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自信をもって勉強しているかい?

資格学校の現役講師が「おもしろくて、タメになる」勉強小説!?を書きました。具体的な勉強法より大切なことをまとめています。すべての資格試験の受験生の方、お時間があるときにいかがですか?
(第1章を公開しています♪)

目次

第1章 自信をもって勉強しているかい?
第2章      合格してから自信がつく人でなくて、自信をもって勉強して                   いる人が合格しているんだ。
第3章      人生の成功と比べたら、合格なんてカンタンさ。
第4章      プレッシャーは誰でも平等にあるんだ。
第5章      嫌いなことには、真のモチベーションは生まれないよ。
第6章      合格の先にあるワクワクを考えたらいいんだ。
第7章      受験生の世界は、スゴイ勉強を知っている不合格者でいっぱいなんだ。
第8章      効率を考えるなら、気づくことを多くしていけばいい。
第9章      努力している自分に自己満足したらダメだね。
第10章 確実に合格したいなら、そのプロセスも達成の毎日でないとい   けないんだ。
第11章 反省ばかりしていても、合格できないよ。
第12章 課題を探すより、成長した部分を見つめようよ。
第13章 成績優秀者は、なぜ勉強が楽しいと思う?
第14章 忘れるという恐怖に振りまわされないことが大切だね。
第15章 経験は足し算だけど、改善は掛け算なんだ。
第16章 合格レベルが難しく感じ始めたら、本当の実力がついた証拠だよ。
第17章 感謝することは、自分の幸運に気づくことだと考えてみて。
第18章 1年前の自分にどんなメッセージを送ろう?

            ☆


第1章 自信をもって勉強しているかい?

 

報われない努力が、僕の運命かもしれない・・・。

 

さっきから、同じSNSやメールのチェックを無意味に繰り返していながら、そんな考えが浮かんでは消える。

今日、僕の通っている資格学校で2回目の実力テストがあった。今年から、ある資格試験の受験を決め、資格学校にも通い始めた。今思うと、何か仕事以外で、生活にハリが欲しかっただけかもしれない。しかし思いがけず、1回目の実力テストで意外と結果が良かったこと(なんと、20位以内の成績優秀者に入れたんだ!)やクラスで話のできる仲間ができたこともあって、次第に勉強に取り組む姿勢が変わってきたつもりだった。

そんな中での2回目の実力テスト。結果は、6割程度。上位20位どころか、クラスの平均点くらいだろうか・・・。

今回のテストを受けるまで、「自分は、やっぱりできる」と考えていたのだけど、今は「自分は、やっぱりダメだ」という気持ちになっている。

 

同じ「やっぱり」でも大違いだ。

 

そんなことは考えられても、今夜はとてもテストを復習する気力が出てこない。時計を見ると、もう12時になる。

そろそろ寝ようかと、いつになくマズイ缶ビールを置いた瞬間、目の前の15インチのノートパソコンの電源が切れたように、突然真っ暗になった。昨年買ったばかり新型である。

 

もう、勘弁してくれよ~

 

誰もいない部屋で、自分でもビックリするくらいの大声をあげた。僕は、無力感で押しつぶされそうだった。

今更、勉強なんて始めるんじゃなかった、そんな思いに支配されて、全身から力が抜けていくのを感じていた。

 

でも、本当にその後に、不思議な出来事が起こったんだ!

 

自信をもって勉強しているかい?

 

確かに、そんな声がした。しかも、その声は聞き覚えのある声だった。僕は身震いをしながら、うなだれている首を持ち上げて恐る恐る前を見た。

 

そこには、真っ暗なパソコンの画面に映っているボクの顔があった。

 

よかった、気のせいだ。

早くパソコンの電源を消して寝よう。

そう思った瞬間に、僕はやっと自分の目の前の異変に気がついた。

 

なんと!

パソコンに映っているボクの顔は、笑っているのである。

 

僕は本能的に後ろを振り返った。しかし、そこには誰もいない。そして、不覚にもノートパソコンの画面を閉じて、裏を覗き込んでしまった。当然、誰も隠れているはずはない。

 

「おいおい、そんなことしたら、キーボードしか見れないじゃないか!」

 

今度は、ハッキリ聞き取れた。確かに、その声はこの厚さ3センチ程度のノートパソコンの中から聞こえてきた。

また、ノートパソコンを開いてみた。すると、やはりボクが笑っている。しかし、動揺した僕は、今思うと、とても恥ずかしい質問をしてしまった。

「あなた、誰ですか?」

「あなた誰ですかって、俺は俺だろ。顔見ればわかるだろ?」

パソコンに映っているボクは、まだニコニコしている。

「もしかして、あなたはパソコンの中にいるんですか?」

フンと馬鹿にしたように鼻を鳴らして、パソコンの中のボクが答えた。

「いや、君と同じようにボクも今、パソコンの画面に向かって君に話しかけているんだ」

ここまで会話して、やっと今の自分に起きている事態を少し考えることができた。落ち込んでいるときには、本当にロクなことがない。

 

これは、きっと幻覚と幻聴のW攻撃に違いない。

本気で、もう寝よう。

 

「ちょっと、待ってくれよ」

パソコンの電源のボタンに手を触れようとしたとき、またパソコンの中のボクがしゃべり始めた。

「ビックリするのはわかるよ。ボクも、1年前は同じだったんだから」

 

なんなんだ、これは!

 

それから、僕は今、自分の目の前の出来事を必死になって理解しようと努めた。これは、新型の迷惑メールの類のものかもしれない。いや、押し売りのオンライン講座?それとも、もう忘れているけど、このノートパソコンに附属されているカメラで以前録音したものが、何かの間違いで作動したのかもしれない。

 

とにかく、最悪のタイミングで何かが起きたに違いない。

 

でも、待てよ。「1年前」って何だろう。気になってしまった。

「1年前って、何ですか?」

 

あ~、またパソコンにしゃべりかけてしまった・・・。

 

「ちなみに、今日は何年何月何日か、言ってみてよ」

パソコンの中のボクは、僕の質問に直接答えずに逆に質問してきた。

みろ、やっぱりこれは録画の僕に違いない。試しに、今日の年月日を正直に伝えてみた。きっと、これでもうこの悪夢とも、おさらばだ。

「へえ~、本当にちょうど1年前なんだ」

こう言って、またパソコンの中のボクは笑っている。何が、そんなにおかしいのだろう。とても、不愉快な奴だ。

僕が本気で怒っているのを察したらしく、少し真面目な顔になってパソコンの中のボクが静かに語り始めた。

「こちらは、ちょうど1年後のボクなんだ。信じられないかもしれないけど、こちらはちょうど1年後の世界だよ」

そう言って、今からちょうど1年後の年月日を伝えてから、またパソコンの中のボクは話を続けた。

「ボクも、ちょうど寝ようとパソコンの電源を切ろうとしていたんだ。そしたら、いきないパソコンの画面が真っ暗になり、『勘弁してくれよ~』という大声が聞こえたかと思うと、首をうなだれて座っている自分を見つけて、1年前の出来事を思い出したんだ」

「1年前の出来事って?」

「ボクも、1年前の受験生時代に、今ボクたちに起こっていることと同じことが起こったんだ。ボクも、最初は信じられなかったよ。1年後の自分とパソコンの中で会話しているなんて。でも、」

「でも?」

僕は、すっかりパソコンと会話していた。

「でも、あのときの不思議な出来事があったからこそ、今のボクがいるんだ。きっと、今度はボクが君のコーチをする番なんだね」

「コーチをするって、何の?」

「勉強に決まっているだろ。ボクも一応合格者だから」

図々しい合格者だ。こちらが頼んでもいないのに、コーチをするって。

 

えっ!?

 

やっと、僕の頭の回路がつながった。

 

「あなたは、1年後の僕ですよね?」

「そうだよ」

「ということは、僕は一発合格できたってことじゃないですか!」

「そういうことになるね」

買ったことを忘れていた宝くじの1等の当選を知ったら、おそらく今の僕と同じ状態になるだろう。しばらく息をするのを忘れて、口はだらしなく開いたままだった。それから少し声が裏返りながら、奇声をあげた。

 

やっつたぁ~~~

 

 僕はノーヒットノーランを達成した投手のように、両手の拳を高々と上げた。そして、残していた缶ビールを一気に飲み干した。実に、うまかった。

 「本当に嬉しいよね。努力が報われるって」

 パソコンの中のボクも、優しい目をしながら喜んでくれた。

 「ありがとうございます!」

 僕は、思わずパソコンの前で頭を下げた。しかも、いつの間にか自分に対して、敬語になっている。

 「でもね、そんなに浮かれてばかりはいられないよ。君は、まだ合格していないんだから。これから、ボクが君を一発合格に導くようにコーチするから、ちゃんとついてきてね」

 「お願いします!」

 また、頭を下げてしまった。しかも、お願いまでしてしまった。

 「僕が僕にコーチするって、これが本当のセルフコーチングだね」

 頭をあげると、無邪気に笑うボクがいた。

 

このパソコンの中のボクが、本当に1年後の自分なのか?

 

目の前の満面の笑顔からは、今の僕にはない自信とゆとりが感じられ、僕はボクに少し嫉妬した。

●第1章終了。第2章以降も読みたい方は、下記から総原稿のPDFファイル(A4・縦書・68ページ)をダウンロードできます。今だけ期間限定で、500円とします。(返金はできません)

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