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別れはある日突然に

アメリカでは個人で確定申告をしなければならない。毎年4/15が〆切なのだが、わが家では大体われわれ夫婦の誕生日がある2月下旬頃に必要書類をかき集め、3月には会計士へ送る。

会計士は、1998年にNJに引っ越してきて以来、26年のつき合いになるジョー氏。当時インターネットで検索もままならぬ時代で、電話帳で近所の会計士の彼を探したのだった。

当時会計事務所から独立して数年のジョーの仕事ぶりが気に入り、毎年仕事を依頼するようになった。

わが家のように早めに書類を用意する家庭は、会計士さんなら大好きなはず。大量の客を短期間にこなさなければならないので、早めの客は重宝されるからだ。

毎年2月になると「もうすぐ二人の(私と妻)誕生日だね。今まだ忙しくないからすぐにできるよ」とメールや電話がある。

「そろそろジョーに連絡しなきゃ」と思っている矢先、昨日一通の手紙がとある会計事務所から届いた。タイミング的に「税金相談に乗ります」の宣伝レターと思っていたら「昨年3月にジョーが突然他界し、彼の顧客リストの中からあなたの名前が出てきました」というものだった。

Facebookで時々見かける彼は元気そうで、持病があったのかはわからないが、FBを見た限りでは周囲もショックを隠しきれない様子だった。

「孫が生まれた」と喜んでいたのに。

初めて会ったときに「日本語で“ジョー”と書いてくれ」というのでわざと難しい漢字「譲」を教えてやった。そうしたら次の彼からの書類に手書きで「譲」と書いてきたジョー。お世辞抜きできれいに書いてあり、感銘を受けた。

ニューヨーク・メッツの大ファンで、毎年春になると「今年こそ」と盛り上がっていたジョー。

人生は予測不能。先月の交通事故で私もどうなっていたかわからない。毎日毎日を悔いなく過ごそう。

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