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YohjiYamamoto 98ss「イチロージャケット」

古さを感じない

これまでに80〜90sのヨウジを紹介してきたが、このジャケットは今見ても古さを感じない。むしろ新しさまで感じてしまう。
今回はそんなジャケットについて話そうと思う。

ヨウジさんの反骨精神、ヨウジさんのフォーマル。

本題に入る前に私の思うヨウジさんについて話をさせて頂きたい。
ヨウジヤマモトが世界に反響を及ぼしたきっかけと言えば、当時タブーとされていた「黒」を基調としたパリのコレクションである。

当時色鮮やかで体に沿ったドレスなどが主流だった。

だがヨウジヤマモトは真っ黒で体を覆い隠すような大きなサイズ、そして綺麗とは言えない。雑でボロ切れに見えるような洋服を展開したのだ。

世間に反響を及ぼした「ボロルック」

これがヨウジさんが世界に及ぼした反骨精神なのだ。

そしてヨウジヤマモトはこれまでにスーツの当たり前、世間一般のフォーマルを破壊し続けている。
黒は喪服の色などマイナスイメージが強い中、ヨウジさんは「人間の魅力を最大限に引き出す」(個人解釈有)という真逆の提案をしたのだ。
その中でも他の洋服のディテールやカルチャーを取り入れ、ユニークでユーモアで溢れる魅力的な男性像、ヨウジヤマモトの唯一無二なフォーマルを今も変わらず提案し続けている。

そして、今回はジャージとテーラードジャケットを融合したジャケットを紹介しようと思う。

ディテール

今回紹介するジャケット。アームがトラックジャケットを彷彿させるようなディテールが特徴的だ。

だが、単にジャージを組み合わせたジャケットだとは私は思っていない。
テーラードジャケット部分、フロントに注目してみよう。
スーツのポケットはフラップポケットと呼ばれる、蓋付きのポケットが用いられることが多い。

だが、このジャケットはあえて両玉縁のポケットを採用していると私は考えた。


憶測ではあるが、フラップポケットは元々雨除けの為に付けられた物だ。
それは、外で着用することを前提としているからだ。

だがジャージはどうだろう。リラックスウェア、室内着に近い用途で着用することが多い。外で着用を想定しなければ、傘のような役割を果たす(フラップポケットの)蓋部分は必要ないだろう。

ディティールを含め、そのままくつろいだり出来そうなスーツ。ビジネスを主とした考えへを覆し、こんなところにも反骨精神を感じることが出来る。

遊び心

先ほどのようなジャケットの仕様。もちろん両玉縁のポケットのジャケットは存在するが、ヨウジさんのことだからきっと遊び心の1つなんだろう。

あとがき

ヨウジヤマモトは数々の名作があるが、どこかユニークで遊び心が溢れている。
特に80〜90年代。このジャケットもそんな1着だ。

古さを感じないむしろ新しさを感じる。

ちなみにランウェイで野球選手のイチローさんが着用していたので、ファンからは「イチロージャケット」と呼ばれている。

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