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「ぺんてるさん」に支えられて、文具屋になったと気づいた日の話

思えばぺんてるさんにはいくつもの借りがある。

ふと、そんなことを思ったのは、ぺんてるの社員の山田さんの熱量溢れる記事を読んだからだった。

タイトルを見た瞬間に、学生の頃の記憶がぶわっと押し寄せてきた。

そうだ。私自身も、ぺんてる社員の山田さんと同じく、サイドノック式シャープペンを愛してやまない人間だった。
それだけじゃない。

いまや文具屋さんをはじめた私にとって、思えばこれまでの人生の中に、いつもぺんてるさんのアイテムが私を助け続けてくれていたことに気づいた。

#忘れられない一本  というお題なのだけど、正直褒めたいペンが3本あるし、書きたい想いをおさえきれないので、今日は大好きなぺんてるさんのペンの話をさせてほしい。

無限にシャー芯が出てくる「サイドノック式シャープペン」

購入したのは、小学校の頃。
英検のテストで、遠方に行った時だったはずだ。

シャープペンシルをうっかり持ってこなかった私は、特にこだわりもなく、青いサイドノック式シャープペンを手にとった。
正確な機種は覚えていないけれど、ゴムの持ち手と青いノックボタンのことはいまも脳裏に焼き付いている。

ノックする際にペンを持ち替えないで済む仕様ももちろんだけど、シャープ芯をごっそり1ケース分ぐらいぶちこんでおける大容量な予備芯スペースもまた、めんどくさがりの私にはとっても便利だった。

そして、思えばシャープペンシルを解体して掃除しながら使うことを教えてくれたのもまた、サイドノック式シャープペンだった。
芯が詰まったら捨ててしまうのではなくて、ペン先を外して詰まりを取り除いて、なおしたらまた使える。
小学生のお小遣いで買えるこのシャープペンが、いつまでも壊れずに使い続けられることに驚異を感じている内に、おしりの消しゴムはすり減って、出っ張りのないただのシャー芯が出るのを防ぐフタなってしまった。

それでも結局、気に入って使い続けて、高校受験にも持っていった。
英検を合格させてくれたことでお守り代わりとしても認識していたし、実際受験は成功。
私が文具屋をはじめることになった原風景には、確実にこのサイドノック式シャープペンがいる。

データ入力チェックにはこれ以外考えられない「赤のサインペン」

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シャープペンじゃない。
シャープペンじゃないんだけど、社会人時代に一体何本の「赤いサインペン」に助けられてきたのかと思う。

大手小売チェーンで店長をしていた私は、家具の配送データ入力が間違ったり抜けがあったりしないか確認をするために、必ず赤のサインペンを使っていた。

この太さ。
赤のくっきりとした色合い。
そして卓越したコストパフォーマンス。

どんなにヘロヘロになっていても、データの入力に間違いは許されない。
そんな時でも、サインペンは杖のように私を支えてくれた。

赤いサインペンでチェックした内容には責任をもたなければならないというのが、自分に刷り込まれていたし、赤の✔をつける気持ちよさは、このペン以上に最高なものが思い浮かばない。

このペンがなかったら、データチェックの精度は下がってしまっただろうし、データをチェックすることに苦痛を感じていたかもしれない。
そう考えれば、ぺんてるさんのサインペンは、私の社会人生活を静かに支えてくれていたのだと言い切ることができる。

最高峰のシャープペンシルにして、お店のサービスのうむきっかけになった「orenznero」

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社会人になって、シャープペンを使う機会は圧倒的に減った。
ボールペンで正式な書類は書かないと怒られたし、お店での立ち仕事に何本もペンを持ち歩くのは邪魔になる。
文具メーカーが様々な工夫を重ねていても、シャープペンシルを買おう・・・というタイミングは正直あまりなかった。

そんな私の認識を引っくり返したのが「orenznero(オレンズネロ)」だった。

折れないという、シャープペンシルの弱点を克服したぺんてるさんのオレンズシリーズは、たしかにすごいなと感じるものの、ボールペンを使っている私には対岸の景色だった。

でも、orenzneroは圧倒的だった。
それが、折れないという自信を0.2mmの太さのシャープ芯の搭載に表現し、更には自動繰り出し機構という勝手に芯が出てくる仕組みまで組み込んで、デザインまで惚れ惚れするほどかっこよく、価格も3000円。

シャープペンシルに3000円と聞くと、高いと感じる人もいると思う。
けど、海外製の5000円以上するかっこいいボールペンに国産の書きやすいボールペンのリフィル(中身)を入れて対応してきた私からすると、えええええ!というぐらいの衝撃だった。

日本やるじゃん!と。

そこから、国内メーカーの文具も改めてチェックするようになった。
思えばそのおかげで、今のお店のラインナップも国内メーカーで刺激的な挑戦を続けているメーカーを取り扱うことが出来ている。

そして、それだけじゃない。
orenzneroは更に大きな影響をうちのお店に残している。

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うちのお店では、ペンプロッターという機械を使って、お客様へのお礼状を書いている。
パソコンでデータを入力すると、画像や文字を自動で美しくスキなペンを使って書いてくれる便利なやつだ。
文具店はもちろん、お店でこの機械を置いているところはほとんどないんじゃないかと思う(そもそも必然性もないし)

実はこのペンプロッターという機械との出会いもorenzneroのプロモーションビデオがきっかけだった。

このプロモーションでも使用されているAxidrawというペンプロッターは、ペンの固定がネジ止めするだけなので、使用中の筆圧の調整などは一切できない。
そのため、万年筆やボールペンでは使用できるものの、鉛筆やシャープペンでは通常使用できない。

しかし、自動繰り出し機構を備えるorenzneroだからこそ、対応できたというのはニッチ過ぎて日本国民の99.99%は知らないし、知らなくていい話だ。

でも、その熱すぎるこだわりに救われて、文具屋をはじめた私はやっぱりぺんてるさんに助けられている。
実際、ペンプロッターを使ったお礼状は人気で、好評を得ている。

ありがとうぺんてる。そしてこれからも

そんなこんなで軽い気持ちで書き始めたこのnoteも気がつけば長々と書いてしまった。
気がつけば、ぺんてるさんの文具に私の人生は大きく影響を受けていた。それが振り返れただけでもよかった。

それもこれも、ぺんてる社員の山田さんの熱が乗り移ったからだと思う。

山田さん。
私もサイドノック式シャープペンシルを作って欲しいに一票入れます。
そして実現した暁には、お店で責任を持って一緒に売ります。

なによりぺんてるさん。
わたしの文具人生を支えていただき、ありがとうございます。
これからもドキドキする商品の誕生を心待ちにしながら応援しております。

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