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トンデモ日本とザジ・ビーツがお目当て。アクション主体のB級テイスト満載なのに豪華キャスティングな「ブレット・トレイン」見た

Bullet Train / 2022
鑑賞:2022.9.14 記事公開:2022.9.24
監督:デビッド・リーチ、脚本:ザック・オルケウィッツ

 ザジ・ビーツとマイケル・シャノンが出ているので見たいのに、IMAX上映が9時台のみ一回で諦め気味。のところたまたま起きたので行けた。
原作は未読。デヴィッド・リーチ監督作はほぼほぼ見てて結構好き。

※※※ 弱ネタバレあり ※※※

映画は「欧米圏におけるポップな日本イメージ」をベースに、画面も展開も派手に楽しくてんこ盛り。
考える暇なく次々と展開するし、登場人物も多く情報も多い。なので、若干何がどうなってるのかわからなくなるけど、気にしなくてもいいと思う。

イメージとしては、石井克人の『鮫肌男と桃尻女』とガイ・リッチーの「スナッチ」を混ぜて、タランティーノの「キル・ビル Vol.1」で割って、きゃりーぱみゅぱみゅパウダーをひとつまみ振った感じ。
世界がすごく日本に近いので、現実とのギャップを頭の中で調整するのが結構大変。慣れてくるとヘンテコジャパンが楽しくなってくる。
それにしても、ちゃんと新幹線(ぽい乗り物)の中だけでお話をやってて、でもアクションはアイデアがたくさんで驚く。何気にノッてるデヴィッド・リーチ監督。

キャスティングは結構凝ってて、我らがキック・アスとか若いのにキャリアがすごいジョーイ・キングとか、小さい役になんでこんなところに?というビックネームが顔を出したりと、映画同様意表を突くスタンス。真田広之はようやくハリウッドに定着してきたようで感慨深い。多分予算も増えてるモータルコンバット2も楽しみ。
ちなみにサジ・ビーツの出番はあっさりでちょっと物足りないけどIMAXで顔が見れたので嬉しい。

欧米から日本がどんな風に見えてるのかわかるのも楽しい。列車内も駅や街中でも、アジア系白人系黒人系で見栄えが極端に変わったようには見えなかった。作り込まれた陰影のきつい絵図らだったからかも。

原作は「グラスホッパー」の続編だったらしい。しくじった。「グラスホッパー」は「オーデュボンの祈り」に次いで好きな作品だったにネタバレしてしまった。けど、「グラスホッパー」は何回読んでも楽しいので、「マリアビートル」もきっと楽しいに違いない。

正直トーマス話とかあんまり面白い感じはしないけど、それでも楽しいのはやはり「底抜けの頭の悪さ」だと思う。
デビッド・リーチ監督はスタントマンから映画に携わり「ジョン・ウィック」で、マトリックス以降のハリウッドアクションを塗り変えるようなインパクトある独特のアクションシーンで颯爽と登場。以降も、アクションがストーリー展開となるような作品づくりを目指していると思う。なので、台詞で展開させる訳にも行かないので、リアクションと絵的なインパクトで展開させるにあたり生み出されたのがこの「馬鹿展開」なんじゃないだろうか。「ジョン・ウィック」で見つけて「デッドプール2」で会得した感じがする。わかりやすいのは「走り出した列車に云々〜」のシーンだと思う。「そんなわけあるか」を越えて「そうなって欲しい」まで突き抜けたときの高揚感が凄い。物語中の細かいディテールがラストに向けて収斂してゆく爽快感は伊坂作品の魅力。今作はそれを踏まえつつ大きく馬鹿な方に振り切ってたのがデビッド・リーチ監督の勝算だったのでは?

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