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愛しい息子が。。。Ⅰ

愛しい息子が竹刀を粗大ゴミに出す

息子がスキー板と一緒に
粗大ゴミに出すと言ったのは
幼稚園で剣道を習った時の竹刀と
麻布中高で選択した剣道の竹刀と木刀だ

『ついでに道着や防具も全部処分したら❔』と言うと
『これは取っとく❕』と言ったので
『じゃあ竹刀や木刀も残しておけばいいじゃない』と言うと
『竹刀はまた買えばいい』と言った
その辺りの息子の心理は母にはわからないが
10年以上押入れのどこかに眠っているだけの防具たちは
すでにカビが生えているんじゃないかと気にかかるが
そんなことは息子が考えなければばならないことだし
麻布の銘入りだから手離しがたいのかもしれない
あえて言わずにおいたが、
『標準服や学帽と一緒にバザーに出しゃあ良かったのに』
と母はしつこく思っている(笑)

それから
もう25年も前のことだが
息子が通った私立幼稚園には剣道の授業があった
講師は息子が乗る園バスの運転手のT先生だった
いじめられっ子だった息子を気に掛けてくれる
逞しく優しいT先生を息子は大好きで
剣道の時間をとても楽しみにしていた
息子が小学生になってからかけっこが早くなり
リレーのアンカー選手になったと聞き
運動会の時に応援に来てくれた

麻布に合格した時に
幼稚園の先生たちに見せると言って
麻布の標準服と学帽を着て報告に行ったら
T先生もとても喜んでくれて
園庭で記念写真を撮ってくれた

しかしその2年後に
突然の病で亡くなってしまわれ
卒園児の母としてT先生の葬儀に参列した時
T先生がその時の制服姿の息子の写真を
幼稚園の自分の机のそばの壁に貼って
いつも嬉しそうに見ていたと幼稚園の先生から聞いた
卒園後も路上で園バスとすれ違うと
運転席から手を振ってくれたT先生の笑顔を
母はいまだに思い出す


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