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「人種差別を題材にしている映画記事」をリストしました。

2020/6/21

先日投稿した「ブラック・クランズマン」の記事が短期間のうちに多くの見ていただけました。今アメリカを中心とした出来事に無関心ではいられない人が多いのだと思います。
ただ多人種間で暮らす経験がないと、何が起こっているのかわからないことも多いと思います。

そこで、過去に書いた映画の感想の中で人種差別をテーマしたものをリストアップしてみました。
映画で扱われていることが「真実」ではありませんし「正解」ではありません。
しかし、ある側面から見た「事柄」であることは確かだと思います。
映画の感想では、特に「人種差別」について言及はしていないです。
映画では、「人種差別」の良し悪しよりも、そのことについて「誰がどうするか」というドラマが描かれています。
登場人物の心境を追っていくことで、より理解を深められるのは映画ならではの特性だと思います。

映画をきっかけに「世の中を知ること」に興味を持つきっかけになると幸いです。

スパイク・リー「ブラック・クランズマン」

黒人の映画監督はかなり珍しい時代に現れた映画監督だと思います。デビュー当初から黒人のあり方を主題にした作品を多く撮っている作家です。社会問題としてではなく、実際に街で暮らす人たちの目線の作品は独自のアプローチだったと思います。
映画制作のスタンスだけではなく、プライベートな発言や人生そのものが表現とリンクしている映画監督でもあります。
「ブラック・クランズマン」以外にも多くの作品で「人種差別」をテーマに素晴らしい作品を作り続けているのでご紹介させていただきました。

https://note.com/tyama/n/n3408ca9aa156

ジョーダン・ピール「ゲットアウト」「アス」

wikipediaによるとジョーダン・ピール監督はもともと舞台やテレビなどでコメディアンとして取り組んでいました。
彼の映画処女作である「ゲットアウト」は、主にホラー映画を作っている制作会社からのリリースで作品もホラー映画として公開されました。ある種の不条理ものですが、「人種差別」を以外な角度から描写しており、「虐げられるかわいそうな人たち」というような通りいっぺんではない「黒人としてのあり方」を見せてくれ大変興味深いです。斬新なストーリーはアカデミー賞を受賞するほど、オリジナリティに溢れたものでしたが、彼のキャリアが生かされた「笑えるほどの奇妙な状況演出」をホラー映画という他ジャンルで発揮しています。
2作目「アス」でも、「人種差別」も含めた「虐げる者」と「虐げられる者」を題材に、斬新な映画世界を構築しており、こちらも必見です。

https://note.com/tyama/n/n7bd393c5c72b

キャスリン・ビグロー「デトロイト」

2017年公開。1967年のデトロイトであった実際の事件を題材にしています。
白人警官の行き過ぎた対応が取り扱われており、2020年に起こっている出来事に重なる部分が多い作品です。
映画はある事件をリアリズム的な視点で淡々と描写されています。非常なシリアスで緊張感のあるシーンが続き見ているとかなり精神的な忍耐力を要求されると思います。エンターテイメントな要素を排して、真っ向から辛い状況を描き切った監督や役者たちには頭の下がる思いがします。特に、事件の中心的な人物。白人警官を演じたウィル・ポールターが秀逸で彼だけでも見る価値のある映画だと思います。

https://note.com/tyama/n/n394949d93ccc

クエンティン・タランティーノ「ジャンゴ 繋がれざる者」

クエンティン・タランティーノ監督はフィルモグラフィーを見ると娯楽を目的としたジャンル映画の作家に見えますが、そう一筋縄ではいかない作家です。
多くの映画で過激なバイオレンスを扱っていますが、彼自身は「暴力」を否定しています。そして、ファシズムや人種差別などに対しても徹底的に攻撃します。ただし彼は映画作家であり、ニュース記事ではデモ行進に参加している姿も報道されますが、主な主張は映画作品内で表現されます。
「人種差別」を取り扱っている「ジャンゴ 繋がれざる者」は、彼の作品としては初めての西部劇でした。題材は「黒人奴隷」です。西部劇ではありますが無法者が殺し合うようなアクション主体の内容ではなく、法と秩序を使いながら粗雑な世界と向き合う人物が描かれます。金と力と法律。この作品で語られているのは、「人間の尊厳」というようなモノだと思います。金で買われ踏みにじられるのは労働力でも肉体でも人種でもなく「人が人としてそこにあること」。尊厳が踏みにじられるということが一体どんなことなのかが描かれているように思います。もちろん映画としても魅力のある作品なのでぜひおすすめしたいと思います。
(こちらは感想の記事を書いていませんが、紹介させていただきました。)

バリー・ジェンキンス「ムーンライト」

黒人の少年から大人になるまでを淡々と描いたこの作品は、「マイノリティ」が大きな素材になっていると思います。
アメリカのある街の風景とそこに暮らす人々が、美しい映像表現で繊細に描写されます。
明確なメッセージは提示されませんが、主人公を通してそこに暮らす現実に向き合わされ考えさせられます。
「人種差別」というのは、今ある社会のある部分を指し示す言葉だと思いますが、この映画は、それらが起こる背景や環境なども含めて引いた視線で出来事を見ることができると思います。

https://note.com/tyama/n/ne980af48e713

リー・ダニエルズ「プレシャス」

2009年の作品で原作があるそうです。
この作品の大きな題材は「教育」だと思います。現在の埋まらない貧富の差、人種差別、家庭内暴力、それらを教育の必要性という視点から取り組んでいるのだと思います。ただ、そこに描写されていることはとても信じられないような出来事ばかりで直視するのが辛いほどです。ですが、こんなに辛い映画を作らなければいけない状況というは一体どんな理由なんでしょう。もう「人間には同じ権利がある、人権を守ろう」というスローガンからはかけ離れた世界が描写されます。このような表現をせざるを得ない状況が今もどこかにあると想像すると言葉を失います。
この作品も「ムーンライト」と同様に人種差別や暴力が行われる社会を俯瞰して見せてくれると思います。

https://note.com/tyama/n/n98bbd710be32

フェルナンド・メイレレス「シティ・オブ・ゴッド」

2002年、ブラジルの作品です。
リオデジャネイロのスラムを舞台にしていますが、この作品では差別や暴力がより直接的に描かれます。
テーマは「リオデジャネイロのスラムの現実」でしょうか。実話を元に、実際にスラム街に住む人たちがキャスティングされたようです。だからなのか表現は荒々しくエネルギッシュで、見ている人の心を打ち砕き吹き飛ばしてしまうほどです。
ここにも私の知らない「ある現実の側面」が描写されており、視野を広げてくれると思います。
(こちらは感想の記事を書いていませんが、紹介させていただきました。)


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