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先生

うおおオオオオオおおおおおお。近い近い。ちょっ、すみません、もう少し離れてもらってもいいすか。いや、マジで冗談抜きで。ああ、はい。ありがとうございます。あ、そのくらい離れてもらえれば大丈夫です。ありがとうございます。一息つけますから。ふう。すみませんね、わがまま言っちゃって。でもちょっと、苦しくなっちゃうんですよ、自分。息がね。呼吸浅くなっちゃうもんで。気付くと結構頭ん中で同じことグルグル回ってるタイプで。もう最近は気付いたら「あ、バッド入ってるな」でその思考の塊ごと切り捨てちゃってます。はい。えぇ。あー、まぁ確かに。そういうところもあるかもしれないですね。えぇ、えぇ。わかる気がします。なんか、子供の頃から結構妄想とか入り込んじゃう方だったんですよね。頭の中で見てる世界に意識がいってて、帰り道とか歩いてる時も、いつのまにか家の目の前に立ってる、あれ?なんで?みたいな。でも確かに言われてみると、その時の妄想には楽しいものもあったような気がしますねぇ。今から思えば、現実逃避だったのかも。辛いことから逃げたくて、目の前の世界よりも頭の中の世界に重きを置いていたところはあったかもしれません。さっきもちょうど、バッド入りそうになっちゃって。え?グッド?バッドじゃなくて、グッドですか?はぁ。それってあれですか、あのー、病は気からみたいな話ですか?似てるけど違う?そうですか。え、先生もそうやってバッド克服したんですか?気付いたらグッドになってた?ヤバいスね(笑)ちょっとそれ、本当ですか?あー、なんか今グッド入りそう、アァ、グッドグッド。いいね。みたいな、こんな感じですか?なんか…いい感じですね。グッドです。グッド・トリップみたいな。トリップて(小笑)先生もあれですか?やっぱり人に出してる薬は自分でまず全部試すぞ!みたいな…結構体張ってるタイプ。あ、いや、貼り薬も全部貼ったとかそういう話ではないんですけど。でもなんか、先生と話してたら、最初ここにきた時にその辺にいたバッドが、それこそグッドになったような感じしますよ…え?俺は先生じゃない?俺はお前だ?ちょっと、突然怖いこと言いだすのやめてくださいよ。まだ四月ですよ、先生。だから先生じゃないって?じゃあ、誰なんですかあなたは。いやいや、俺はお前だじゃないでしょ。先生。先生が俺なら、俺は誰なんですか。え?俺が先生?いやいや(笑)さすがにそれは無理あるでしょ。僕、医学部の医の字もかすってないですよ。俺はお前だとか、お前は俺だとか、バッドはグッドだとか…そんな、何でもかんでもひっくり返せばいいって話じゃないですから。じゃあ、トリップはステイホームですか?バッド・トリップはグッド・ステイホーム?なんかそれっぽくなっちゃったじゃないですか先生。ゴー・アウトサイドしてください。でもそれって、カム・インサイドってことですよね。なんか上手いこと言ってるよこいつみたいな目しないでくださいよ。え、してない?あぁそう。…先生?大丈夫ですか、先生?先生??先生!?先生!!先生!!!!!誰か!!!!!!先生が!!!!!!!!!誰か!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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