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演劇の集団創作から考える「共創」の意義

こんにちは、コンセントのサービスデザイナーの藤井です。先日、コンセントの部活動(舞台芸術部)として「ディバイジング」という集団創作を実践するワークショップに参加してきました。(私は正確には舞台演劇部ではないのですが、部員以外にも開かれた活動でしたので、便乗しました!笑)

ディバイジングとは

脚本家や演出家が決めるのではなく、演者全員がフラットな立場で創作する手法の総称を呼ぶそうです。

演劇はチームで作ります。劇作家、演出家、俳優、音響スタッフ、照明スタッフ、舞台監督、様々な役職の人の中で関わりながら作品を創っていきます。今までの演劇の多くはヒエラルキー型で創られています。一番上に演出家がいて、俳優は演出家に従う形で作品を創っていくスタイルです。
トップダウン型の組織ですね。
今回お伝えするディバイジング Devising はdivide=分けるの派生語で「考え出す、工夫する」という意味の言葉です。そこからヒエラルキーを創らない集団創作の名称として呼ばれるようになりました。

講師の池田練悟(レゴ)さんの概要説明より一部引用
ヒエラルキー型との比較

ディバイジングに必要なのは信頼し合うこと

実際にディバイジングをする前に、私たちはいくつかのワークに取り組みました。その中で興味深かったのはギブアンドテイクのワークでした。

ギブアンドテイクのワーク

・二人ペア(二人を仮にA、Bとする)になって、曲が流れるなかAが好きに身体を動かし止まる(これは相手に動く権利をgiveする)
・すると、Bが相手の動きに影響して体を動かし、また止まる。
・またAが動き出す。
・動いた方が止まっても良いし、止まった方が動いても良い(これは動く権利をtakeしている)。
・常にどちらかが動き、どちらかは止まっている。

文字で書いてもよく分からない気がする

この取り組みで私が何を得たのか

取り組みながら、私は夫と付き合うか付き合わないかくらいの頃(19歳くらい)を思い出しました。

私と夫はよく、朝方4時だか5時だかまでLINEをしていた。
どちらかがチャットに文字を打つ。それに影響されてまた文字を打つ。相手がなんと返してくるか、予想をしながら、わくわくしながら返事を待つ。パターンに少し飽きてきたらどちらかがボケる、悪のりを始める、それに乗っかる。それを延々と繰り返しているといつの間にか外が明るくなっている。

ちょっと恥ずかしくなってきた…

私が当時やっていたのは、まさにこのギブアンドテイクのワークだったのでは。ギブアンドテイクの間にあるのは信頼です。相手なら乗っかってくれるだろう、拾ってくれるだろう、そう思えるから私は表現ができるのです。

この取り組みで私が何を得たのか

私たちは人とコミュニケーションを取ることで、自然と信頼を形成しています。ただ、意識的に他者と信頼を築くにはどんな取り組みが必要なのか……これを考えるのがあの信頼のワークなのだと思いました。

実際にこのワークをやってみると、ギブアンドテイクのワークを楽しく違和感なくできる人と、そうでない人がいます。実際の業務でも「なぜかこの人とはスムーズにやり取りができるぞ」と思える人とそうでない人がいます…よね(人間だもの)? 一体何が違うのでしょうか。もう少しペアを変えたり時間があったりしたら見えてきたのかもしれません。

ディバイジングをしてみる

本番の(?)ディバイジングのワークでは、テーマをもとに、数十秒間どのような表現をするかをチームで考えました。今回は「春夏秋冬」から季節を一つ選んで表現をしてください。というワークでした。

改めて振り返りになりますが、ヒエラルキー型は監督、脚本、演出、演者と表現の仕方を分割して演者へ伝達する創作方法と一旦理解しました。ディバイジングはその逆で、フラットな関係で創作を行います。

ヒエラルキー型との比較

なんか、めっちゃ聞いたことある

ディバイジングにあたり、講師の池田練悟さんからコツをいくつか教えていただきました。しかし、なぜか聞き覚えのあることがたくさん。

「ディバイジング型の創作は、すぐにプロトタイプをつくります。考えたり話し合ったりする前にDoすること、早く、安く、壊れてもOKなものが良いプロトタイプです。それを目の前に出して、そこから考えることが大切です。」
一人称を『私たち』にしましょう。私はこうした方が良いと思う、ではなく、私たちはどうしたら春を表現できるだろうか?と話してみましょう。」

講師の池田練悟(レゴ)さんの当日のお話より

デザインの基本的な姿勢として「エンジニアリング」と比較して「ブリコラージュ」である、ということはよく語られます。ブリコラージュは、机の中から引っ張り出した間に合わせでどうにかプロトタイプを作って、課題解決を試みることです。ディバイジングはとりあえず身体を動かしてみて、どう見えるかを観察し、試行錯誤していく。この姿勢は、まさにブリコラージュ的であると言えるかもしれません。

また、アイデアの問いかけとして「How might we?(私たちはどうしたら〜できそうだろうか?)」をデザイナーはよく使います。この一人称も「私たち」です。

なぜ、私たちは「ディバイジング」するのか?

講師の池田練悟さんのお話の中で、ヒエラルキー型の良さとしては「早い」ことを述べていらっしゃいました。一方ディバィジング型はそれに比べて「タフ」な取り組みであるとも。
しかしながらどうして私たちはそんな方法論を選んでいるのでしょうか。ふと私に置き換えると、なぜ私はお客様とディバイジングしようとしているのでしょうか。
もしかしたら、プロトタイプのラリーを繰り返すことでタフなチームを作ろうとしているのかもしれない、と思いました。タフさを手に入れることによって、変化への対応しやすさを得たいのかもしれません。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
今回ディバイジングを体験することで、なぜ私がお客様ないしはユーザーと共創するのかのヒントを得られたように思います。池田練悟さん、運営くださった皆様、楽しく面白い機会をありがとうございます。

講師を務めてくださった池田練悟(レゴ)さんのXはこちらから。

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