読書感想-「北条政子」永井路子
https://bookmeter.com/books/17056596
600ページ近く、歯ごたえのある小説だった。
「炎環」のほうが長さと構成の両面で読みやすかったと思う。ただ、歴史に翻弄された一人の人生に迫ってゆく重みは、こちらのほうが断然味わえる。
最後に書いたが、「もう一人の自分」と激しく言い争ったりする演出が気に入った。人間の葛藤を表すのに、そうした書き方をする人はあまりお目にかからない気がする。決して斬新というわけではないが、読者を深い沼へと引きずりこむような迫力があるから僕は好きだ。
そんなわけで、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を思い出した。あの感じを、もう一度読みたくなる。カラマーゾフはちょっと骨が折れる(特に上巻)ので、次はとりあえず「罪と罰」を再読したいと思う。
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