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「響け!ユーフォニアム」12話感想 それぞれの道、久美子の決断、大人になるという事。

感情ぐちゃぐちゃです…

黄前久美子の、その成長を描く物語として、最高の選択だったと、そう思います。


9話、10話の感想ブログ。


※以下本編ネタバレ注意

個人的な解釈が多分に含まれます。


この作品で描かれた久美子の道、『大人になる』という事。

それは『自分の正しさ』をぶつける事ではなく、『個人に寄り添う』事でもなく、きっと『多くの人が納得出来る道』を探す事なのだと思います。


関西大会では黄前久美子が叫んだ、みんなの音が、心が揺れる中、全員の芯にあるものは同じだと、だから信じて欲しいと。

結果は金賞、オーデイション自体に不満を言う人はいなくなった。

しかし、この話でもソリに黒江真由が選ばれた際には、会場はざわめく。

オーデイションに不満はない、結果も受け入れる、でも、納得はしていないのだ。


黒江真由と黄前久美子の実力はほぼ拮抗していて、滝先生ですら判断が難しい状態。

どちらがが選ばれてもきっと全国で戦える、なら選ぶべきは部の支柱となっている『黄前久美子』です。

でもここでその決断を選してしまっては『実力主義』という柱が瓦解します。


9話 加藤葉月「それ気にしてたらそもそもオーディションって成り立たない気もするよ。少なくとも私はシンプルに実力で選ばれていると思ってた。だから去年も納得したし、今年目指して頑張れた。」

継続して努力出来る環境を作る事はとても難しいです。
でも全国"金"という目標、実力という明確な基準を作る事で、北宇治は成長してきた。


部長だから、支えだから、黄前久美子を選んだ。

それはこれまで努力してきた人達を否定する決断になりかねません。


誰が選ばれても戦える、誰を選んでも部は揺れる、なら選ぶべきは、全員が納得出来る道は、だからこそ、全員参加のオーディション。


2年前、高坂麗奈中世古香織が戦った、実力主義という明確な柱が北宇治に生まれた、その場所で。


結果的には高坂麗奈になりましたが、しかしその決断をしたのはほかの誰でもなく中世古香織でした。

1期11話 中世古香織「ソロは、高坂さんが吹くべきだと思います。」

高坂麗奈が吹いた瞬間、ほぼ全員が目を見開くような差があっても、実力で選ばれる事はなかった。

空気読まず、感情を抑え、正しい決断をする事は難しいです。

だからこそ、余計な感情が入らないよう、久美子は目隠しを提案した。

二の前にならないように、正しさを貫くために、全員が納得できるように、公平であるように、奏者として、麗奈と肩を並べるために。


実力主義、全員の気持ち、奏者としての矜持、全てを守るこの決断は、本当に、これ以上ないものだったと思います。(滝先生と一緒に涙ぐむ私…)


でも、それだけじゃ足りなかった。


選ばれたのは黒江真由、自分で選んだから、実力主義だから、それで納得出来るほど、多くの人は強くありません。


だから、黄前久美子は1歩踏み出した。

「これが今の北宇治のベストメンバーです!ここにいる全員で決めた、言い逃れの出来ない最強メンバーです!!」

ただただ平等に、正しくあるために、みんなが納得できるように。

「これで全国へ行きましょう!」

自分の気持ちは押し殺して、向かうべき目標はたった1つ、今1番必要な事を。

「そして一致団結して、必ず、金を、全国大会金賞を、取りましょう!!」

奏者である事よりも、部長としての背中を、決断を。


これまで奏者としての正しさを貫いた高坂麗奈、人の心に寄り添い続けた塚本。

北宇治がオーデイションで揺れた際、麗奈と塚本の意見は対立したものの、どちらも正しく、しかし偏れば崩壊する状態でした。

だからこそ久美子が探し続けたのは「全員が納得出来る答え」

2つの意見を飲み込み、間を取る、視点は自分でも、誰か個人でもなく、もっともっと大きく、全員が納得出来るように、共通の、根底にあるものに訴えかけた。

ドラムメジャー、副部長、部長、それぞれの立場で最適な答えを持っていたように思います。

というかこの三人を選んだ『なかよし川』コンビが一番凄いんじゃ…


松本先生「心配するな、大人になったらすぐ思うようになる、子供って、凄いとな。」

そして久美子の台詞を聞いた後、今度は松本先生と一緒に涙ぐむ私…久美子…あんたかっけぇよ…!!大人だよ!!


奏者としての正しさを貫いた麗奈と、部長としての正しさを貫いた久美子。


黄前久美子「この気持ちも、頑張って誇りにしたい…!!どんなに離れてても、麗奈と肩を並べられるように!」

それぞれの決断や、歩む道は違くとも、2人の選んだ答えは自分の正しさを信じ抜いた誇り高いものだったと、そう思います。


もう感情ぐちゃぐちゃです…尊い…あまりにも尊い…!!

毎週言ってるような気がしますが、12話も神回過ぎて、これを自分の中でまとめないと最終回は観るべきじゃない!!と謎の決断をしていました(笑)


これから最終回観るのがすこぶる楽しみです!!

久美子の成長を描く物語としてはここで終わったと思うので、あとはボーナストラックですね。

全国大会の結果は、久美子の将来は、塚本久美子は登場するのか!?、滝先生と麗奈は、サファイア川島と求くんは、あすか先輩もう一回観たいし、色々気になります!!


■以下小ネタ

・ラストが原作と違うらしい

実際読んでいないので分からないですが、流れてきちゃったネタバレを読むと、原作では久美子が勝つらしい?

展開がそもそも違うのかもしれませんが、あの流れで久美子が勝つと黒江真由に対してあまりにも救いがないような気がします。

久美子の成長を描く物語としてなら、私はアニメ版の展開が大好きです。

彼女が部長としての在り方を決断した以上、黒江真由も救われるべきだと、そう思います。

いやでも全国で久美麗奈がソリやるシーンは正直観たかった…そういう意味では残念ではありますが、原作と合わせて2度楽しめるという事で、むしろラッキーだよ!(ポジティブシンキング!)

採算とれるようならワンチャン原作準拠のアニメ化もやるかもしれませんし、BD買うしかない!!


・ソリはどっちがいい?

トランペットを立てた1番、力強く並んでたのが2番というイメージ。

2人の性格というか、関係性を表してるような感じで、とてもらしいなぁという感じがします。

特に最後の音はそれを象徴するような形で印象的です。

私は吹奏楽やっていたわけでもないのであれなのですが、個人的には2番の演奏が好みでした。

でも調和がとれているという意味では1番なのかな…難しいですね。

四月は君の嘘』でコンクールのための音楽か、人を惹きつける自分の感情を乗せた音楽かという話がありましたが、そういう基準もあるのかもしれないですね。


・それぞれが選んだユーフォニアム

加藤葉月サファイア川島、塚本、奏、他何人か、もちろん麗奈もそうですが、誰が演奏しているのか気づいていたような感じでしたね。

それでも自分が信じてきたものを貫いて1番を選んだ加藤葉月、とてもらしいなと思います。

サファイア川島と塚本は部の空気を優先するという立場をとっていた以上、ここも納得の選択です。

奏は1番の演奏が始まった途端に目を開けていた事を思うと、既に演奏ではなく、自分との葛藤が始まっていたのだと思います。

選ぶべきは黒江先輩か、久美子先輩か。

実力よりも先輩優先という空気を嫌悪していた奏が、その気持ちを曲げてしまう程に、久美子を好きになってしまった。(ラブって解釈ではないです)

どちらが上手いか先生ですら判断が難しい現状です、自分の気持ちは隠して、まるで平等であるかのように、その状況に隠れて大好きな先輩を応援していたのに、久美子に吹いて欲しいのに、その彼女は上手い方を選べという。

ギリギリまで手が上げられなかったのを考えても苦渋の決断だったように思います…重い…あまりにも重い…

そして決意を込めた久美子の台詞です、前を向くしかなかった、もう隠れる事なんか出来なかった、猫被ってる場合じゃなかった。

「最後に久美子先輩と吹きたかった…」

だからド直球の告白ですよ、可愛すぎませんか!?

なのに麗奈の元へ向かっちゃう久美子…切ない…なんだ…どうするんだこの気持ちはぁぁぁぁぁ!!

梨々花ちゃん、頑張って奏を支えてあげてくれぇ…


・麗奈の選択

滝先生「あなたがソロを吹きますか?」

香織先輩の時もそうでしたが、なかなか残酷な決断を迫る作品ですよね…うわそれ学生に言う!?って、聞いてるこっちまで気持ち悪くなりそうな重い選択でしたが、今回麗奈が最後に1番を選ぶというのも、なかなか残酷な話です。

ただあの選択があったからこそ、久美子と麗奈は肩を並べた。

アンサンブルコンテスト編くらいから、麗奈の久美子大好きオーラが凄まじかったので、2人の特別で、対等な関係を表すという意味で、最高の描写だったと思います。


・黒江真由について

根底にあるものがついに出てきましたね、自分のせいで、オーディションで、音楽を辞めてしまった友達がいた。

良いように言うと人の裏側がないと本気で信じてた純粋な子だったのかもしれません。

でもポジションを争うのは友達で、そのせいでレギュラー落ちして、だから悔しいとか、音楽辞めたくなってるとか、そんなの本人に言えるわけがない…。

建前で言ったものを本気で受け取り続ける彼女は、そらもうイラついただろうなというのは容易に想像出来ます。

だからみんなで楽しく音楽をするために、建前じゃなく本音を聞きたいっていう黒江真由。

そう思うと彼女の今までの行動は、裏表なく、全て真っすぐ向き合おうとするものだったように思います。

みんなと楽しく吹奏楽をやりたい、そのためならレギュラーは自分じゃなくてもいい、でも、自分の音楽だけは曲げられなかった、自分から辞める事はしたくなかった。

矛盾を感じるその行動は裏が隠れてるように見えてしまう。

一体どこのお花畑で育てられたんだと思うほどの立ち回りの下手くそさですが、とても人間らしく、個人的には大好きです。

でもリアルでいたらイジメられそうだし、女の子の友達は出来なさそう…なんかそういう所も含めてリアリティがあるというか、良いキャラクターだなぁと思います。

あとTwitterで流れてきたこれ↓好きです、なるほどぉ!!と。

久美子に話かけたり、一緒に出掛けようと誘っていたシーンを思い出して、なんか切なくなってしまいました…


黄前久美子としての物語

1年~2年はどちらかというとあすか先輩やのぞみぞれ、奏等、周りの子が主役の物語だったように思います。

3年生では部長になり、卒業という未来を控え、黄前久美子の物語が描かれるにあたって、黒江真由というキャラクターがあまりにも秀逸でした。

音楽に嘘をつけない高坂麗奈のようであり、黄前久美子の壁となるあすか先輩ようでもあり、本音を見せないような立ち振舞いは奏のようで、どこか冷めたような視点は黄前久美子でもある。

でも、皆似た部分を感じながらも、どこかが違う。

だから彼女を見て、自分と向き合う事になっていく。

実力主義という絶対的な柱が揺らいでしまうのも含め、これまでの総決算のような展開に、今までの経験を糧として立ち向かっていく流れが、久美子というキャラクターが大好きな私にとってはたまらないものでした。

3期はこれまでよりもかなり思い入れの深いクールになった気がします。

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