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UXシナリオと「キャラクターが勝手に動く」現象

こんにちは、デザインマネジメントファームでデザインリサーチをしております藤井です。最近三文にもならない小説を書くのが趣味でして(笑)、数千字くらいの文を14本くらい書いてようやく気づいたのですが、私は小説家や漫画家などストーリーを作る人がたまに主張する「キャラクターが勝手に動く」派のようです。
私はこの現象がデザイナーやリサーチャーがシナリオ作成のときに求められるスキルなのではないか?という仮説を考えてみました。

そもそも「キャラクターが勝手に動く」というのはどういうことか

経緯や結末など細かな設定を決めてストーリーを描写するのではなく、背景や世界観を決めてからキャラクターをそこに置いて、彼らがどう動くかを観察することを一旦「キャラクターが勝手に動く」と仮定します。

デザイナーの思考と「キャラクターが勝手に動くこと」は構造が似ている

デザイナーは何かをデザインするときに、何かユーザーの「目的」を元にデザインします。
たとえばお菓子屋さんのポスターなら「1日を良い気持ちで締めたい」とか。これは小説や作家におけるキャラクターの「設定」です。もし空想上の物語なら「悪者にさらわれた親友を助けたい」となります。デザイナーは、「目的」を決めて、世界にユーザーを置きます。そしてどうしたらその目的や設定を達成できるのか、ユーザーに成り代わって考えてアウトプットを考えるのです。
これは作家が言う「キャラクターが勝手に動く」という現象と同じ構造ではないでしょうか。

どうしたら「キャラクターが勝手に動く」?

ある程度まで対象(ユーザー)の解像度を上げる必要があります。ユーザー世界で勝手に動き出すくらい、生々しい「目的」を発見し、どのような言動をするか想像できるレベルのペルソナを作成します。さらに、そのペルソナが動く状況を探索します。(UX領域においてこれは「機会発見」ですね)
どんな状態なら動き出すかを想像し、動きそうな兆しを感じたらすかさず観察します。

「キャラクターを動かす」意識でシナリオを書くメリット

キャラクターが動かない時点で、何が欠けていることに気づけることだと思います。
動かない原因としては以下のチェックポイントがあります。

①目的が生々しくない(動く原動力がない)
②ペルソナの解像度が低い(言動が想像できない)
③機会が合っていない(動くきっかけがない)

もし動かない場合はこの3点を確認し、動くように調整していきます。
ただ、③がダメならそこからやり直しができますが、
①がダメなら残念ながら②も③もダメです。

まとめ

シナリオを書くときは「キャラクターが勝手に動く」くらいリサーチを通して、目的・ペルソナ・機会をしっかり設定することが大切ではないでしょうか。結論としては単純なところに落ちてしまいましたが、文章力よりもそこを磨く方がデザイナーはシナリオが上手くなりそうです。
何かのヒントになりましたら幸いです。

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