読書感想-大本営発表(辻田真佐憲)

自分に不都合なことを報告するとき、つい言葉数が増えるのは世の常らしい。78ページに重い教訓がある。「焦る陸軍報道部は修飾語を乱用」

■「転進」「玉砕」――。けばけばしい発表文はやがて、撃墜や損失数のごまかし、捏造につながる。情緒が幅を利かせ、事実が軽んじられてゆく

■言葉で飾り立てて後に引けなくなり、日本は泥沼に足を突っ込んだ。報道に残された課題も大きい。今なら、止められるだろうか

■頼もしいのは発表を信じず、嘘を喝破する国民の姿である。結局、組織の内輪は騙せても、大勢の人を騙し続けることは不可能なのだろう。

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