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ありがとうELLEGARDEN

September 9th It's a sunny day 
The smell of summer is still in the air
Your pirate ship has sailed away
I'm not so sure what you've been up to

9月9日 快晴
大気にはまだ夏の匂いがする
君を乗せた海賊船は
出航してしまった
君が何を企んでいるのかは
よくわからない

毎年、この日になるとこのフレーズを思い出す人は多いのではないだろうか。2003年に発売した「Bring Your Board!!」に収録されている、ELLEGARDENの「No.13」という曲の一節だ。エルレが好きな人が彼らのことを思い出す、この9月9日という日にとんでもない事が起こった。

ELLEGARDENが16年振りに新曲を出したのだ。

ELLEGARDENは2000年代前半、インディーズながらオリコンチャート1位、チケット入手困難な超人気バンドだったにもかかわらず2008年に突如活動休止した伝説的なロックバンドである。細美さん(gt.vo)は休止前最後のライブmcで「これで最後じゃないからね。」と言った。その言葉を信じ、誰もが活動再会を待ち望んでいた中、活動休止してから10年後の2018年に彼らは約束通り戻ってきた。10年経ってもなお復活ライブのチケット倍率は300倍を超え、100万円以上で取引きされているのも見かけるほどだった。しかし、復活してからの4年間は新曲を出すことはなく既存曲を演奏していた。そんな彼らが新曲を出したのだ。

わたしがエルレを好きになったのは中学1年生の頃だった。偶然YouTubeの関連動画に出てきた幕張メッセライブの「Missing」のライブ映像をみて、こんなにも楽しそうにライブをする人がいるのかと衝撃を受けた。すぐに近所のレンタルショップで全てのCDを借りて、ライブDVDも擦り切れるほど観た。その時にはもう活動休止していたので、もちろん周りにエルレを知っている人も好きな人も誰もいなかった。それでも、間違いなくわたしの青春は彼らの音楽と共にあった。

高校生の時、札幌カウンターアクション20周年記念に細美さんが弾き語りをすることになった。わたしはチケットを取るために学校を早退して並んだ。そのときの弾き語りで、細美さんがエルレの曲を歌ったときの興奮は今でも覚えている。そして、2019年のライジングサンでわたしは生まれて初めてELLEGARDENを観た。Fire Crackerのイントロを聴いた瞬間に自然に涙が出た。周りもみんな泣いていた。2021年にはホルモンと10-FEETとの3マンライブで初めてライブハウスでエルレをみた。10年前に擦り切れるほどみたDVDと同じ光景が目の前で行われていた。ELLEGARDENがライブハウスに戻ってきたんだとまた泣いた。

16年前に彼らが出した最後のアルバ厶「Eleven Fire Crackers」は最高のアルバムだった。伝説のバンドと呼ばれた彼らが新曲を出すのはかなりのプレッシャーとハードルだろう。細美さんは自身のブログで新曲についてこう語っていた。

2月に曲を作り始めたときは正直、このアルバムで俺の音楽人生は最後になっていいと思っていた。まあ今も若干似たような感覚は残っているし、そうとでも思わなければこの長い長い旅に乗り出す気にはなれなかった。それぐらいエルレガーデンの新作を作ることは俺には不可能なことに思えていた。

それでも2022年9月9日、新曲「Mountain Top」が出た。正直、MONOEYESとの差別化は難しいのではないかと感じていたが、それは間違いなくELLEGARDENだった。「伝説のバンド」から「現役のバンド」に戻ったのだ。かっけえ生き様みせてもらったなあ。

突然の新曲発表に加え、インディーズであることにこだわり、テレビ出演も一切してこなかった彼らが今度初めて地上波のテレビに出演することも発表された。テレビ出演といえば、数年前のken yokoyamaのMステ出演が記憶に新しい。彼もまた伝説のバンド、Hi-standardで活躍しながら一切のテレビ出演を断ってきた。そんな彼の突然のMステ出演に世間はざわめいた。時代遅れのアイコンとしてラジオと自分自身を重ねた「I won't turn off my radio」はパンクロックそのものだった。彼の下手くそな英語と、セミアコギターを掻き鳴らす姿に胸を打たれた。ELLEGARDENのテレビ出演はどんな風になるのか楽しみだ。

とにかく、この令和の時代にELLEGARDENの新曲が聴けることが嬉しくてたまらないです。ありがとうELLEGARDEN。


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