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公園に来て物思いに耽っていたら兼好法師になれた話

公園によく来る。


MB氏は著書で「何もしないで考える時間を1時間作ろう」と言う。
仕事のことや人生のことを前頭葉をフル活用して思い描けというのだ。


公園の駐車場に車を停め、車内でキャンパスノートとフリクションを持ち思ったことを箇条書きにしていく。


昼下がりの公園は楽しい。
犬を散歩に連れてきた夫婦、来る度毎回見掛ける明らかなサボリーマン。
公園を歩くとリコーダーを吹くおじいちゃん。自撮りしてる時もいたな。


行き交う市民ランナーの意識は高い。皆マスクをしている。
こないだ走った時僕は苦しすぎて外してしまったが、すれ違う方皆さんマスクをしていらっしゃる。


バック駐車が苦手なのか、前後を行ったり来たりする若いお母様。
観念して一旦降りるも、やはり気になるのかまた車に乗り込む。しかし横に寄せるのが苦手らしく左右の位置は変わらず、相変わらず前後を行ったり来たり。
チャイルドシートに乗ってるお子さんが「今これは何の時間なんだろう」とキョトンとしている姿が印象的だった。
ようやく位置が決まり、元気よく走り去っていった。


少年野球場バックネット裏の観客席では本当に何もせず、更に身動き一つしないおじさんがずーっとマウンドを見つめている。本当にピクリとも動かないのでそのうち悟り開くんじゃないかと思う。


少年野球場を見渡し、バッターボックスがふと目に入る。市民大会でこの打席に立ったなあと思い耽る。
あのバッターボックスの思い出は、デッドボールだな。少年野球時代はよくぶつけられた。そして泣いた。
本当に痛かったのだ。それにしても何故あんなにぶつけられていたのか。
当てやすい体してるからだろ(笑)とよく言われる。おそらくそうだろう。
思い出した。この球場には痛い思い出しかない。

そして何より気になるのはこれは明らかに不倫だろう。という40代前半と思しき男女だ。
駐車場内に佇む軽乗用車の中で妙な色っぽさを醸し出す女性。
おもむろにその軽の真横につける公園には似つかわしくないオラオラした一台の車。運転するのはイケイケのオジさまだ。
すかさず女性が助手席に乗り込みあっという間に走り去る。
初めて見る電光石火の情事にひどく興奮してしまった。今日で2回目だ。


何故人は不貞行為に走ってしまうのだろう。心の童貞にわかる日は来るのだろうか。
いや別に不倫してる時の気持ちなんかわからなくてもいいか。

結婚した女性は100%不倫をすると豪語する友人がいる。
いや、僕は本当に仲睦まじい夫婦をよく知っているので100%はないだろうと思うのだが、
彼曰く今はそうかも知れないがいつか必ずそういう時が来るのだそうだ。

彼は心に深い傷を負っているのだろうか、そこまでは深く突っ込めないでいる。
しかしそんな彼は男女の友情は成立するのかという質問に対しては「成立する」というからよくわからない。

しかし今日は本当に何も思い浮かばない。特に何のオチもない。
なにか必死に考えつこうと、曇り空の奥にある夕日で黄色がかった空を背景に、湿った風で揺れる木々をぼんやり眺めてみたが、特に何も思い浮かびそうにない。
今日はダメだった、ちょっと対策を考えなければと思った瞬間、あ~これ徒然なるままに日暮らしってやつだなと、何故か徒然草の一節が頭に飛び込んできた。
思わず徒然草の出だしをググる。

原文
つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
現代語訳
することもなく手持ちぶさたなのにまかせて、一日中、硯に向かって、
心の中に浮かんでは消えていくとりとめもないことを、あてもなく書きつけていると、(思わず熱中して)異常なほど、狂ったような気持ちになるものだ。

これ今日の僕と全く同じだ。僕はなんて文学的で高尚な一日を過ごしてしまったんだろう。
2020年の七夕、僕は兼好法師になった。なにこれ。

以上。ちょっと対策真剣に考えます。


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