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日記

人と親しくなるといつもその人が透明になって、自分との境界線が溶けて混ざってしまう。私の立つ位置が分からないのか、相手を捉えられないのか、分からない。存在することは分かっているのに、私からは決して見えない世界について分からないまま考えている。色のついた水の中に手を入れて、その感触だけで水の中の世界を知ろうとしている。そして私の手もまたその水の色に染まって溶け出し、境界はなくなり世界も分からないまま、体の半分まで溶けたところでそれに気づき、溶けた体を引きずってそこを離れる。体が溶けてしまったところを誰にも見られたくない。私が溶けたことで相手もまた溶けてしまっている。分からない世界には手を入れないほうがいいのか。溶けきってしまったら、どうなる。たぶん自分の溶けない部分が暴れ出して死ぬ。


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