2024年J1リーグ第3節 アビスパ福岡vs湘南ベルマーレ@ベスト電器スタジアム～マッチレビュー～
おはようございます、こんにちは、こんばんは。
オザッキー・チェーンです。
予定通りに進まず、浦和戦のマッチレビューはキックオフギリギリか来週になりそうです…なるべく早く完成できるよう努めます。
‣振り返り
鬼門、福岡に乗り込んでのデーゲーム。前節、右WBでスタメンだった湯澤に代わって小田が入っただけで、その他のメンバーはこれまでの試合と変わりなし。前線にはウェリントン、岩崎と言った元湘南の戦士たちが名を連ねてる。
一方、湘南は開幕戦から採用してきた4-4-2から慣れ親しんだ3-5-2(5-3-2)に変更し、茨田に代わって大野が左CBで今季初スタメンを果たす。このメンバー変更に関しては恐らく、空中戦に強い選手を多く揃える福岡に優位を取らせないための対策だと思われる。昨年、この地では試合終了間際に大逆転を許し敗戦と苦い思い出がある。アウェイ2連戦、負けなしで平塚に帰りたいところ。
ウェリントンvsルキアンのエース＆古巣対決にも注目だ。
・前半～劣位から優位へ 主導権を握る～
開始早々の2分、福岡が右サイドのスローインから重見が田中と池田を引き付けて前へラストパス。シュートを放つも富居の正面でキャッチされる。湘南も負けじと4分、相手陣地で一度は奪われるもすぐさま取返し、池田から内側のレーンにポジションを取った鈴木雄斗へ(大外には右CBの大岩が走り込んでいた)。前線でボールを呼び込む鈴木章斗へパスが送られるも、トラップがやや外に流れて、難しい体勢かつ左足でのシュートとなった。
6分、クリアボールがミスとなり拾われ、紺野が切り返して得意の左足でクロスを上げる。大外で待ち構え、走り込んで来たウェリントンが大岩のマークをものともせず左足で合わせて福岡が先制に成功する。この失点は大きくクリアすることが出来なかったことも原因ではあるが、紺野に簡単にクロスを上げさせてしまったこと、つまり寄せの甘さも原因の1つである。失点直前の5分でも同じように簡単に小田にクロスを上げさせていたシーンがある。また、前節の京都戦の58分と75分でも同じようなシーンが見受けられる。開始から福岡が湘南の左サイドからクロスを何度も狙っていたのにはそのような理由があってなのかもしれない。戦術的に崩された失点ではないだけに個人の意識的な改善が求められる。
福岡の勢いは止まらず、11分には左から右に揺さぶられ、大野が紺野につられてたことにより、キムミンテとの間に広大スペースが空いてしまい、田中も岩崎を捕まえることは出来ず、岩崎のポケットへの侵入を許すも、富居が最後まで我慢して左手一本で何とかセーブ。
富居のビックセーブの流れから湘南が反撃に転じる。13分、外でキムミンテ、大野、杉岡が中心にボールを回し、福岡を揺さぶりにかかる。杉岡はサイドで詰められるも、サイドに落ちてフォローに来た平岡へ縦パス。しかし、そのボールに平岡は触らずにスルーをし後方にいる鈴木章斗へ繋ぐ。
平岡はこの時間まで杉岡にボールが入った際には何度か(繋がりはしなかったもののこのプレーの1つ前でも)小田の裏を取る動きをしていた。
平岡のスルーしたボールを受けた鈴木章斗は寄せ来た奈良の動きを見て、冷静にかわして、ペナルティエリア内の深い位置まで運び、グラウンダーのクロスをゴール前に送る。クロスは永石に触れられるが、ボールの勢いを殺すことは出来ず。ファーサイドにボールは流れ、後ろから走り込んで来た、池田が右足で冷静に流し込み、湘南が10分も経たないうちに同点に追いついた。
綺麗に崩したゴールに見えないかもしれないが、上記の2枚の画像で示した通り、湘南がチームとして狙っていた形でのゴールだと私は思う。特に注目してもらいたいのがクロスへの入り方。深い位置からのクロスに対して、平岡はマイナス(ニアゾーン)で待ち構え、ルキアンはクロスに対してアクションを起こし、相手の動きを誘う。そして鈴木雄斗はファーサイドに抜けて来た時に触れるであろうポジションを取り、池田はわざとペナルティエリアの外で待ち、こぼれ球に備え準備する。ペナルティエリアの外にいる理由としては、福岡のDF陣の視線は自然とクロスボールに行ってしまうことがあげられる。池田のサッカー脳が最後の勝負を決めたとも言えなくもないが、池田がシュートを打てるまでの過程に関してはチームとしての取り組みが結果に結びついたと言えるのではないか。
ゴール後の試合運びがここ2試合を受けての課題であった湘南は果敢にゴールを狙いに行く。福岡陣地の空いたスペースに顔を出したり、CBの大岩の追い越しや裏の空いたスペースへランニングでチャンスを作る。一方の福岡はプレスが上手くハマらず、守りの時間が長くなってきた中で、岩崎がスピードを生かしたドリブルでコーナーキックを獲得。その勢いのまま、何度かコーナーキックのチャンスを得るも、ゴールネットを揺らすまでには至らず。流れの中でなかなかチャンスを作れていなかった福岡だったが、44分、平岡のバックパスが思わぬ形で紺野へのスルーパスとなり、抜け出される富居との1対1に。大ピンチであったが、富居は冷静に紺野との間を詰めて、左足で何とか防いだ。
湘南が同点に追いついてからは、個人で打開を図る福岡と組織で攻撃を組み立てる湘南という構図で時計の針は進み、1-1でハーフタイムを迎えることとなった。
・後半～相手に付き合うな、自分たちの良さを出し続けろ～
前半、追いついてからは試合を優位に運んでいた湘南であったが、開始から我慢の時間帯が続く。ポゼッションデータを見ても分かる通り、同点に追いついてから前半終了までの平均は65％近くであったのに対して、後半の入りからの15分間は約53％と福岡が徐々にボールを支配する時間が増えていった。その理由は2つある。1つ目は福岡のプレス方法の変更だ。前半は湘南の3バックに対して福岡は前線の3枚でプレスをかけて、WBに対してはWBを当て、空いた選手やスペースをDHもしくはCBが対応していた。はめれて、ボールを奪えれれば、人数をかけた攻撃は可能になるが、ずらされてしまった時は対応が遅れてしまう構造になってた。後半からどのようになったのかと言うと、60:40(DAZN時間)から見て欲しい。キムミンテから大野へボールが渡ると、紺野はWBの杉岡の立ち位置を気にしながら、大野にプレス。紺野のプレス変更はこの試合、WBを起点にチャンスを作ってた湘南にとって痛手であった。2つ目は1つ目の理由に付随するコンパクトな陣形、ライン設定だ。コンパクトにすることで、失点時のような対応が遅れることはなくなるのだ。また、こぼれ球を拾えやすくなり、状況によっては2対1での守備も可能になる(逆サイドも同様)。
湘南はこのプレスに対して回避策を見出すことは出来ず。CBでボールを回している際に田中や平岡、池田らがギャップ(選手と選手の間)に顔を出す必要があったのかもしれない。しかし、プレスの変更で湘南の起点を潰せた福岡も奪い所(追い込み所)の設定が低かったのか、思うような形での前進は出来なかった。福岡としても攻撃の組み立てにストレスを感じる時間となっていた。
膠着状態の中、迎えた73分、湘南にビックチャンス。ルキアンがプレスバックでボールをカット。一気に福岡陣地へ侵入し、左CBの大野にボールが渡り、ギャップで顔を出した平岡へパス。杉岡から田中と繋ぎ、3人目の動きで再び平岡がボールを持ち、ペナルティエリアの深い位置からクロスを送る。鈴木章斗がスローをし、池田がダイレクトでシュートを放つも永石の好セーブに阻まれる。
福岡の選手たちの目線を何度もずらし、揺さぶることが出来ていたので、決めて欲しいシーンではあった。
しかし、後半は自分たちでボールを握れる時間がなかった上に、開幕戦から左サイドでチャンスを作ることが出来ていなかったので、この崩しが見れてこれからの期待感が少し高まった。
選手同士で狙いを明確にし、共通認識の元、構築する攻撃が出来るようになっている。昨シーズより確実に成長しているように思える。
その後、両者数少ないチャンスを作るも仕留めることは出来ず。勝ち点1を分け合う形となった。
‣あとがき
苦しみ、何とか勝ち取った1と言うより勝ちきれなかった1と言う表現が似合う試合であった。序盤に先制を許したものの、福岡が主導権を握る前に取り返し、逆に湘南が主導権を握った。川崎戦、京都戦と自分たちの得点の後の試合運びについて課題を抱えていたので、そう言う意味では成長したと捉えるのも悪くはないのかもしれない。ただ同点後、あれだけ支配出来たのに勝ち切れなかったのは非常に悔しい。でも、悔しいと思わせてくれるくらいのチームにまで成長しているってことだし、鬼門の福岡で勝ち点を拾えた。どっちなんだよって感じだと思いますが、昨年とは見違えるほど良いチームになってます。ポジティブに捉えてもらっていい試合だと思います！
‣試合情報
・結果
J1 第3節 3/9（土）15:00 ベスト電器スタジアム 観客数:6596人
アビスパ福岡vs湘南ベルマーレ
1-1
6分ウェリントン(福岡)
13分池田 昌生(湘南)
主審:今村義朗 副審:野村修、村井良輔 第4審判:穴井千雅
VAR:福島孝一郎 AVAR:西橋勲
・試合のスタッツ
・試合後の両チームのコメント
福岡:https://www.jleague.jp/match/j1/2024/030907/coach/#coach
湘南:https://www.bellmare.co.jp/333968
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