シリアルアントレプレナーとして自分が今までやってきたことをふりかえる (その5 30代後半ぐらいのころ)

※このブログは過去にはてなブログで記載していたものの転載となります。

第5回となりました。今回から「アントレプレナーが人の下で働いてみた編、モブキャストにいく」となります。ちょうどこのブログ(takashisatoのここだけの話)に移動したタイミングなので、このブログのバックナンバーを読んでいくと断片的に記載する内容が出てきますが、物語風にまとめてみました。
 

最初から読みたい方はこちらから。

2010年秋に会長を退任する直前にふとしたことからちょこちょこ遊びに行くようになっていた数少ない友人の一人にモブキャストの藪社長がいました。(その昔実は株主だった)彼とは以前IVSに参加する飛行機の座席で隣になったことが縁で付き合いが続いていました。
 
彼の会社は、ソーシャルゲーム事業では一歩出遅れていましたが、ソーシャルゲーム「Webサッカー」を大手SNSにはまったく依存せず展開している独自性がありました。

このユーザーの増え方にもともと興味があったのですが(W杯南アフリカ大会の決勝戦の前日が全盛期で1日バイラルで数千人規模で増えていた)、今後の自分の経験を考えて、一度オーナー社長の下について働くことを通じて、これまでの代表として会社を前に進めてきた経験を振り返ったり、自分に新たな気づきが得られるのではと思い、彼に誘われるがままにモブキャストに取締役として参画することになりました。
 
こうした経緯で遅ればせながら自分もソーシャルゲーム業界の一員になりました。
 
「入社後はあまり外の人たちとは関わりを持たずに結果が出るまで最低半年はがむしゃらにやれ」と彼にアドバイスされ、プロ野球ゲームを立ち上げたり、1人の開発者と一緒にソーシャルゲームからプラットフォームを逆に構築したりする仕組み作りを粛々とすすめました。
 
ところが2011年春、そこであの東日本大震災がやってきました。(個人的には結婚式のわずか2週間後だったのでとてもびっくりした)
 
社内もざわめき、業界も委縮モードとなりここまでかと思いましたが、ここでリーダーシップの真髄を思い知るのです。藪社長はいまこそ勝負どころだとして会社を引っ張り我々を前に突き進めました。リーダーは時には孤高であろうとも堂々と強く言い切らなければならないと強く痛感した瞬間でした。
 
また同時期に彼が参加したカンファレンスにて「これからはandroidの時代が来る」と判断し、震災前から決めていた春先からのプロ野球ゲームのマーケティング攻勢をより大きな成功とするため、自社プラットフォーム事業と並行して進めていた大手SNS向けのゲーム開発ラインをすべて閉鎖し、自社プラットフォーム向けゲーム配信のスマートフォン対応人員に組み替える組織変更を断行しました。
 
この機転のよさがそのまま堅実に事業推進を進められることにつながり、その結果モブキャストはそのまま事業拡大に成功しました。ミクシィにミクシィプラットフォームと連携していないソーシャルゲームは単なる、外部ゲームサイトということで競合認定もされず認められて広告を大量投下しできたり、テレビCMに数億円を突っ込んで事業拡大ができる幸運にも恵まれまれました。
 
勝負どきはどういうことなのか、というのはやはりどの会社でも事業でもあまりかわらないもので、今までの自分の経験を相対化するよい機会となりました。
 
中でもプロ野球ゲームはかなり順調にいきました。その後コナミさんやgloopsさんも参入してきましたが、スマートフォン向けのネイティブアプリが登場するまでは、三強ゲームのような形でユーザーの方に認知いただくことに成功できたのではと思っています。モブキャストは外部プラットフォームに依存しない直営のゲームだったので、プラットフォーム決済手数料分利益が出ているのだから、この既得権の立場を生かして躊躇せず広告を徹底投下するべきだと、藪社長に進言していました。(当時プラットフォーマーであったグリーやDeNAは大人の事情で直営ゲームとしては参入してこなかった)
 
そして参画が1年半後のタイミングの2012年6月に会社が上場することになりました。その後も海外展開の担当をさせてもらったり、2013年には買収した会社の社長となって事業統合を推進したりと、これまでの未開拓分野の経験をさせてもらいました。

そして一区切りとなった40になる直前に、任期満了で取締役を退任し、これまでの経験の集大成としてスマートアプリを創業しました。最初の創業メンバーは、ビットレイティングス急拡大期に早稲田大学生だった稲垣くんでした。
 
そしてこの秋、新たに準備中の事業が立ち上がり、いよいよ新しい会社の本番が始まります。(つづく、この続きの話は後日きちんと整理できてから書きます)

この記事は「投げ銭」記事です。ポジティブにお金が回る仕組みにしてみたいと思いました。記事をおもしろいと感じてくださった方は「投げ銭」をよろしくお願いします。