その投稿に「愛」はあるんか? 【ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門】を読んだら、販促と広告の違いが整理できた話
SNSをどんな風に運用したらいいのかわからない。
お店の店長同士で情報交換していると、自然と悩んでいることを相談したりすることがある。
特にSNSの更新方法については、自分自身悩むことが多いし、周囲に話をきいてもそれぞれにアプローチを試しながら悪戦苦闘している印象だ。
インスタグラムはアカウントがあることが前提で、どんな写真を投稿するのかとか、売上にどんな影響があるのかとか、イイねがたくさんつくのはこういう投稿だねとか、そんな話になりがちだ。
その悩みに対する答えには、意外な本から唐突に得られた。
チョコレートのGODIVAの「日本は、義理チョコをやめよう。」やホンダの「Honda. Great Journey.」を手掛けてきたクリエイティブディレクターの原野守弘さんの「ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門」という書籍を、なんとなく読み始めたのだけど、そこにはまさしくSNSをどんな風に考えて活用すればいいのかというヒントがミチミチに詰まっていた。
今回はこの本を読んで、自分が悩んでいたSNS活用がどんな風に整理されていったのかをご紹介したい。
広告と販促は違う
販促と広告は違う。
原野さんの本を読んでいて、一番腹落ちしたのはそんな一節だった。
お店をやっているからには、仕入れた商品が売れないと立ち行かなくなる。
だから、SNSでの発信の目的も「商品をたくさん売ること」になりがちなのは否めない。
でも、自分が好きなブランドのことを考えた時、そこには原野さんが言うところの「広告」がたしかに思い当たる。
例えばアップルの有名すぎるCMである、「Think Different.」
そこには商品が登場しない。
世界を変えた偉大な人たちが映像として登場し、「Think Different.」という誰かと違う存在であるクレージーさを肯定するメッセージが伝わってきて、なんだか見てるこちらの胸のあたりも熱が伝わってくる。
本の著者である原野さんの手掛けた森の木琴というドコモのCMも、商品のスペックや斬新さ、付与されるポイントの話なんて出てこない。最後に商品は出てきて紹介されるものの、ほんと淡々としている。
映像のほとんどは、森の中を木のボールが音楽を奏でながら進んでいく姿がただただ流れているだけ。
でもそれだけのCMが、心にじんとなにかを伝えてくれる。
原野さんの言う広告には、商品を売るためのあの手この手を感じない。
会社側が大切にしていることへの愛情を、その愛情の対象への尊敬や好きを最大限に表現することで伝わる何かがある。
原野さんは、様々な過去の広告などの共通点を探そうとしたけれど、論理的な何かは見つけられなかった。けれど、結果として「人間は感情でしか動かない」という考えにたどり着き、それを実践されている。
広告と販促は、感情を動かすか、論理的に売り込むかという違いと言ってもいいのかもしれない。
販促という意味では例えばハヅキルーペさんのCMなんかは思いっきり販促なのだと思う。その逆張りっぷりに返ってあのCMを好きだという人はいるとは思うけれど、たぶんブランドやお店を「好き」になってもらう手法としては逆側にあるようにも思える。
じゃあこの「広告」の考え方はお店でどうやって活かせばいいんだろう。
そう考え始めると途端にSNSのあり方が整理されてきた。
SNSで「スキ」されるもの
インスタグラムでは、商品の写真より、お店で撮影したちょっとした瞬間の写真の方がイイねの数が多いことがある。
だから、これまで誰も見たような商品を仕入れたり作ったりして、写真をアップしなきゃ!と思いがちなまま3年間やってきた。
それはそれで「販促」としては正しい姿なのだけど、ブランドを好きになってもらうという観点では実はアプローチが違ったのではないかなとこの頃思い始めた。
そう考えてみれば、うちのSNSで一番フォロワー数が多いのはnote(現在約7500名)で、そこに書いている内容は商品のことばかりじゃない。
お店をやっていて感じたことや、補助金の申請方法が難しかったから簡単にまとめた内容であったり、他のお店の人のすごいところをまとめた記事なんかも書いていたりする。
商品の売上のことばかりを考えるのであれば、それは非効率的なことなのかもしれない。
けれど、どうしてもnoteを書くことがやめられない。
サラリーマンの頃に店舗業務を改善する「改善提案」という制度にのめり込んでいた時期があったのだけど、自分がうまくいかなかった業務は、誰でも簡単に扱えるようにしないと気がすまない性質が自分の中にある。
そう考えれば、文具屋をやろうとしたことも「苦手なことが道具を使えば簡単にできることの快感」が忘れられなくて文具が好きになったことが切り離せない。
掃除の時に溜まったホコリを掻き出したときのようなあの快感を、表現し続けていたらフォロワーさんが増えていた……と考えれば妙に自分の現在地が納得できる。
そう考えるとツイッターやインスタグラムでも商品を紹介するアカウントは別にして、自分のスキを徹底的に突き詰めた内容をアップするアカウントがあってもいいだろうし、実はその方がSNSでは必要とされているのかもしれない。
そして、その方がSNSでたくさんの人とつながって、ファンが増えることで売上にも繋がるのかもしれない。
そんな風に「広告」と「販促」を整理してあげると、どうアプローチすればいいのかという問題の輪郭がようやくうっすらとつかめてきた。
自分自身の大好きなものへの愛情、そしてそれを表現する力、そして販促でなく広告でつながっていくフォロワーさんとの関係性。
その流れがわかったことがこの本で一番納得を得られた部分だった。
そして、この些細な気付きのnoteが、読んでくださったあなたのお役に立てば嬉しい。
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