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京都旅(4)

仕事の電話が落ち着いてから金閣寺へと向かった。
中学生の頃の記憶とは違い、本当に建てられた頃の時代でもこんなんだったのかというくらいに眩しく金色に輝いていた。

このあと京都タワーに行こうかと提案すると、他の2人は高い所が苦手だからと却下され、一度ホテルに戻ることにした。

バスの中で夕食の場所を相談し、私が京おでんを食べたいと言うと、また却下されて鴨と馬と京野菜を出す店に決まった。
ホテルからは1分で行ける所だ。

そのバスの運転手は予定の時間より遅れているせいなのか、とてもイライラしていた。
バスの前の方に立っていた私達には、赤信号で止まる度に運転手の大きな溜め息が聞こえてきた。
運転は荒く、ブレーキは強く踏みこむ。
終いにはバス停で降りる客がもたもたしていると「早くしないともう出発するよ」なんて言い始める始末。
私達は終点ではあったが、そそくさと急いで降りた。

夕食の場所に決めた店は18:00オープンで、まだ1時間半あったので、各自部屋に戻った。
私はシャワーを浴び、ベッドの上でSNSチェックをして時間を潰した。

ロビーに集合して店へと向かう。
細い路地を入った所にその店はあった。
開店したばかりで他の客はいない。
テーブル席に通され、生ビールを注文する。
ビールに口をつけながらメニューを思案するが、私に全て託された。

私は京野菜のサラダと馬肉のユッケ、それから鴨のたたきを注文する。
全て小分けにして皿に盛られ提供される。
一人前がハーフサイズになっていて、3人分は通常の1,5倍の値段になると言うので、皆でブーブー言いながら食べたが、味は美味で見事に黙らされた。
2本目の赤ワインと一緒に、鴨肉のレモン焼きと馬肉のステーキを注文した。
馬肉のステーキなど硬そうなイメージを持ったが、ミディアムレアに焼かれた馬肉は案外やわらかくて赤身肉の旨さを味わえた。
鴨肉も独特の弾力があり、これもまた美味であった。

ラーメンを食べたいと一人が言い出したので、ワインを飲み干してから店の人におすすめの店を訊いた。
この時はじめてこの辺りを先斗町と呼ぶのだと知った。
実際の先斗町という地名は無いということも初めて知った。

教えられたラーメン店へと向かうが、いちど路地へと入ると迷路のようでわかりづらい。
路地の先が行き止まりになっている場所も多く、何度か通りまで引き返した。
道を歩く人や店内には外国人が多く、路上に立つ日本人はこの辺りの店の客引きばかりだった。
なんだか危険な匂いのする街だ。

看板を見つけ、カウンターだけのとても綺麗だとは言えない店の暖簾をくぐった。
とりあえず餃子2枚と瓶ビールを注文した。
店主に先程の店で紹介されたと店の名前を告げたが、いちいちお客さんに店の名前なんか訊かないからわからないと言われた。

それでも暫く話しているとだんだん打ち解けてきて、店主にもビールをご馳走すると、とても喜んでくれた。
餃子は小ぶりで美味しかった。
カウンターの隅で女性が啜っているラーメンが美味しそうで、同じものを3人とも注文した。
そのラーメンは醤油味で少し背脂が乗ったものだったが、非常に美味しく濃いめの醤油が呑んでいる体に沁みた。

同僚の2人は部屋に戻るというので、呑み足りない私はコンビニエンスストアで買い物をした。
この日も万歩計は3,0000歩を越えていた。

部屋に戻り、ワインのボトルに口をつけて呑みながらスマホを弄っていると、如何わしいページを見つけ、電話をかけていた。
時刻はまだ22時をまわったばかりであった。


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