禁域
あそこには行ってはいけないとされていた
というより、そもそも行くところではないと
外には危険が溢れているから
外の世界には謎の光線が満ちていた
誰が何のために、いつからそれが行われているかもわからなかった
絶え間なく続く攻撃、それを防ぐバリア網、バリア内での生活
生まれてから死ぬまでそれは当たり前の光景としてあり、幾度となく繰り返された
周りの連中は口を揃えて言う
ここにいれば安全なのに何故外に出ようとするの
別に場所が狭いわけでもないし食料がないわけでもない
昨日と同じことを繰り返していればいいんだと
たまに訪れるこう先細っていく感覚なんて見て見ぬふりしてさ
だけど、無性に惹かれる
別に今の生活に特別不便があるわけではない
ただ、たまに訪れる虚無感を拭えなかった
だから日々こうやって調査を行なっている
何かこう拡がっていく感覚を原動力にして
そしてついにわかってきた
この攻撃が日に日に弱まっていることが
何が功をなしたのか確かなことはわからない
どうやら我々の数に関係しているらしい
数が増えるのに比例して、いや他の要因かもしれないが
確かに言えることは、これは外に出るチャンスであるということだ
かくして 5 億年前の今日、藻類を起源とするその植物Aは海から上陸を試みて、、
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