ダブルス戦術③ 並行陣の取り方

ダブルスの戦術、第3回目は並行陣の取り方について説明します。アプローチショットやリターンダッシュなど様々な方法を駆使してボレーに入ろうとする方は沢山おられると思います。しかし、ファーストボレー(1打目のボレー)がどうしてもローボレーになってしまったり、ハーフボレーになってしまう事は多いのではないでしょうか?今日はしっかりと並行陣を取るためにはどうしたら良いかという事を説明します。


アプローチショットを打つポジション

1番最初に考えて欲しいのはアプローチショットを打つ場所があっているかどうかです。アプローチショットを打つ場所というのはコースではなく、自分の体がコートのどの場所にあるかという意味です。

3つの図を見て下さい。

ベースラインからアプローチ
ベースラインとサービスラインの間からアプローチ
サービスライン付近からアプローチ

アプローチショット1つとっても大きく3パターンに分かれます。冒頭にも説明しましたが、並行陣を安定して取るためにはローボレーとハーフボレーを無くす事が条件です。そう考えると1つ目のベースライン付近からのアプローチショットはしてはいけないと考えるでしょう。自分の走る速さとも相談して欲しいと思いますが、どれだけ足の速い人でもベースラインからアプローチを打ってサービスラインまで到達する事は不可能です。よって、並行陣を安定して取るというのは難しい事だと考えられます。

では、2つ目の画像ならどうでしょう。ベースラインとサービスラインの間からのアプローチです。このアプローチショットが1番多いと思います。アプローチを打ってからサービスライン上にポジションを取ろうと考えた場合、アプローチの打ち方でサービスラインに到達できるかどうかが決まります。

下の図を参考にして下さい。

前に入りながらアプローチを行う

止まってからボールを打って、そこから更に前に前進する!では遅いのです。ベースラインとサービスラインの間からアプローチショットをする時は、少し前に入りながらアプローチショットを打つと相手が打ってきたボールに押され負けする事もなく、安定した並行陣を取る事が出来ます。止まってからボールを打った場合、1度動きが停止してしまうので、次の動作がどうしても遅れてしまうのです。細かい動きの注意となりますが、ベースラインとサービスラインの間のボールは前に身体を動かしながらアプローチショットを打つように心掛けましょう。相手のボールに押されて後ろ体重にならないように注意して下さい。

最後にサービスラインからのアプローチショットの説明ですが、


サービスライン付近からのアプローチ


この場所からのアプローチショットはどうやって打っても並行陣は安定して取る事は可能ですね。その場合は、アプローチショットの精度に意識を持っていって下さい。先程のベースラインとサービスラインの間のアプローチショットとは違って、しっかりと身体を止めてから、身体の回転や体重移動を駆使して力強いアプローチショットを打ってから前に動いていきましょう。精度の高いショット(スピードが速い、ボールが重たいショット)を打つ事で相手の返球ボールの勢いが弱くなり、チャンスが来る事が多くなるでしょう。

アプローチを打つ場所を明確化する事と、各場所での打ち方や前の入り方を変更するだけでローボレーやハーフボレーはほとんどしなくて良い状態になります。ほとんどの方が戦術の正解を求めてしまう為に、躊躇しながらや考えながらアプローチショットを打ってしまっている状態です。戦術に辿り着く前に、まずは並行陣をしっかりと取る事を考える事が最優先です。

リターンダッシュの場合

リターンダッシュの場合もスタート位置(リターンのポジション)を考えるだけで並行陣の取り方は大きく変化します。

ベースライン付近でリターン

上の図のようにベースライン付近で止まって打ってから前に行こうとしている方は、絶対に並行陣を取ってはいけません。どれだけ相手のサーブの速度が遅くても、自分の足が速くてもサービスラインに辿り着けません。仮に物凄い勢いで走って辿り着いたとしても、次のボレーの事を考える事は出来ないでしょう。ファーストボレーを失敗してしまう可能性は格段に上がります。では、立ち位置をどのようにすれば良いでしょうか。

下の図を見て下さい。

ベースラインから2歩前に入った場所からリターン

リターンを打つ前にベースラインから2歩、コートの中に入っておきましょう。そこからリターンスタートです。このように最初のリターン位置を前にずらしておけば落ち着いてリターンを打ち、焦らずにサービスラインに辿り着くはずです。このリターンの打ち方も先程説明した、ベースラインとサービスラインの間のアプローチショットと同じように前に前進しながらリターンを打って下さい。ただし相手のサーブが速かったり、回転がかかって凄く跳ねてくる場合は注意して下さい。前に行けない場合が出てきます。その場合はライジングショットを使って展開を早くして前に行ってしまう(男性のダブルスで良く使われる手段)か、しっかりとリターンを打ち返して雁行陣で我慢をするかのどちらかになります。相手のショットの精度を見極めて、どういうリターンをするか判断しましょう。

まとめ

並行陣を取るという事だけを考えるならば、打って前にいけば良いでしょ?で終わってしまうのですが、ボレーを安定して打ちたい!という思いが加わるだけで、アプローチショットの方法や打つ前のポジションは大きく変化します。特に相手が打ってくるボールの精度を判断するのは凄く難しいのです。相手の振り方だけでなく、ラケットとボールが当たった時の音も聞いて、見て判断するのではなく雰囲気も含めて、全てで感じ取って下さい。感じ取る事こそが予測に繋がります。

前に詰める動作でサービス&ダッシュもありますが、サービス&ダッシュは特殊なので、また別の回で説明したいと思います。

テニスはボールを見て打ち返すスポーツではなく、相手が打つ前に返球コースやボールのスピード・回転を感じ取って予測をして打ち返すスポーツです。相手が打つ前から次の自分の攻撃は始まっていると考えてプレーしましょう。

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