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IDer によるオンライン教育設計 座談会 【1回目】のログ 2/3 大学での就職対策数学講座オンライン実践

こんにちは、やまおかです。前回に引き続き座談会1回目のディスカッション内容の備忘録的なログを残します。

座談会に関しては、facebook グループを参照してください。

1回目の続きは、就職対策の数学授業オンライン実施の結果について話していただきました。

授業概要としては

200名のクラスをレベル別に4つのクラスに分け、下位のクラス程人数を少なく、上位のクラスは半数以上の人数(110名程度)

Moodle で解説を読み、練習問題を解く。分からなければ質問するという形式をとっていた。

今年のオンライン実施は、Moodleを軸に、講師、受講生は、zoom 接続し、受講生が個別に問題を解く、質問があれば講師がサポートするというのが基本スタイル。

◆オンラインで実施してみての改善ポイント

受講後アンケートのコメントから浮かび上がった改善ポイント。

授業開始当初は、ルールが全く決まっていなかった。途中でルールを増やしたら学生から不満が挙がった。

ITスキルに起因して、Moodleへのログインができない受講生が続出したので、PDFで手順書を配付した。

講師側通信環境により配信が途切れることがあり、それが受講生のストレスにつながっていた。

文字によるお知らせなどは見落とされることが多かったので、動画別撮りで用意を検討する。

◆オンライン授業を実施してみての成績の伸び

事前テストと期末テスト(事前テストよりも少し難しい)を実施し、期末テストでは成績が伸びていた。10点満点換算で 0.6点伸びている。

点数分布も、事前テストでは、6~7点にピークがある山なりの分布であったが、事後テストでは、9~10点がピークになり、右肩上がりの分布になった。

中間層の受講生が、授業を受けることで、高得点ゾーンに移動・成績が伸びた。

出席率も今年オンライン実施の方が良かった。出席率は、去年と比較して8%程度高かった。

◆期末テスト問題の構造

無題

Moodleの小テストの統計情報をもとに

「どの問題が出来る受講生と、できない受講生の差を分けたのか」を 識別指数をもとに分析した。

識別指数は、小テストの1問ごとに算出され、当該の問題の正誤とテストの得点の相関を表す数値です。1.0 ~ -1.0で表され、1近づけば近づくほど、そのテストでの高得点者が正解している問題になり、-1に近づけば近づくほど、テストでの低得点者が正解している問題になります。

識別指数ともう一つの指標 ファシリティ指数(正答率)から、良い問題かどうかを判断します。

なるべくファシリティ指数が高く、識別指数が0.5以上のものが、まあまあ良い問題とされています。

Moodleではテスト問題の統計レポートを出してくれます。

◆アンケート結果

通信状態は、97%は、「問題なく受講できた」「時々途切れたが受講に支障はなかった」という結果だった。

授業以外でも、Moodleで勉強したに関しては、授業外に利用していたい受講生は、78%。

「。。。講師のスタイルも考慮して授業設計しないといけないと感じた。」

満足度は、80%近くが大変満足 又は やや満足 だった。

満足につながる受講生のコメント

「自分のペースで学習できた。」

「学習内容がよかった」(解説文が解りやすかった)

「学習機会を持てた」(話を聞くだけの授業でなく、思考する授業だった)

不満につながる受講生のコメント

「通信環境が悪かった」(音声が途切れた。)

「質問ができない」(対面でなかったので質問しにくかった)

「自己学習のペースがつかめない」


受講生には、オンライン学習を成立させるためのスキル(自己調整力や質問力)が必要なのかもしれない。


オンライン授業の良い点について

「マイペースで進められる」

「通学時間がないこと」

「緊張せずに気軽に質問できる」(チャットで質問できる)

「体調不良でも、できる範囲に合わせて進められる」

「物理教室は自分のスペースは狭いけれど、自分の部屋は、計算式の紙をひろげるスペースを確保しやすい」

「板書とか自分の近くで見ることができる」


後期に同じ授業があるとしたら、どの授業形態を望みますか

この質問は面白い 全体での結果は以下の通り。

授業時間の決まっていないオンライン授業(非同期型オンライン)32%

授業時間が決まっているオンライン授業(同期型オンライン)  43%

対面授業                          25%


レベル分けしたクラスで、レベルが低くくなるにつれ対面授業を望む比率が高くなった。

内容を理解できない受講生は、質問することができない。そのため対面授業で先生に引っ張ってもらった方が、授業を受けている感が得られる。


ここから座談

『下位レベルの受講生達は、同じ授業の仕方だったら、オンラインよりも対面の方が良いと思っているのか?』

上位レベルに合わせたオンライン授業設計になっているから、下位レベルの受講生は違和感を覚えていいるのか。もし、下位レベルに合わせてオンライン授業設計になっていたら、また別のアンケート結果になったのか?

。。。

どのレベルに合わせて授業設計するのかを考えると、

『100人いたら100通りのレベルになる』

100通りの(たとえ話とか説明方法の)オンデマンド授業は作れないので、自分のペースで何度も繰り返し学習できるのが、オンデマンドでの現状の解決策と考えている。

『まずは、学習の仕方や使い方を教えるというのが必要なのかと思う。』

周りのペースに合わせて学習すすめるのではなく、自分にあった勉強の仕方をまずは身につけてもらう。


『オンラインになって講師が一方向で話す時間が減った。その代わり質疑応答の時間やディスカッションの時間が増えた。』

オンラインだと講師の話を聞き続ける集中力が持続しない。オンラインで集中して学習してもらうために、講師の話は、なるべく短くし。受講生同士の教え合いや、講師との質疑応答の時間を長く確保するような授業構成にした。

オンラインになったことで、チームディスカッションがしやすくなった。隣のチームとの声の干渉がないことで、チーム内で集中して話し合うことができた。


ここでは公開できない、座談会へ参加した方しか聞くことができない濃いお話でした。

次回 引き続き 座談会1回目の内容です。

よろしければサポート宜しくお願いします。研修用機材購入にあて記事にさせて頂きます。