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夏バテ(コップ一杯の夢と適量のノンフィクション)

夏バテになった。スーパーの割引パンを惰性で買うようになったからずいぶん堕ちてるとは思う。だけどアルコールやセフレには頼りたくない。熱帯夜に見るドロドロした夢のような時間は過ごしたくないのである。

オクラや納豆みたいなネバネバしたものやカレーが効くらしいが、作るのは面倒くさいし買うには値段が高い。こりゃあ重度の夏バテだな。起きてから着替えることすら忘れ、Tシャツとステテコのままで日中を過ごす。朝食も食べずにアテもなくブラブラする。

今年の夏も何も無かったな…。ふと砂浜が目に入った。海の家や海水浴場という名前がつくほどでもない、小さな浜辺だ。ついこの間までは近所の子供達が飛び込んでいたが、夏休みが終わったのか今は人気がない。砂や塩水がまとわりつくから避けてきたが、思い切って入ってみることにした。

裸足になり足先を少しつける。指の隙間から伝わる砂の感触が気持ちいい。ザザーという海の声が鼓膜に響く。ステテコだから思い切って膝のあたりまで入ってみる。波に流されて思わずバランスを崩しそうになる。社会人が1人で水遊びをしているから、側から見たら不審者だろう。それでもいい。自然の偉大さを感じながら小一時間ほど過ごした。

帰ったら足をよく洗わないと。スキンケアもしなきゃな。足首に残った砂と日に焼けた肌を眺めていると、夏バテも忘れて気持ちよくなっていた。

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