【Bar S 】episode9 オランダ人モテ男
この店にはよく外国人も訪れた。
その中でも一番、貢献度が高かったのはロビーだろう。
ロビーは近所のシェアハウスに住むオランダ人で、職業はカメラマン。身長175センチとオランダの人にしてみれば低め。ウェーブのかかったブロンドの長い髪を後ろで縛った、琥珀色の瞳のイケメン。33歳。日本語もかなり理解して話せる。
最初に来店したときには、ヒロノちゃんと一緒だった。その後も、ヒロノちゃんと来る事が一番多かった。ロビーはヒロノちゃんの腰に手をまわしたり、キュートな笑顔で見つめ合ったり、耳元で囁き合ったりしていたので、他の常連客も、ふたりは付き合っているものとばかり思ってた。
ある日、ヒロノちゃんが珍しくひとりで現れた。
ヒロノちゃんは、アメリカからの帰国子女で、英語ぺらぺらな日本人。細身で身長160センチくらい。顔のパーツが小さい小顔な可愛らしい24歳。電車に乗ってロビーに会いに来ている。
「あれっ 今日はロビーは一緒じゃないの?」
「うん ロビーは今日は他の娘とデート」
ヒロノちゃんは寂しそうに答えた。
「えっ ヒロノちゃんとロビーは付き合ってるんじゃないの?」
ピーチサワーを少し啜って、一呼吸おく。
「ちゃんと付き合ってる訳じゃないの。もうマスター聞いてくれる⁉」
ヒロノちゃんは急に興奮してまくし立てるように喋り出した。
「ロビーったらいつも私に愛してるとか言って、手も繋ぐし、キスもするし、抱き締めてくれたりもするから、私てっきりもう付き合ってるのかな⁉って思ってロビーに確認してみたの。そしたら いやっボク ヒロノの事は愛してるけど、他の女の子も好きだよ。だから付き合ってるとかって事ではないなんて言うんだよ!酷くなーい⁉」
その話を聞いて、カウンターの中央にいたヒロノちゃんファンのアツシ(38歳 常連 大阪出身)は喜んだ。
「おっ じゃあ俺にもチャンスがあるってことですやん」
「残念ながらそれはないです」
一発でアツシを撃沈したヒロノちゃんは、また話を続ける。
「ロビーが住んでるシェアハウスの女の子でも、ロビーとデートした事があるっていう人たくさん知ってるし」
確かにこの店にも、同じシェアハウスの女の子を連れて来る事が度々あった。頭の中で数えてみると日本人2人 韓国人1人 スウェーデン人1人 アメリカ人1人 女の子では計5人いた。
「私はロビーとちゃんと付き合いたいとは思っていたんだけど、あの人と一緒にいても泣かされるだけかな って最近思っちゃって」
「じゃあ俺がいつでもヒロノちゃんの事、抱き締めてあげるよ!」
アツシが両腕を広げながら、わざとらしい標準語でヒロノちゃんへアピールするが、スルーされる。
それから1週間後、ロビーが背の高い綺麗な外国人を連れて店に入ってきた。
ロビーが仕事で写真を撮った時のモデルさんらしい。オレンジ色の髪をしたフランス人。ロビーはフランス語で相手をしていた。
次に来店した時にはアジアンビューティーな中国人。仕事関係。
その次はブラジル人ダンサー。
その次にロビーがひとりで来た時に訊いてみた。
「ロビーはヒロノちゃんとは付き合わないの?」
眉を寄せる仕草もチャーミングなロビー。
「ヒロノは最近重い。ボクの事を縛り付けようとする。やっぱりいろんな女の子と遊びたいじゃない。マスターもわかるでしょ!」
「まあ確かに。でもロビーは女の子達とあからさまに距離近いじゃん。勘違いさせるの良くないよ!」
「だって仕方ないでしょ。外人さんなんだから」
ズルいヤツ。でもいちばんズルいのは、そのしゃべり方。日本語堪能と言っても発音がちょっと片言っぽくて、それが余計にかわいくてチャーミングに見えるんだよね!」
ロビーが帰ったあと入れ違いで、同じシェアハウスの日本人マミ(23歳)がやってきた。
「ねぇ マスター聞いてくださいよ、ロビーがね 私のこと誘っておきながら他の女とも仲良くしてるんですよー。あいつ最低っ!」
ーepisode 9 おわりー
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