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【Bar S】

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東京の路地裏。7席だけの小さい店。夜な夜な集まる【Bar S】の客達。奇妙な仲間と客を選ぶマスター(私)とのストーリー。
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記事一覧

【Bar S】episode 2023 ミナミの相談(前編)

「ねえ、マスター聞いてくださいよ」ミナミは店に入るなり私に不満げな表情で話しかけた。 「ま…

しめじ
11か月前
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【Bar S】episode 2023 ミナミの相談(後編)

ミナミは落ち込んだ表情でスツールにゆっくりと座った。 「ちゃんと言えた?」 「はい、この前…

しめじ
11か月前
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【Bar S】 episode1 元大親分

オープン2週間前、開店のための準備と近所のお店へ挨拶廻りの為、私は上京した。 その日の準…

しめじ
3年前
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【Bar S】episode2 バケモノ現る

オープン1週間前、店まで徒歩10分の場所へ引っ越しを済ませ 先週、時間が早く行けなかったお…

しめじ
3年前
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【Bar S】episode3 オープン からの菊地さん

営業時間は14:00~24:00(半年後からは16:00~25:00に変更) 火曜定休 生ビール、ハイボール、…

しめじ
3年前
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【Bar S】episode4 出禁第1号誕生

「この店は長くは続かないな!」オープンして2ヶ月たった頃、入ってきた60歳くらいのオッサン…

しめじ
3年前
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【Bar S 】episode5 初めての常連さん

尾崎豊の〈 I love you 〉につられて入って来たのがキンさん。 小樽生まれ 50代後半 ツルツル頭に銀縁の丸メガネの小柄なおじさん。 「マスター 尾崎豊の曲が聞こえたから入って来ちゃったけど ここ何屋さん?」 怪しい店ではない事を確認すると、生ビールを注文した。 日曜の午後3時過ぎ。外はまだまだ明るい。有線のチャンネルはこの日、80年代に合わせてあった。 「実はさぁ マスター俺 鬱病でさ 今、病院行ってきたとこなんだよ」 入店してから1時間ほど経ち、酔いが

【Bar S 】episode6 バカボンのおまわりさん

ウチの店の数少ないフードメニューの中で唯一 定番商品にしているメニューがありました。(書…

しめじ
3年前
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【Bar S 】episode7 3番目の男

月曜日の17:00くらいに毎週通ってくれるマダムがいた。 友達がやっているスナックが、近くに…

しめじ
3年前
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【Bar S 】episode8 カルチャーショック

夕方17:00頃、ひとりのお爺さんがお店に入ってきた。 お爺さんは500円玉をカウンターに置きな…

しめじ
3年前
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【Bar S 】episode9 オランダ人モテ男

この店にはよく外国人も訪れた。 その中でも一番、貢献度が高かったのはロビーだろう。 ロビ…

しめじ
3年前
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【Bar S 】episode10 結婚の行方

この日も仲良しカップル ケンとムツミは一緒にやってきた。 ふたりはこの街で一番高級なマン…

しめじ
3年前
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【Bar S 】episode11 真夜中の告白

【Bar S 】の向かいの並びの4件目、この場所で50年くらい続く小料理屋がある。元々はご主人が…

しめじ
3年前
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【Bar S 】episode12 巨漢おねえ

身長183センチ顔からお尻までが肉付きの良い、巨漢 島本さんが初めて来店されたのは、土曜日の14時開店直後であった。ムツミ姉が連れて来てくれたのだ。 島本さんは、外資系の企業に勤めていたけど、英語は苦手なようだ。(実際にお店にアメリカ人の観光客が居た時に話しかけていたけど、話しかけた割には全然言葉が出て来ない) 巨漢の割には足が細くて、アメリカとかのアニメに出てくる太っちょキャラみたい。 最初の2ヶ月の間は、ムツミ姉と一緒に毎週土曜日の開店直後に来ていた。その後は、ムツ