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魔女が活躍した霧の夜


後半開始から霧が出てきた。

不穏な予感。

明らかにペースは相手側へと移った。



前半10分を過ぎた頃から、厳しいマークを剥がしながら、こぎみよいパスワークで何度かチャンスをつくった。

豪快なミドルシュート。

エリア内をドリブルで切り裂いてからのラストパス。さわれば1点という場面。

ゴールキーパーと1対1という場面。

どれも相手ゴールキーパーの神憑り的なセーブと不運を怨むしかない。



霧は深くなり、私達は目でボールを追う事も困難になった。

嫌な予感は的中した。

たて続けの2失点。

それからも何も出来なかった。


前半、効果的なプレスとボール運びでペースを握っていた、勇敢な戦士の姿はもう見られない。

まるで狼に睨まれた羊のようだ。




魔女の仕業に違いない。

オーストリアの魔女達の手によって、試合はコントロールされ、相手チームの独壇場となった。

真っ白な画面を見つめる者達は皆、催眠術をかけられたように眠くなる。

後半の枠内シュート数は0。



日本チームがやらなければならなかった事は、地元の魔女達に生け贄を差し出すか、真の勇者をピッチに送り出すことだったのかもしれない。



日本対メキシコ

0対2

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