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2024年J1リーグ第6節 湘南ベルマーレvs東京ヴェルディ@レモンガススタジアム平塚~マッチレビュー~

おはようございます、こんにちは、こんばんは。
オザッキー・チェーンです。


‣振り返り

今シーズン初の平塚での平日ナイターゲームは冷たい雨の中、キックオフ。湘南は前節のアウェイ、セレッソ大阪戦から中3日、対する今シーズン初勝利を狙う東京ヴェルディはホームでの京都サンガFC戦から中4日で迎える第6節。両チームともに、前節から複数名、スタータティングメンバーを入れ替えて臨む。湘南は杉岡、大岩、茨田、鈴木章斗に代わって岡本、畑、奥野、福田が入る。一方の東京Ⅴは翁長、松橋、山田剛綺が外れ、稲見、山田楓喜、木村がメンバー入りとなった。
湘南イレブンとしては、平日の雨の中、平塚に集まってくれたサポーターに今シーズンのホーム初勝利を届けたい一戦。

スタータティングラインナップ

・前半~試合巧者になるために、課題は山積み~

この一戦にチャレンジ要素強めなメンバーで臨んだ湘南が試合の主導権を握った。ミッドウィークということもあり、これまでの試合では見られなかった配置や人選であったが、守備はこれまで通り、相手の矢印を外に向ける守備を実践してくれていた。しかし、攻撃面では苦労しているような印象を受けた序盤。

そんな中、迎えた15分の攻撃。鈴木雄斗からバックパスを受けたソンボムグンが前線へフィード。そのボールに対して福田が反応して、競り勝ったボールは平岡のもとへ。前向きのいい状態でボールを受けれた平岡はその勢いのままダイレクトで抜け出したルキアンへ送ると、そのまま持ち運び、最後は相手GKの股を抜く冷静なシュートで湘南が先制に成功する。

プレス回避?ヴェルディ対策だったのか?

一見、偶然が重なったようにも見えるが、このゴールは東京Ⅴ対策として準備してきた形と言える。なぜなら、今シーズンの東京Ⅴは前からプレスをかけに行く姿勢を見せているのだが、その際に後ろの選手との連動が出来ておらず、また最終ラインも上げ切れていないことから間延びしているシーンが散見されているからだ。このゴールの前のシーンでも、MFとDF間の間延びは見受けられた。間延びしている状況で、このようなロングボールを入れられて収められたりでもすれば、当然対応は後手に回る。また、このシーンに関して言えば、ソンボムグンへバックパスが渡ったとき、鈴木雄斗とキムミンテがペナルティエリア幅を取り、田中を一列上げさせた(今シーズンこのような形はなかったはず…)。そうすることで東京Ⅴの山田は田中と平岡どちらを見ておけばいいのか一瞬混乱。配置で対応を遅らせることに成功したのだ。保持はしていたものの、雨という状況もあり、なかなか活路見い出せていなかった湘南にとっては非常に良い形でのゴールとなった。

その後も湘南が支配する時間が続き、東京Ⅴは1本もシュートを打てないまま前半の半分が過ぎた。このまま、湘南が主導権を握ったままハーフタイムを迎えるのかと思われたが、20分と26分にはCBの谷口が起点となり、東京Ⅴは湘南陣地への侵入に成功。谷口の持ち前の運ぶ力とパスセンスがきっかけとなり試合の主導権は徐々に東京Ⅴへ移っていった。この状況に関しては、しっかりと数字にも表れているのでFootball LABのスタッツを見ていただきたいところ。

その後は両チームともに決定的なチャンスは訪れることなく、前半は終了。湘南としては、決定的なシュートこそ打たせなかったものの、攻撃の起点となっている谷口を最後まで捕まえきれずにハーフタイムに入ってしまった。

・後半~目先の3ポイントか、その先の3ポイントか~

1点を追いかける東京Ⅴは前半終了間際の岡本との接触により左脇腹を痛めた森田に代わって山見を投入。左SHだった見木が森田の位置に入り、山見が左SHとして出場。山見は前節の京都戦、途中出場ながら存在感を発揮し、見事なドリブルからPK獲得に貢献している。

前半の終盤にかけては東京Ⅴペースで進んでいたが、後半最初のビックチャンスを作ったのは50分の湘南だった。ハーフウェーライン近くでのフリーキックにルキアンが体を使って後ろに逸らしたボールをダイレクトで岡本がクロスを上げると、タイミング良く入って来た福田が合わせるも枠に飛ばすことは出来ず。

前半はなかなかペナルティエリアに迫っての攻撃が出来ていなかった東京Ⅴだったが、山見の持ち前の仕掛けにより相手のラインを押し下げることに成功。ゴール前に迫って行くシーンが徐々に増えてきた。
しかし、湘南はその交代による勢いに負けることなく、追加点を狙いに行く。53分、福田の狙いすましたボール奪取から、畑、ルキアン、平岡と繋ぎ、最後は池田がコントロールしてシュートを放つも、東京ⅤのDF陣の必死の戻りからブロックされてしまう。ゴールとはならなかったものの、チームで限定してのボール奪取、平岡のピンポイントクロス、クロスが来る前のゴール前での池田の動き直しは見事だった。

湘南が再び主導権を握り返したが、追加点を奪えず迎えた75分のハーフウェーラインを少し越えた辺りからの東京Ⅴのフリーキック。湘南はキムミンテ中心に高めに設定していたが、見木の蹴ったボールは大外で待ち構えて山見へ渡る。ボールを受けた山見に対して岡本が素早く対応したが、山見の素早くしつこい切り返しに遅れてしまい、クロスを許し、後半から森谷代わってキャプテンマークを巻いていた谷口にヘディングでゴールに叩き込まれた。終盤でまたも東京Ⅴが同点に追いつく形となった。

同点直後の81分に湘南はコーナーキックにキムミンテが飛び込み、合わせるもマテウスにキャッチされる。
86分、途中出場の齋藤は一度ボールを預けて、ボランチの位置から前線へスプリント。このスプリントにより湘南の最終ラインは押し下げられる。その抜け出しを見逃さなかった稲見が齋藤へボールを送り、斎藤は難しい体勢ながらもするするっと出てきた山見にかかとでリターン。山見はその勢いのままペナルティエリアに侵入し、ファーサイドに冷静に振り抜き、東京Ⅴが逆転に成功する。谷口や途中から入ってきた山見を中心とした左サイドからの攻撃を食い止めることが出来なかった。
逆転を許した湘南は畑に代わって杉岡、奥野に代わって石井を投入し、フォーメーションを4-4-2に変更して反撃に出るも、ゴールネットを揺らすことは出来ず。東京ⅤにJ1での実に16年ぶりとなる勝利を献上する結果となってしまった。

‣あとがき

平日のナイターでしかも、雨の中、昇格チームかつ開花幕から勝利のないチームに負けてしまったので厳しく、批判的な言葉が生まれてしまうのも無理はない。ただ、内容をよく見てみると、決して悲観することばかりではないと個人的には思う。ミッドウィークでの開催ということもあり、チャレンジャーな面々が揃っている中、どんな試合になるのかと思っていた私にとっては今後に期待できるなと感じた。どのような面で期待できると感じたのかと言うと、これまで5試合ではなかなか見られなかった、保持に関する取り組みである。先制点なんかはまさしく保持からの得点で、この試合に向けて準備してきたことがうかがえる。田中を3バックの左に配置したのも、恐らく保持の面で優位に立つため。保持をすることを考えたときに大野や大岩、杉岡ではなく田中であった。試合後のインタビューでも山口監督が田中を3バックの左で起用したことについて、「攻撃の時に優位性を取れる」と明言していた。田中に限らず、鈴木雄斗が3バックの右で起用されたことにも同じことが言える。ただ、現状のJ1リーグの順位を見てもらえれば分かる通り、保持に重きを置いているから高い順位にいる訳ではない。では何故、このような現状であるJ1リーグで湘南は保持をする姿勢を見せたのか。それは保持することでそもそも相手にシュートを打たせない、いわゆる失点の可能性を下げることに繋がるからだ。また、個人で相手を怖がらせることのできるFWやWGが揃っていない湘南にとって、保持を辞めて、ロングボールなどを主体(いわゆる非保持)とするサッカーで戦っていくことは極めて難しい。これらの理由から湘南はこれから、今回のゲームのような戦い方をしていく必要があると私は考える。
そして最後に、負けてしまった理由について簡単に。1つ目は前半あれだけボールを握って支配していたのにも関わらず2点目、3点目が取れなかったことだ。今シーズン何度も上げている課題の1つである。2つ目は東京Ⅴの攻撃の起点となっていたCBの谷口を捕まえきれなかったことだ。CBとして非常に優秀な谷口はボールの供給役として非常に目立っていた。特に目立っていたのは後半であったが、前半の20分、26分にも起点となっているシーンはあった。それも左サイドから。兆候が見えての後半のスタートから山見を投入だったのかもしれない。森田の負傷交代がなかったらどうなっていたのだろうか…

敗戦からも得れるものはある。前向きになれなくてもいい。
必ずいい未来になると信じて

‣試合情報

・結果

J1 第6節 4/3(土)19:00 レモンガススタジアム平塚 観客数:6,803人
湘南ベルマーレvs東京ヴェルディ
                       1-2
15分ルキアン(湘南)
75分谷口 栄斗(東京Ⅴ)
86分山見 大登(東京Ⅴ)

主審:高崎航地 副審:五十嵐泰之、岩田浩義 第4審判:國吉真吾
VAR:荒木友輔 AVAR:鶴岡将樹

・試合のスタッツ

・試合後の両チームのコメント

湘南:https://www.bellmare.co.jp/336212
東京Ⅴ:https://www.verdy.co.jp/match/info/2024040304/report


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