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空をさがして

はじめて実家の田植えを手伝ったのは、一昨年だ。

そりの合わない父親と離れたくて、早々と家を出た私だが、それから様々な失敗をした。最もおおきな失敗は、産まれた時からずっと世話になった祖母の最期を看取れなかったこと。

そのことは、自分でも驚く程に強い後悔となって私にのしかかり、帰省する足を遠のかせた。

そんな私を今回実家に向かわせたのは、海外に住んでいる幼馴染からの、突然の電話だった。

子供の頃、近所だった彼の実家は既になく、両親はもちろん親戚さえいない。

だが彼は、自分が育った場所の写真を娘に見せたいというのだ。

私は迷った。彼には実家と疎遠なことを伝えていなかった。
同時に私は、思い出した故郷の景色に、強烈な哀愁を覚えてもいた。

結局、私は連休を利用して帰省した。すると挨拶もそこそこに、田植えの手伝いを命じられたのだ。

夕方、重たくなった腰を上げて外に出る。

そこには、思い出そのままの景色が広がっていた。



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