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全ての組織構成には意味があり、戦略的意図が存在するべき

こんにちは邨山毅です。孫子の兵法が大好きです。
シリーズBで、分業構成を90度転換する組織デザインが必要になった話です。その過程での学びを書き連ねます。

昨年読んだ100冊のうち15冊は組織デザイン系の書籍でした。
今回はそんな中でも、基礎的な話ではありつつも体系的に学習できた以下の本から影響を受けて実行した組織デザインの話です。


シリーズBで訪れた、スケーラビリティのある組織への体制変換

事業が伸びる過程でどの会社でも経験するプロセスだと思いますが、ペイトナーではシリーズBで訪れました。
目的を端的に言うと、属人性の排除とスケーラビリティの醸成です。

このタイミングな理由はいくつかあり、人が抜けたこと、事業の伸び幅から必要性に駆られたこと、マネジメントコストが大きくなってきたことなどです。

これまでも属人性が生まれすぎないように常に気を配っていたつもりですが、あくまでもそれは業務レイヤーの話であって、根本的には「組織構成」を再構築することが非連続な成長には不可欠と感じました。

全ての組織構成には意味がある

「組織デザイン」"分業のタイプ"より

ソフト面:業務分業

教科書的な話ですが、分業にはいくつか定義があり、垂直分業と水平分業、また水平分業の中でも機能別分業や並行分業、、、、、と多種多様な組織形態があります。
現実的にはどれか一つのみ採用しているなんてことはほとんどあり得なく、さまざまなパータンを組み合わせてマトリクス的に組織運営されています。

そんな中でピックアップしたいのが、それぞれの分業タイプごとに「いち個人/いち業務に属する不確実性の総量が変わってくる」ことです。

例えば上記で添付したイラストで言うと、並行分業よりも機能別分業の方が不確実性が少なそうなことはイメージできるのではないでしょうか。
さらに垂直的に思考と実行を分離(ビュロクラシー化)させ「こねることの実行のみ」と業務を定義すると、よりオペレーショナルな側面が強くなりそうなのがわかると思います。

こうした業務の分解をすることで業務の再現性が高まり、スケーラビリティが醸成されてゆきます。

ハード面:人材調達

業務分解をしていくとスキル面の採用基準も明確にできます。
各業務それぞれで知的難易度・物理的難易度が異なっているため、「食パンを製造できる人」を採用しようと思うと、知的水準も物理的水準も一定以上の人を採用しないといけないかもしれません。一方で「こねることの実行のみの人」を採用しようと思うと、物理的水準のみを採用要件とすれば良いかもしれません。

つまり採用難易度は下がり人材確保の再現性を高められ、ハード面からも組織にスケーラビリティが醸成されていくことになります。

ただ必ずしも不確実性を減らすことが良いことではなく「個人の裁量が減る」とも言い換えられるため、メンバーの指向性や組織フェーズ、業務内容ごとにチューニングする必要があります。
この概念を認識しているかどうかで組織運営の難易度はかなり差が出ますし、併せて全ての組織構成には意味があるべきだなと感じます。

全ての組織構成には戦略的意図がある

サッカーも好きです

本題のペイトナーにおける分業構成の転換でいうと、「CS組織においてはビュロクラシー型に機能的分業を進める」ことが大きな変化でした。

今後事業運営していく中で、顧客数が伸びることで比例的に工数が増えていく性質だったことが、CS組織に限った意図です。
これまでは探究フェーズだったため少人数で並行分業していましたが、事業の拡大に備えて90度の分業構成転換です。

それ以外のチームに関してはホラクラシー的に運営しており、不確実性だらけで裁量を一定量以上確保しています。
(各領域で自主的にチャレンジできる幅を大きく持たせておきたく)

一方でホラクラシー的に組織運営することは、人が増えることでコミュニケーションパスが加速度的に増えていくことがネガティブな要素として挙げられます。
なので、どこかのタイミングでそちらも再考することになるかもしれません。

「組織デザイン」"ヒエラルキーのデザイン"より

どんな形も一長一短なので、柔軟に変化させていかないとですね。

ペイトナーファクタリングの運営においては、現状この形が最も効率的で、個々の能力が最大限引き出せる形だと考えています。

本記事で記載している内容からは若干論理が飛躍するところもあるのですが、、
事業運営上「新規顧客が増えないのはマーケティングが悪い」「不具合が多いのは開発が悪い」などとわかりやすい機能組織に責任所在を押し付けがちですが、根本的には全てのパフォーマンスは全社の組織構成に紐づいており、組織構成を考えることこそが事業成長に最もレバレッジをかけるのではと諸々思考を重ねていく中で思えてきています。

人が大事なのはもちろんですが、仮に組織構成が歪んでいても、そこをどうにかパワープレーで導いているのが人材や戦略なのではないかと。
もちろん両輪であるべきですが、僕自身はこれまで組織構成を過小評価してきていました。
今後もっと韓非子にもdeep diveします。

これからの課題

ここまで述べてきたことはある種机上の空論で、他にも考慮すべき点はたくさんあります。特に難しいと思っているのが、トレードオフ的に顕在化してくる別視点からの課題です。
完璧な形など存在しない前提からすると、トレードオフが発生するのは致し方ないのですが。。
今自分の中で課題として顕在化しそうと感じているものも既にあり、下記にいくつか記載します。

能力密度の低下

これまでの記事でも能力密度について触れていますが、ほぼ間違いなく顕在化する課題であり最も乱したくない要素です。
分業によって業務難易度を下げていることから、能力密度を自ら下げようとしているとも捉えられます。

人が先か、組織が先か

ビジョナリーカンパニーや山口周さんの書籍等を読んだことがある方は土地勘あるかもしれませんが、人ありきで組織を作るのか、組織ありきで採用するのか、も大きな論点となってきています。

EMの脇田さんとも頻繁にこの辺りの会話をさせてもらってかなり思考した部分ではあるので、また別の記事で紹介できればと思っています。

また、この組織転換による不都合なども発生したら続報として記事にしていければと思います。

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