見出し画像

読書感想-「炎環」永井路子

主人公が切り替わる連作短編は、話全体も薄くなりやすい。しかしこの「炎環」はまったく逆だ

■主人公が替わり、新たな話が進むたび、読者はぐっと歴史の深みに潜ってゆく手応えを感じる。ほんとうの主人公は「鎌倉幕府」という、権謀術数がうずまく化け物だと言える

■「一人一人が主役のつもりでひしめきあい傷つけあううちに、いつの間にか流れが変えられてゆく」……。著者は、自身が綴った歴史をこう表現した。ほれぼれするような要約だ

■1960年の直木賞受賞作である。炎環という造語に託した意味、そのセンスに、古びないものを感じる。

https://bookmeter.com/books/4927570

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?