霧降高原ニッコウキスゲと私
今年6月。霧降高原へ一人旅を敢行。
栃木県は那須塩原、戦場ヶ原とあれこれ楽しく好きな旅先だが、霧降高原はこれが初訪問だった。
青空広がる東武日光駅に下り立つ。
フリー切符を購入……するはずだったのだが。スマホで買おうとしたらうまくいかない(スマホ音痴)。こうなりゃ紙チケットだ、アナログだ、とバスの始発が出るJR日光駅で聞いたら「東武でしか売ってません」だって!! 始発の駅なのに!? 結局東武日光駅まで走って戻った。何やってんだ私は。息を切らせてなんとか切符を買い、始発ではない東武日光駅のバス停に時間ギリギリで並んだ。ううう。
(東武日光駅とJR日光駅はほぼ隣り合っているので、歩いて数分)
霧降高原 天空散歩
さて、首尾よく席に座ることがかない、霧降高原へ。
いい具合にニッコウキスゲの最盛期。この日は土曜日。人も多くて賑わっているが、バスを降りると高原は広々していて素敵な空気。しめりぎみだけど爽やか。
しかし……霧&曇り!! 「霧降」というだけある。
それはそれで幻想的だからいいんだけど。
さあ登ろう、果ての見えぬ階段(1445段)を。
シーズンど真ん中だけあって、ニッコウキスゲがそこらじゅうで咲き誇っている。
途中途中で階段からそれて、高原を横切る道を歩けるのがとてもいい。
全然ゴミが落ちてなくて、よっぽどしっかり管理がなされてるんだなと感心。
さあ、まだまだ登る。「登頂」を目標にしてたわけじゃないけど、「1000段」とあるのを見れば、最後まで行きたくなる。
みんなよくがんばるな。お年寄りもかなりいらっしゃる。途中で動けなくなる人いないのか。
視界は真っ白。真っ白の手前に、黄色い花々の姿がにじんでいる。
やった! 登りきったぞ!
まあ、同じだけ下りなきゃいけないんだけども……
休み休み下りていく間に霧が晴れ、雲間から青空がのぞき……
やあ、絶景かな
野原をゆっくりと下っていく楽しさと解放感。
下りきって、お昼はレストハウスでカレー。運動した後だしおいしいおいしい。
レストハウスから見下ろすと、バス待ちの列が長くなっていてびびる。出発時刻の30分も前なんだけど。乗れるのか。
Rにもらったアウトドア座布団で座ったりしつつ、バスを待った。一台しか来なかったので心配になったが、ぎゅうづめで全員乗った。
恐怖のヒル・クライム
せっかくフリー切符なのだからこのまま戻るのはもったいない。
「隠れ三滝」で下りる。バスは満員だったが、私一人が下車。
「あの人は一人でどこへ」という視線を受け流しつつ歩き出す。「丁字の滝」を目指そう。
全然人いない。熊に会わないかと恐る恐る進んだ。ヘビイチゴがいるなあ。
丁字の滝入り口に車と、5人ほどウェットスーツの人々。水遊びツアーかしらん。何かの説明が行われているのをしり目に、私は先に滝エリアへ……なんだこのすんごいドロドロな看板は。写真とろ。
舗装道路から土の地面に入ってほんの10歩、この看板を撮ってフッと下を見たら
「んぎゃーーーーー!?」
ヒルが!! 私の左足をのぼってきてる!!
うにょーん、うにょーん、て3匹も!!
慌てて道路に戻り、1匹ずつつまんで放り捨てようとするも今度は指にくっつきやがる。2匹、アスファルトになすりつける。1匹はアームカバーについてたのをぶん回して、多分どっかいった。……これで全部、か!?
――土を踏んでわずか10歩、時間にして30秒そこそこでこんな恐ろしい目にあうとは。
丁字の滝方面はもう無理だ。てかもう土の地面が怖い。
異様なふるまいを見せた一人ものを意に介することもなく、ウェットスーツで完全防備の5人は丁字の滝へ向かっていった。すげえ。
アスファルトの道を少し登る。一人きりなのでTシャツをめくったりしてヒルがおなかを登ってないかも確認。でも鏡がないと自分じゃ背中までは見えないもんなあ。うう、もういませんように。
記念したくはないが、人生初ヒルだった。尺取り虫みたいに登山パンツを登ってきてた。けっこうすばやかった。ううう。
ヒルは怖いが、川には近づきたい。
ここぞ、という草地をさかさか移動。清らかな冷たい流れに足をつけることができた。
霧降高原とはまた違った森林の香りに満ちていて、好きな場所だった。
ヒルさえいなければ……!!
その後、バスに乗って霧降の滝で下車。かなり遠くからだったけど滝を見た。こちらは観光客が何人もいた。最終バスで東武日光駅へ。フリーパス、使い倒したな!
ゆばからあげ串でめでたくフィニッシュ
東武日光駅のテイクアウトうまいもんの一位は「ゆばからあげ串」。異論は認める。
以前、戦場ヶ原ハイキングの帰りに初めて食べて感動した。絶対今日も食べると決めていた。この旅行の目的の30%はゆばからあげ串といっても過言ではないのだ。
いやー、うまい、本当にうまい……
他には生クリームいちご大福など購入。電車で食べよう。
帰りは特急も考えたが、30分しか違わないからいいや、と鈍行。ふつうのロングシートだが客が少ないのをいいことに、半ば横座りで窓の外の景色をがっつり見る。両ひざ立ちで車窓を眺めていた園児の心を茶ぶどうは今も持っているのである。
少しずつ暮れゆく日、夕陽に照らされて、2両きりの列車のころんとした影が田んぼにうつっている。
もう2時間も夕方が続いている。初夏だった。
※帰宅後に確認したところ、ヒルはあの3匹だけだったようで無事だった。 ふう。
※自撮りをRに送ったら「どのお花よりも可愛い…」などと頭のねじが〇んだLINEが送られてきた。茶ぶどうはニッコウキスゲよりも可愛いのである。