見出し画像

僕が好きだったのはあなたなのか、あなたの隣にいる僕だったのか。


突然彼女に別れを告げられた。
突然と僕は言う。
けど、これは主観の話であり、彼女からしたら突然でもなんでもなかったのではないか。


人間は誰しもが自分を主人公にしたがる。
世界は自分が中心で回っている。

フラれた時に思うことは、たった一つ。
そんなわけない、きっとまだあの子には未練がある、
なんなら、少し考えすぎて思い悩んでるだけだ、迷走しちゃってるな、早く取り戻さないと、きっと自分のもとに帰ってくる。はず…。


一種の防衛本能である。
その瞬間脳みそは心を守ろうと必死になるんだろう。たくさんの理由、たくさんの都合の良い展開が思いつく。
一縷の望みに懸けて、密かな期待をしていても、それが叶うことはない。

こんな時に相手の目線に立てないのが自分の愚かなところ。
結局は自分が悲劇のヒロインだ。


あの子からしたら、やっと切り出せた別れ、せいせいしてるだろう、すっきりしてるだろう、もしかしたら後悔してるかも。
もちろん本当の所は、彼女にしかわからない。
これに関しては、主観とか客観とかそういう問題ではない、それが人の心だ。見えないんだから。


それでも振られた側は思う、きっと戻ってくるとか、話せばわかるとか、復縁できるとか、会えれば変わるかもとか、

でも、相手の立場に立ってみよう。
必死に答えを出した別れ。

自分が選んだ相手だ、素敵な女性だったよね?
そんな素敵なあの子が出した答えだよ?
だとしたら、きっとその答えを出すまで沢山悩んだはず、苦しかったはず、それでも無理だって思って伝えたはず、
思い出で溢れて、より悲しい別れになる前に伝えてくれた、最大限の彼女からの愛情、私じゃ幸せにできないけど、他の人と幸せになって。って、
自分が選んだ彼女なんだから、自信を持とう、素敵な女性だから今別れてくれたのさ。

そう思って、また自分を肯定していく。また自分の心を守った。


あの子からもらったものは沢山あった。
でも、それは別れを切り出されてから気づく。

あの子に私のどこが好きか聞かれて、出てくるのは、ありきたりなところばかり。
みんなが言いそうな答えばかり。
なんで好きなのかなんて、考えもしなかった。
いや、考えてはいた、けど答えに辿り着くまでに溺れてしまう。
だって目の前にいるから。
そんなこと考えなくても愛を注いでくれるあなたが好きだったから。

難しいことから人間は逃げたくなる。
目の前に答えをくれるあなたがいたから。答えなんかいらないと思っていた。
あなたの笑顔が好き。これも間違ってない、だって本当だから。
目の前で笑ってくれるだけで全てを解決してくれる気がした。
でも、みんな笑顔だよって言われたら、きっとなにも答えられないよね?
そのうち、存在が好きとか、抽象的なことを言い出すもの。

いなくなるから気づくんだよ、彼女が埋めてくれていた部分に、
その存在ってなんなのか、やっと言語化できる。
そう考えると、彼女の存在は偉大。素敵な人だったと思う。

今はぽっかり穴が空いてた。
埋めようとすればするほど、穴は大きくなる、不思議なものだ。
友人と会えばいい、趣味に没頭すればいい、でもそうすればするほど、突然訪れる1人の時間が怖くなる。
どうして、自分じゃどうしようもできない、睡眠という時間にまであなたは出てくるのだろう。
せめて自分がコントロールできる時だけにして欲しい。
朝起きた時から心が疲れるんだよね。


きっと、時が解決してくれる。
そんなことわかってる。でもそれまで耐えるのがつらい。
いつその時がくるのかわからないのが怖い。わからないものとか見えないものって本当に怖い。これは人間の本能だ。


もうここまでくると薄々気づく、
結局自分中心じゃん?って。

あれ、ここまでで彼女の将来を想う言葉が全然出てこないじゃん?
失恋して想うのは自分の心配ばかり。
結局は自分が大好きだ。


別れた後はこう思う。
自分は彼女のことを思って別れを受け入れた。本当は全力で止めることもできた。
でも好きだから、彼女をこれ以上困らせたくない、
愛しているから、もっと幸せな人生を歩んでほしい。
そう思って別れを受け入れた。もちろん本心だ、その気持ちも。
でもそんな自分もかっこいいって心のどこかでは思ってる。
だって、あの子が違う人と笑顔でいたら、悔しい。きっとまた思い出してしまう。幸せになれてよかったね。とか、結婚おめでとうと言う時の笑顔はひきつってる自信がある。

かっこつけたいからそんなこと言ってるだけだ。
ほらね、自分を守りたい。また自分が大好きだ。

本当は素敵なあの子の隣にいれる、自分が好きだったんじゃないの?

失恋はたくさんの気づきを与えてくれる
成長の糧にもなる。
だって、大好きな自分が傷ついたんだもん、次は傷つかないように努力する。自分を傷つけないような女の子に選ばれるようになるしかない。
この子の隣にいる自分が好きって思えるような人にまた出会いたい。そして相手にもこの人の隣にいたいと思って欲しい。
自分磨き、大好きな大好きな自分磨き。

もっとかっこよくなって、あの子のこと後悔させる。
うん、頑張ろう。後悔させた自分に満足しよう、そしてそんな自分をまた好きになろう、きっとその時にはもっと自信満々でかっこよくなれるよ。


こんな文章を書いて、
いつかあの子が気づいてくれたらいいなとか薄々都合いいことなんか考えちゃったりして、
結局前なんか向けてないし、後悔ばかりだし、自分が好きなんだ〜とか哲学チックなこと言って誤魔化して。


ああ、好きだったな、あの子。
文句一つ出てこないくらいだったな。
あなたと一緒にいた自分の人生一番輝いてたな。
今までの人生の悪い習慣まで変えてくれちゃったりして。
あなたのためだから変われたんだよ?あなたを幸せにしたかったから。
恋は盲目だね。
たくさんの気づきをありがとう。

やっぱり、あなたの存在は偉大です。

こんな時に不思議と出てくるのはたくさんの感謝。
あなたのおかげで、より良い自分になれました。

今までたくさん努力して、自信を持てる自分になって、そんな自分のことを、あなたは好きという言葉で認めてくれた。
そしてまた宿題をくれました。

楽しい時間もくれて、これからの成長の糧にまでなってくれて、やっぱりあなたはなんて素敵な人だったんだろう。

ありがとう。

これからも頑張るね。
あなたも自分を大切に、そして自分を大好きでいてね。



僕はもう少し、失恋した自分に酔いしれていようと思います。


今なら迷わず言えます、あなたの隣にいる自分が好きだったんじゃなくて、
あなたのことが本当に大好きでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?