスタマーサポート体制を整えています。

昨今は価格ドットコムなどで少しでも安いところを探して買うひとも多いでしょう。そもそもネットショップは実店舗より安い事が多いです。

しかし実店舗や専門店では、その道のプロに直々に相談できますから、その商品の使用感も含め、生の知見を授かる事もできます。登山用品店やサーフショップなどはまさにそうでしょう。商品は少し高くても、お金では必ずしも得られないサポートがついてきます。

最近のデジタルディバイスはApple WatchにしろAir Podにしろすぐさま中国製の安価な代替商品が出ますが、全てがとは言わないものの、物によってはすぐ不具合が生じて、しかもたいしたサポートがついていないから、安物買いの銭失いみたいなことが起き得ます。

しかもアップル製品はメルカリなどで高く売れるでしょうが、中国製の代替製品はそうはいかないでしょうから、結局どっちが安いかというとあながちアップルに軍配が上がるケースも少なくないような気もします。

なんだか話が長くなってしまいましたが、お金を払うべきは商品そのものの価値だけではなく、サポートという人と人との繋がりにもあるなと思ったのでした。

しかも人と人との価値はいくらお金を積んでも買えない価値だったりするわけで、ようは、お金を余分に払えば、お金で買えない価値が買えるかもしれないということなんです。

(新暦11月7日 旧暦10月11日)


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