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『風立ちぬ』で語られる「10年」に学ぶ 小さなお店の目指す「状態」の話

「創造的人生の持ち時間は10年だ」

そんな言葉を、久しぶりに金曜ロードショーで観たスタジオジブリの「風立ちぬ」の中できいた。
公開は2013年の7月だというから、初めて劇中でその言葉を聴いてから、早9年。ほぼほぼ10年近くが経過していることに、ただただ時間の流れを感じた。

劇中で観たときには「10年」はただ単に「イケイケ」なノリにノッている期間なんだろうなーとぼんやり捉えていた。

でも、あの頃と違って今はサラリーマンを辞めて独立していることもあって「10年」の捉え方が様変わりしている自分に気がついた。
その10年というのは、なんでもない小さなお店を営む自分にも少なからず関係しているのではないか…。そんなことを思うようになったのだ。

今回はそんなお話を共有させていただければと思う。

天才とは『状態』のことである

天才とは『状態』である。
風立ちぬを観ながら思い出したのは、ある記事で話されていた「天才」についての話だった。

天才とは「自分の個性や才能が100%受け入れられてる状態」という記事の中の言葉を見て、確かにそうなのかもしれないと思ったことが、「10年」の話と自分の中でかぶったのだ。

時代によって求められる才能は違う。
コンピューターのなかった時代には重宝された記憶力が、いまや検索をいかにできるかであったり、検索ではたどり着けない深い知識を得る必要性だったりを求められるように。

かつてお茶の間を席巻したお笑いのネタが、いまやコンプライアンスで訴えられるようになったみたいに。

新型コロナウイルスが、リモートワークやお家時間、アウトドアに脚光を浴びせて、仕事のやりかたが大きく変わりつつあるように。

世の中に必要とされる能力は、その時に応じて流動的に変化していく。

「自分の個性や才能が100%受け入れられてる状態」というのは、まさにそういった時流に自分の能力や考え方がバッチリハマっている状態だと考えれば、天才というものがいついかなる時も同じ基準で測られるものではないことはなんとなく理解できる。

風立ちぬで語られていた「10年」というのは、天才がしかもその若さや能力を発揮できる時間を表現する期間として受け止めると、とても納得がいく。
世の揺れ動きの中で、能力を発揮できるタイミングは限られているのかもしれないと考えると、自分の能力の捉え方も変わりそうな気さえしてくる。

問題を解くことより見つけるセンスを磨くこと

物理学者 ファインマンさんは、いま解くと価値があって、なおかつ現時点の物理学の研究状況がギリギリ解けそうな問題を見つけることがうまかった。

そんな話が登場するのは安宅和人さんが書かれた「イシューからはじめよ」という本の中でのちょっとした文章だった

ここからは、天才と呼ばれる人の行動が問答無用な力で捻じ伏せるようなものではなくて、世の中の水準やニーズをもとにどの問題に取り組もうかを決める重要性が感じられる。

思うままに行動してうまくいくというのももちろんひとつだけれど、ある程度それを意図的に行うこともまた「10年」を捕まえたり、もしくは「10年以上」活躍するための鍵なのかもしれない。

ただ、この問題を解けばいいよと明示されていない中で、何に価値があるのかを図るのは最終的にセンスだとも言える。
それはその時代をいきる若者の価値観は若者である当人がわかるように、世代の移り変わりによっても醸成されるように思う。
その上で、センスは知識から作られるという本もあるように、天才という「状態」を維持し続けることもまた、10年の儚さを知っている人のほうが感じ取れそうにも思える。

自分の価値観とお客様のちょうどいいところは見つけ続けられるのか

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さて、そういった天才には程遠い自分ではあるけれど、お店をこれからも続けていくためには「10年」という状態にまず入る必要がある。

現代の生活での問題意識、メーカーさんと培っていく関係性、少しずつ感じ取る自ブランドの強みと弱み。

こんな理屈を真面目に考えている時点で、やることなすことがうまくいく「天才」にはなれない自分を強く自覚するとともに、それでも自分の中での旬である「10年」にあたるものは誰の身にも同じ様にあるのではないかと思う。

いまの時勢の中で、自分が必要としていて、お客様も必要としていて、自分の知り合いと創り上げられる範囲を常に意識しているのは、凡人なりに頑張ろうと思っているからに他ならない。

そんな決意表明にも似た想いを、金曜ロードショーを観ながら感じた2021年の夏のおわりでした。

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