三角コーンにできることはまだあるかい? 駐車禁止看板を『まるで工事中』から解放したい #2020年代の未来予想図
「工事現場じゃないんだからさ」
大晦日に来店をいただいたお客様から、そんな言葉が漏れた。
少し前に、マンションの理事長を任されたそのお客様は、建物エントランスの違法駐車や駐輪に対策で看板を購入することになった。
駐車禁止の看板を他のマンションが使っている様子を見て回ったり。
ネットで探して、出てきた看板を見てそう思われたらしい。
その気持ちは痛いほどわかった。
まちを歩けばいくらでも駐車禁止の看板は置いてある。
けど、その看板はだいたい三角コーン。
とてもオシャレとは言えない、『まるで工事現場のような』風景が都会には溢れている。
赤い三角コーンに黄色と黒のシマシマのバーをかけたり、駐車禁止のステッカーを貼ったり。
この光景はほとんど工事現場で立入禁止の様子と変わらない。
これまで目にした中で一番すごかったのは大阪のJR天満駅。
近くに住んでいる人は、ぜひ一度行ってみてほしい。
そこにはこのコーンとバーが十重二十重にも張り巡らされるけれど、その光景はある種の『結界』のようでさえある。
(ただ、天満駅の場合は下記リンクのビフォーアフターでも紹介されているように、違法駐輪が常態化していた場所なので、極端な例ではあるけれど)
そして更に深刻なことに、その三角コーンが使い古され、役目を終えたとしか思えない状態でまちに立っていることだってある。
もう完全にHPゼロの彼らの姿を、私達はすでに見慣れすぎていてもはやなんとも思わなくなっている。
2枚目の写真に至ってはもはやなんのために置かれているのか分からないレベルだ。彼らが立っていたという名残が、まちにはそのまま放置されていたりする。
三角コーンは確かに便利だ。
なにより卵ばりに価格の優等生だと思ってる。
ホームセンターに行けばどこでも売ってる。
重石を含めて、1000円あれば余裕で買える。
工事現場で使うものだから、悪天候にも比較的強く作られている。
赤い色は血や炎を連想させるから注意をひきやすいし、警告を行っている雰囲気も出やすい。
どうせ屋外で使うものだから、別にかっこよくなくたって構わない。
壊れても捨てればいいし、捨てるのすらめんどくさいから、まだ役に立つならそのまま外に置いておけばいい。
違法に駐車されたり駐輪されたりさえしなければいい。
その意見は合理的だと思う。
でも。
でももし。
もし、違う選択肢があるのならば。
今回の冒頭に登場していただいたお客様のように、この風景を変えたいと思う人はいるんじゃないかって思ってる。
そんな想いから昨年、私は知り合いのデザイナーにお願いしてオリジナルの駐車禁止看板を作りました。
三角コーンと看板パーツを白で揃え、駐車禁止の表示は黒でシンプルに。
ステッカーは店舗で空いた時間にショーウィンドウ等に使われる屋外用のステッカーをカッティングして手作りしています。
「ここは俺の場所だ! 絶対に車を停めるなよ!」という過度なオラオラさはなくして、その場所を訪れる人を信頼し、コミュニケーションをとるような看板を目指して作った。
そして、駐輪禁止の看板も同様のコンセプト。
JRの天満駅周辺では流石に効力を発揮しないと思うけど、かっこいいお店やマンション、美術館に置くなら、ぜひこの看板を置いてほしいと思う。
2020年代の未来予想図というお題を見た時、そんな大それた将来予想やアップルのようなイノベーションはとても自分には起こせないと思って投稿するのを一度辞めた。
だけど、ほしい未来を自分の行動で少しでも手繰り寄せることができると考えたら、少しでもこの看板のことをたくさんの人に知ってほしくなったのでこのnoteを書くことにした。
赤い三角コーンで権利を主張し合うような公共空間がこのまま続くよりも、白いコーンでコミュニケーションを柔らかくとりあえるような。
そんな2020年代にできたらと思います。
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大阪の気軽にアクセスできない場所にあるお店ですが、今後もnoteを通して皆様と交流できれば幸いです。
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