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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 16

第16回目 まず心構えや考え方を確立する、その後に知識やスキルがある
経営者がしっかりと身につけておかねばならないのは、まずは理念、心がまえ、そして道徳や常識などであり、人としてあるべき姿(人間性)の基礎的なものである。
経営戦略手法など経営に関するハウツーを学ぶことも重要であるが、社会や経済の発展や貢献に寄与することが基本である。そのために社会における人間関係の原則を学び理解しなければならない。

これらの原則を理解したうえで、経営に必要な知識や技術などのノウハウを身につけることである。SWOT分析、3C分析、PDCAサイクルなどを学んだかといって、これらハウツーだけで経営環境は良くはならない。一時的、あるいは現状よりは多少なりには向上するかも知れないが、結局は「仏作って魂入れず」のような姿になってしまう。

極端ではあるが、「儲ける」ことのみを念頭に経営戦略手法を徹底して学び、実際活用すれば一時的には儲かることはできよう。しかし、やがて徐々ではあるが業績を維持することが困難となってくる。
いわゆる、「儲けよう、儲けよう」とする一方的な気持ち(邪心)が相手に伝わり、相手は「儲けさせまい・・・」という気持ちや態度に現れるからである。儲けることは決して悪いことではないが、儲けるという前に、「相手に役に立つこと」、あるいは「社会に貢献すること」など、我欲のためではなく利他の気持ちがなければ経営は成功しないことを理解しなければならない。

企業(会社)の存在意義とは何であろうか、企業は自社の持つ経営力を発揮し、多くの利害者等に対し「役に立つこと」、「利便性を提供すること」、「社会に貢献すること」・・・など、今日よりは明日、明日よりは次の日へ少しでも向上していくことを担う役割があるのではないのか。
その役割を司るのが経営力を発揮させるための手法となる。したがって、手法も重要ではあるが、その手法を活用する以前に企業の存在意義や役割などを正しく理解しなくてはならない。理解した上で手法の発揮が活かされることを肝に銘じなければならない。

ややもすると、経営に関する理論や戦略的なハウツーなどを勉強した経営者は、知識吸収が即経営向上に結びつくという思い込みで、少し得意になっている姿をみることがある。これらに共通するのが、社長の社外勉強会やセミナーなどへの積極的参加、それが高じて社内では組織編成や社内勉強会の開始などに現れる。そもそも思いつきや一時的なものであるだけに長続きはせず、チグハグな結果で終わっているケースも多い。

経営や業績の向上は経営者自らが、人間としてどうあるべきかという基本的な考え方を確立することが初めにあり、その考え方の上で経営理論や戦略などが活きることを理解する必要がある。
基本的なことを曖昧にしておき経営手法やハウツウーに頼っている姿をみることがあるが、社長自ら難しい理論や手法を駆使すると外部からはかっこいい姿に映るが機能せずに終わってしまうことになる。頭でわかっていても行動に移れない人もあるが、まずは「やってみる」という自ら動いてみることが重要はないのか。

天風氏は、社長に必要な心構えなどを次のように諭している。
「もし、知識だけを磨いて人間が幸せになれるなら、学問を一生懸命勉強した人はみんな幸福になれそうなもんじゃないですか。そして、学問を勉強しない人はみんな不幸であるべきはずだが、そうじゃないでしょう」
 
「事業に成功するのは、自分が欲望から離れて何かを考えたときに、また、その考えたことを実行するときに成功するのだ。同じ事業家でも、欲の固まりでやる者と、「この仕事で、世の中の人のために、本当に役立つものを提供しよう」という気持ちでやるのでは、その結果が全然違うのである」
 


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