『日向坂で会いましょう』の果実はドロップキックで皮を割る
今回も『日向坂で会いましょう』おもしろかったですね。
秋頃だったでしょうか。ファンの集いやライブ会場に積極的に足を運ぶようにしているので、日向坂ファンの方々と交流する機会が2023年から増えてきた。およそ5年前、新型コロナ流行直前に『日向坂で会いましょう』及び日向坂46を知った頃からすれば、わたしの日向坂界隈の環境が大きく変わったといえよう。
今回の11thシングル表題曲『君はハニーデュー』のMV撮影を解説する【11thシングルのMVをみんなで解説しましょう!!】、MV解説企画は7thシングル『僕なんか』収録の「飛行機雲ができる理由」以来、実に2年ぶりである。
小坂菜緒の復帰、渡邉美穂の卒業と大きな経験したこのシングルから2年、日向坂46はたくさんの経験を経て、新しく見つけた夢に向かって11thシングル『君はハニーデュー』から大きく変化しようとしている。
今回のMV解説企画ではセンターに抜擢された正源司陽子をはじめとした4期生がフィーチャーされ、今作から表題曲に選抜された新参者として振付のアイディアを出し合ったり撮影を頑張った裏話を発表していた。さらにインド映画風振付の話題が上がった時には、再現として映画『RRR』のように春日とダンスバトルを繰り広げる一幕もあったりとスタジオでの収録も頑張っていた。
オカダカズチカのごときハイアングルのドロップキックを春日にお見舞いした若林を眺めながら「どうだい?これがオードリーのバイオレンスだよ」としたり顔をしながら4期生の反応をみていたのだが、先輩メンバーがセコンドについて蹴ってみなよと促していたところもおもしろかった。いたいけな少女たちに暴力を勧めるセンパイ連中、まさに外道である。
とはいうものの、ここ最近の番組でも見られるように、先輩が見本を示しながら後輩に行動を促す様子はまさに世代交代の只中の営みであり、2年前にはなかった光景だった。これまでの記事で述べてきたように4期生の「臆病」は目下の課題だとおもっているので、やはりダンスバトルの時春日がスタジオの真ん中に移動した時には付いていかなきゃいけなかったし、ドロップキックだけにとどまらずレインメーカーでもデスティーノでも付き合ってもらえばいいのだ。
これほどわたしが彼女たちに期待と歯がゆい思いを寄せてしてしまうのは、MV解説企画がMV解説企画ではないからである。それはどういうことなのか。
今回MV解説に参加したのはもちろん選抜メンバーだ。そこには「春日さん、わたしです」と猛アピールする高瀬愛奈はいないし、助監督とバチバチしていた濱岸ひよりもいない。お決まりのあの件が使用できなくなってしまったのだ。この番組の特長といえよう偶然が生んだ企画ごとのお決まりの件はアイコンであり、それがある意味で最低保証として存在しながら、新たなアイデアによって塗りつぶされる画材でもある。
選抜制が導入されて企画に流動性が生まれてしまったことで、名シーンが生まれても定着しにくくなってしまった。企画の単一性が増した、とカッコ良さそうな言葉を使ってみる。あ、でも宮地すみれが若林に「ハート可愛くないですか?」と訊いていたのは高瀬愛奈リスペクトなのかもしれないとおもった。
じゃあ本題であるMV解説を真面目にやれよ、という指摘は一旦言わないでおいてもらいたい。それはそう、だから。でもよく考えてみてほしい、『日向坂で会いましょう』で真面目にMVを解説してるところをみたいだろうか。わたしの答えは「NO」だ。わたしは『日向坂で会いましょう』にはとことんふまじめでいてほしい。ということで、日向坂46に生真面目な4期生には真面目にふまじめになっていただきたい。
と、ここまで今は答えが出ない問いや不安を述べてきた。今回の企画で起きたことは、日向坂46の端境期における11thシングルがまさに経験していることにほかならない。数年後、この記事に記した期待はどのような果実をつけるのか。とても楽しみだ。
おしまい。
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