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人材派遣から能力派遣へ

再びコロナ感染者が増えてきました。一旦、テレワークを解除した企業も、テレワーク再開となるところも出てきているようです。

さて、テレワークになると今まで物理的に存在していた「人」がその場にはいなくなり、インターネット回線などを通じて機能を提供する形になります。その場にいた場合は、存在そのものでアピールできたわけですが、テレワークになると機能としてワークしているか?アウトカムを出せるか?という話になってきます。所謂ジョブ型という仕事のやり方です。

私が長らくいた戦略コンサルティング業界は、2ケースなのか1ケースなのかが、常に若手の間では話題になっていました。2ケースとは、コンサルタントが受け持つプロジェクトが2つあるということ。1ケースとは、プロジェクトが1つであり100%そのプロジェクトに打ち込めるというものです。私も毎度挨拶のように、「今、1ケース?2ケース?」と仲間に良く聞いていました。

かつては、2ケースというコンサルファームがいくつかあったように思いますが、現在は、1ケース、すなわち1つのプロジェクトで100%稼働。常駐して頑張ります!というスタイルをほとんどすべてのファームが採用しています。システムエンジニアの世界は、元々客先常駐が多く今も昔も常駐が基本です。

確かに2ケースは大変です。大して関係しない2つのプロジェクトを受け持つわけですから、切り替えが大変です。よって、多くのコンサルタントには不評でした。ワークライフバランスが難しい、切り替えができない。そのため、多くのコンサルファームも1ケース化になり、実質常駐となったわけです。

さてさて、これからもこのスタイルが続くのでしょうか。テレワークになり、常駐しなくて済むようになった=人材派遣ではなくなったのです。そうなると、できる人は、2プロジェクトでも3プロジェクトでも可能だし、そうでない人は1プロジェクトに集中し100%稼働とはいえ、大した結果が出ないということも想定されます。

このように、「人材派遣」ではなく「機能や能力」が切り出され派遣されるようになると、何か課題があった場合、その課題を解決するのに必要な機能を集め、課題解決するするという手法が出てくるはずです。

具体的には
 1)課題を定義し
 2)課題を因数分解し
 3)課題を解決するのに必要な能力・機能を明確化し
 4)その能力・機能を調達し
 5)最終的には課題を解決する

このためには、誰にどんな能力があり、どんな機能があるかを把握してしていなければなりません。もし世界中の、誰にどんな能力があり、どんな機能があるかを把握していると、あっという間に課題を解決することができるかもしれません。

「人材派遣」から「能力・機能派遣」になると、繋がっている世界中の機能や能力を使うことが論理的には可能になるのです。

これって、半導体の世界でも同じことが起きています。なんでもやります型のCPUから、専門家型のASIC、そしてその中間のFPGA。さらに発展してReconfigurable Processor(動的再構成可能な半導体)。CPUは、問題が飛んできたら、なんでも必死になって計算するので熱も持つし、クロック数も上げなくてはなりません。ASICは専用半導体ですから、特定の問題にしか対応してできません。FPGAはその中間体ですが、さらに発展したReconfigurable Processorは、問題が飛んできたら、瞬時に問題を解くために必要な機能(Cell)に因数分解し、そのCellを再配線することで、あっという間に解いてしまいます。その問題を解くのに必要なCellしか使わないので、消費電力も少なくかつ高速ということを実現するのが、Reconfigurable Processorです。

つまり、人材派遣が能力・機能派遣になったら、半導体ワールドで起きていることが、人間界にも起きる可能性があるのです。

これからは、自分で色々とできることも大事ですが、誰がどんな能力を持っているかを把握してしいることが、とても重要な能力になるはずです。鳥瞰力が求められるのです。

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