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母娘会津珍道中

一人旅が大好きな茶ぶどうだが、母と二人旅をした。
ときは2022年10月。会津若松。


コロナワクチン接種証明書の怪

早朝6時過ぎに出発。まず、母のコロナワクチン接種証明書をコンビニで発行した。
なぜか。
「全国旅行支援」に乗っかってJR+宿泊のパック予約をしていた。その利用条件に「3回目のワクチン接種証明書持参」。
母は、証明書なら常に財布に入れて持ち歩いている、と豪語していた。
 
しかし、1週間ほど前に見てみると。
「おかーーーさん何これ!?」
ワクチン証明書シールと住所・氏名欄が、それはそれはきれいに、切り離されていたのである。
財布に入れるため、ハンディなサイズに切ってしまったようだ。
どこの誰がワクチンを打ったのか、これではわからない。
切り離しただけで両方現存していたので、ぴったり合わせてテープで裏から止めてみた。
……切られた形跡は覆い隠しようがない。
ヤバい。弾かれる。
 
調べると、マイナカードと暗唱番号があればコンビニで証明書を発行できるという。
しかし今度は「暗証番号って何?」(涙)
しかもカードの更新すら怠っていて( )
……すったもんだの末、滑り込みで、出発の日ようやく母のマイナカードが使えるようになり、コンビニ発行に成功した。やれやれ。

「まちなかどこでもミニバス」を使い倒す

先が思いやられるスタートではあったが、新幹線→磐越西線でスムーズに会津若松へ。
会津若松駅からは「まちなかどこでもミニバス」を利用した。
アプリを使って、会津若松圏内であれば1日一人1500円(※)でタクシーのようにミニバス(9人乗り)を召喚できる。召喚ポイントも豊富。
駅から飯盛山へ連れていってくれたミニバス(144番)のドライバーさんいわく、私たちがこのサービスで初めて乗せる客だという。宣伝がうまくないのか。
結局この日一日、乗合になることもなかった。普通のタクシーより大きい車で、運転手さんのミニガイドもついて、これはお得というしかない。
(※2023年の夏~秋も運行していたようだが、一人2500円になっていた。2022年は特別お得だったのだ……)

飯盛山とさざえ堂にのぼっておりる

飯盛山。白虎隊の少年たちが自刃したという史跡。
このあたりの話は『修理さま雪は』(中村彰彦)で予習してあったのでよかった。

鶴ヶ城を眺める白虎隊士像の前で浮薄極まりない写真を撮影。申し訳ない気持ちになる(じゃあやるな)。

残念な観光客の図

山なので小高く、客は高齢者が多いため、電動スロープ(250円)で上がれる。
ただ、スロープのあともけっこう上り下りがあり、杖をついてなんとか登っていくおばあちゃんたちを見て、「帰り、下りられるのか……?」と心配になった。旅行は元気なうちにしておこうという気持ちを新たにする。
 
飯盛山を下りるとさざえ堂。
外観もおもしろいが、中はさらにおもしろかった。奇観。
らせん状の通路を上がっていく。ギッ、ギッと音がする。
60代後半の母は元気に進む。お母さま、どうもあまり1か所に長くとどまらないタイプ。写真もあまり撮らないし、私よりどんどん先へ先へ進む。

さざえ堂を出て、ミニバスを召喚。ランチのお店「めでたいや」近くまで連れていってもらう。この165番のミニバスには夕方まで計3回お世話になることに。
母は日替わりセットを注文したが、「からあげ丼」が「丼」であることに気づいておらず、運ばれてきたものを見て「ごはんがある!」と驚いていた。
私は母が余した分も食べた。こうなると思っていたよ。だから「“ミニ”ソースカツ丼」にしたのさ。

かしまし鶴ヶ城ツアー・会津武家屋敷

鶴ヶ城までミニバス。165番のおじさんに再会。道々、このへんは武家屋敷が並んでたんだけど全て燃えてしまって……などお話しを聞く。
鶴ヶ城。今回の旅のメインである。母はお城が好きなのだ。石積みを見て喜んでいる。
天守閣はちょうど工事中で入れなかったが、ほとんど足場も組まれていない。青空の下すっきりと、城は立っていた。

母とガイドさんと鶴ヶ城

無料のボランティアガイドツアーに申し込む。
元気なおばちゃんたちや年配ご夫婦と一緒の8人グループ。ガイドのおばちゃんがこれまた元気で「おしゃべりだーいすき!!」って感じ。にぎやかにお城を巡った。(建築を見る目がない茶ぶどうは細部を記憶していない)
 
楽しいツアーが終了し、解散後は広い芝生を眺めたり、「茶室麟閤」に入ってみた。そこでお抹茶セットをいただく手もあったが、母は「お城入り口の抹茶ソフト」に入城時から心を奪われていたので、早々に退出してそちらへ。
私は福島100%桃ジュース。最高にうまい。抹茶ソフトも濃厚。
交換しながら飲み食いできるのは二人旅のいいところ。

茶室麟閤の庭

ミニバス(またしても165番。指定してるわけじゃなく、そのとき一番近くにいるのが来るシステム)で会津武家屋敷に運んでもらう。
例の『修理さま~』にも登場した西郷頼母邸の見取り図を元に復元した施設。充実していた。
併設の土産物屋も立派で、色々お買い物。

会津武家屋敷 秋の夕方もいいね

この日最後の移動は、朝にお世話になったミニバス(144番)で、
「一日上手に使われましたね~」と。
本当ですよ、タクシー5回、普通なら7000円以上しそうなのに、二人で3000円! 「茶室麟閤」(250円×2)もミニバス券についてきたチケットで入館したので、実質2500円!? 破格。

東山グランドホテル入館

ということでお宿・東山グランドホテルに到着。
運命のチェックイン。ここで、ワクチン接種証明書がチェックされるのである。
カウンターは4つ。しかし旅行支援の関係で確認事項が多いのか、進みが遅い。必要書類をパッと出せないお客さんが多いようだった。私は立って待った。客を15分立たせておくのは(汗)
母にはロビーのソファに座っていてもらった。無料wi-fiでツムツムをやっていた。このゲームは親戚への生存報告も兼ねているとのこと。
 
問題の証明書(テープで貼り合わせた方)はすんなり通った。そりゃこの程度でいちいち止めてたらチェックイン作業終わらんもんね。
 
部屋に落ち着いたら早速ひとっぷろ。大浴場は広かった。露天はぬるめで入ると出られない。いつまでもつかれそう。外の空気が最高。冬になると寒すぎてヒュッとなりそうなので10月はちょうどよかった。
大浴場とお部屋の間の廊下にマッサージチェアが設置されていて、我々も使ってみた。二人とも小人族(母147・私150)のため、肩もみなどは「どこ叩いてんの?」だし足裏はくすぐられてる程度だったが、背中としりはよかった。
 
夕飯はバイキング会場。90分制。品数が多い。その場で焼く肉がおいしく、3皿食べる。トリュフのパイ包みもよかった。
右隣の老夫婦が私たちの2~3倍は皿を重ねていて圧倒される。
見渡すとお客の平均年齢は高そうで、20~30代のグループはほとんどいなかった。
入浴して就寝。
「寝たら旅行が終わっちゃう」と言いながら母は寝た。気が早いな。

2日目:猪苗代湖・天鏡閤

朝6時に起床、朝風呂へ。
よい天気で、明るい山間の景色を眺めながら気分がいい。
9時半にホテルのミニバスで猪苗代駅へ。
 
駅を出てすぐの観光案内所で「ひでよくん号」(野口英世の「ひでよ」)の一日乗車券をゲット。一人500円で町内の観光地をまわるバスに乗れる。東回り・西周りがあるが、本数そのものは少ない。
乗る時、行先を聞いてくれて、「それなら東に乗った方が早いですよ」など親切に教えてくれる。降車ボタンがないため、「次、〇〇下りる人~」で挙手するというアットホームさ。「右手、白鳥の群れがいます」なんてアナウンスまであり、のんびり自由でよい。
十数人乗り込んだが、最後は私たち母子だけになり、「天鏡閤」で下車。
湖のそば近くに立つ明治の洋館である。

曇り……
あらうつくし
さすがに使いにくくなかったですか

お客はまばらで、見やすかった。あちこちに暖炉。煙突たくさん。
調度品、立派な肖像画、海外からの勲章、サーベル。昔のトイレ(木製!)も見た。
途中でフルート生演奏がスタート。優雅だ。

母いわくフルートのお姉さんが私にそっくり 確かにこの後ろ姿は親近感ある

600円で明治風のドレスが試着できるという。安いな。
「今日が人生で一番若い日」と思い、私だけ着てみた。ぶわっとふくらませたスカートは、もちろん150cmの私には長すぎる。持ち上げて歩く。後ろはサイズ合わせで安全ピンがバンバンつけられていたようだが、本人は正面像しか見ないからいい。
このドレスで館内の椅子に座ってみたり、暖炉の前に立ってみたりして母に撮影してもらった。
若い子の集団がいたらさすがに気が引けただろうが、人がまばらだったので折よくできた。
2階へもそのままどうぞ、と言われたがさすがに階段は怖いのでやめた。足元見えてないから。

裾の広がったドレスの細見え効果を実感

天鏡閤を出ると、すぐ近くに旧高松宮別荘があると。歩いていってみると、こここそ人がいなかった。
日本らしいお屋敷は受付の人すらいなくて、建物の中には入れず。庭を行くと、目の前に猪苗代湖が輝いた。絶景。

ちょっと変わった水族館、旅の終わり

歩いて長浜へ。ランチは湖畔のホテルの中華。会津地鶏ラーメンがけっこうおいしかった。
バスに乗ってしばし。アクアマリンいなわしろカワセミ水族館に到着。
入り口前にはなぜか古い機関車の展示があり、車両の中に入れた。

どこかのお子さんが駆けてゆく ノスタルジーを感じる

水族館ではゲンゴロウ、カエル、メダカ、さらには冬虫夏草(!)の展示まで。そしてネズミにカワセミ、カワウソも2匹! かわいかった。寝床でごろんちょするしぐさがちょっと猫っぽかった。

かあいらし(カワウソはうまく撮影できず)

バスで駅前に戻り、ただ一軒の喫茶店で母はあんみつ、私はこんぶ茶とサツマイモのお菓子を食べ、旅は平穏無事に終わった。

母が楽しんでくれたようで何より。
普段は「家が一番」と遠出を渋るタイプ。でも歩けるうちに行きたいところへ行った方がいい。
次は姫路城がいいらしいが、いざ話を持ち出すとやはり出かけるのは億劫らしく、実現するかどうか。

幕末の成人女性に近い身長かもしれない


(↓↓茶ぶどう一人旅の例 きれいな水辺が好き↓↓)



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