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おごれるものも久しからず ただ『日向坂で会いましょう』のごとし

今回も『日向坂で会いましょう』おもしろかったですね。

2017年頃から3年間ほど母校のラグビースクールの指導員をしていた。指導員と言ってもボールの空気入れなどの準備をしたり、飛んで行ってしまったボールを拾ったり、タックルを受ける練習台になったり、指導員は練習を円滑に進行するための存在であり、練習中も子供たちの様子を観察したりしながら一緒に練習している気持ちで参加していた

わたしが通っていた時代から指導方法が変わっており、選手主導の観点から指導員はティーチング(教える)ではなくコーチング(導く)を行う方針になっていたので、最低限の技術以外は困ってる選手に声をかけたり助言にとどめることが多かった。指導員の多くが子どもたちの親世代くらいの40代がメインのなかで20代のわたしがとりわけ若かったので、パスの投げ方やもらい方、タックルで倒れたあと素早く立ち上がる方法などを実演する子供たちの動くお手本になることが多かった

そんな彼ら彼女らのお手本になる心構えとして絶対的な存在でいようとした小学生相手に”マジ”でいようと。無尽蔵の体力をもつ9~12歳の子供たちが全力疾走フルパワーで束になってかかってこようと絶対に足が速くて、絶対に倒せなくて、絶対に勝てない存在でいるよう努めた

わたしが超強いからこそ選手は打倒ちょろいに燃えるし、万が一に勝利をつかめた日には飛び上がるほどうれしくなるのだ思いがけず成せた偉業におどろいて、不思議な感触がのこっていて。そんな感覚に包まれた様子をみて同じ気持ちになれた当時の自分を思い出したりしていた。

日向坂46の選抜制導入が発表された時、Xにてこんなポストをした。

今回の企画【THE タイマンリターンズ】だが3年前におこなった前回、彼女らを”一軍”と”三軍”とに分けたのは学生時代にニーハイソックスを着用していたか否かだった。それなのに時代の変化によって紙の王冠が権力をもちはじめ、体制側のニュアンスを含んだことで”一軍”と”三軍”の争いが模擬的に”選抜制”を実演していたように思えた。そんな今回の見どころは『日向坂で会いましょう』環境下に置かれた三軍メンバーの反逆だった

今回はタイマンの構造に変革がなされ、スタジオの玉座に腰掛ける8名の一軍を打ち倒すには三軍内の競争にまずは勝たなくてはならなかった。さらにようやく勝てたとしても一軍メンバーの得意分野で対戦が強いられる、という盤石に敷かれた圧倒的不利な体制で三軍は勝ち上がらねばならなかった。皮肉だなと思ったのは、三軍だった宮地すみれが一軍入りを果たしたばかりに今度は三軍を退けなくてはいけなくなってしまったところだ。果たしてこれを勝利と呼んでいいのだろうか。

宮地すみれと言えば皆さんも目撃した大事件、お色気ひと言のゲームチェンジ。『日向坂で会いましょう』独自で築いてきたセクシーに単語を言う・・・・・ゲーム「お色気ひと言」のルールが彼女によって捻じ曲げられた。特筆すべきはこの改革が成しえられたのは宮地すみれだからこそ起きたという点だ。この日あの場にいた他の誰でもこの改革が起こせたわけじゃない。彼女、宮地すみれだからゲームチェンジが起きたのだ。そう思わされた。

それはかつて「お色気ひと言」を若い女の子にセクシーな台詞を言わせるセクハラ趣味からイントネーションで笑わせるおもしろギャグへとゲームチェンジさせた宮田愛萌のように

なぜ宮地すみれなのか、なぜ宮田愛萌だったのか、その理由をいくら考えても明確に言語化することはできない。あえて言うのであれば、それは人々を思わず納得させてしてしまうチカラ、「スター性」と呼ばれるそれだろう

話題を今回の主役・三軍メンバーに戻す。勝ち抜き戦ということもあり、目立った活躍をみせたメンバーがわかりやすかった。まずは3期生全員が目を見張る躍進をみせていた。髙橋未来虹のガヤや森本茉莉や山口陽世の実演は以前も指摘したように、『日向坂で会いまましょう』から存在をアピールしていこうとする気概に満ち溢れていた。森本茉莉は場外乱闘に生きる場所を見つけたようで、常に何かをやらかしてくれるんじゃないかと期待して目で追いかけられるのが楽しい。

2期生と4期生の活躍の狭間に追いやられてしまった不運な世代の彼女たちが燃やしつづけている熱気にわたしはつよく心を打たれている。どんどん活躍していってほしい。

それはすなわち4期生の見本であり、立ちはだかる壁にもなりうる。若林の反応をみるに長らく囚われてる4期生の引っ込み思案はまだまだ課題のようだが、平尾帆夏は当たって砕けるタイプになってきてるし清水理央はとにかく一生懸命に取り組む事がアイデンティティとして確立したようにうかがえる。

そう考えると、4期生の個性が確立されはじめれば自然と前に出られるようになるかもしれない。たとえば大喜利で、宮地すみれが何でもセクシーアクセントをつけて回答したらとか、小西夏菜実が大味の回答をしてみせたりとか。思えば宮地すみれのゲームチェンジは個性の確立がバックボーンとしてあったのかもしれない。煮卵が先か鶏が先かを問うことになるが、『日向坂で会いましょう』が失敗していい実験場なことが上手く回り始めたら、もっとこの番組は活気づくのだろうなと思った

今回の総括をすると、番組としては白熱したお色気ひと言に代表されるように『日向坂で会いましょう』カラーが濃く出た回に仕上がり、ただただ単純に笑えた。この企画が”選抜制”を遊んだのかはわからなかったが、そんなことを考えてられなくなるくらいただただ面白かった。もっと『日向坂で会いましょう』が見たくなった。次回も楽しみだ。

おしまい。


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